http://www.dailymail.co.uk/news/article-3453325/The-romantic-flower-garden-world-Husband-plants-thousands-pink-blooms-people-come-spend-time-blind-wife-didn-t-feel-lonely.html

 土手を回り込んで庭に足を踏み入れると、ピンク一色の視界が開けた。春風に乗って甘い香りが漂う。「うちん母ちゃんも若(わ)けころはべっぴんで、こげなにおいがしちょったど」。黒木敏幸さん(83)の言葉に、妻の靖子さん(76)と花見客たちは笑い転げた。

 宮崎県新富町の黒木さん方で、約3千平方メートルのシバザクラが一気に見頃を迎えた。緩やかな丘を小道が巡る見事な庭だが、靖子さんの目には映っていない。20年以上前に糖尿病の合併症で光を失ってしまった。「誰か遊びに来て話し相手になってくれたら」。落ち込む靖子さんを見かねた敏幸さんが、一握りのシバザクラを植えたのが始まりだった。

 19歳で隣町から嫁入りした靖子さんと敏幸さんは、乳牛60頭を養って子ども3人を育て上げた。365日休みなし。午前2時に起き、時には機嫌の悪い牛に蹴られ、乳を搾った。「仕事をやめたら日本一周旅行に出ような」と、こつこつ小遣いを積み立てて夢を膨らませていた。

 約束を果たす間もなく突然、靖子さんは暗闇に放り込まれた。昨日できたことが今日できない。ある日、ぽつりつぶやいた。

 「あの世に行ってしまいたい」

 敏幸さんは酪農をやめて庭造りを始めた。柔らかな花びら、香りだけでも感じてほしいと思った。

 裏山の杉林を一本一本のこぎりで切り開き、一輪車で土を盛り上げた。大雨で流されては、また土を運ぶ。土台を整えるだけで2年かかった。夏は雑草を抜き、秋は6トンの肥料で覆う。挿し芽を繰り返して年々広がっていく花のじゅうたんは、近所でも評判になった。

 「黒木さんのシバザクラ」は今や観光スポット。県外からバスも訪れ、新富町観光協会が駐車場を用意した。週末は1日4千~5千人でにぎわう。花見客と二人との会話は自然とおしどり夫婦の秘訣(ひけつ)になる。

 「こんなに大事にされて幸せですね」

 「一緒に苦労したから、ようしてくれるとでしょうね。昔からこげな人。互いに『ありがとう』ばっかりです」

 「腹(性格)のいい嫁女(よめじょ)をもらったら大事にせんと罰が当たる」

 手作りベンチに並んで座る二人は、いつも笑顔に囲まれる。

 花を見られるのは今月中旬までの1カ月足らず。またすぐに雑草と格闘する夏が来る。「喜んでもらえるとなら90歳まで続けんと。母ちゃんより先に逝くわけにはいかん」。腰をさすりつつ今日も庭に立つ。

 「来年もまた来んね。あんたも腹んいい人を見つけないかんよ」。世話焼きの敏幸さんが、大きく手を振ってくれた。
http://www.nishinippon.co.jp/feature/story_blue_sky/article/16526


やばい泣ける……。

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