品質工学

2005年12月22日

L18直交表がおすすめ

 直交表には、主に2水準系、3水準系、混合系があります。2水準系、3水準系の直交表は、任意の2列の交互作用が特定の列の効果と交絡します。

混合系の直交表は、特定の列に交互作用が集中せず、多くの列に分散します。よって、仮に交互作用があっても、その効果はいろいろな列に少しずつ現れますから、本当に大きい効果の因子を見つけることができるのです。

因子どうしの間に交互作用は多少なりともあるものですが、主効果をくつがえすような、交互作用がなければいいのです。

ただし、主効果より大きな交互作用がある場合は、要因の推定が正しくなされません。実験結果を踏まえて、もう一度検討することになります。

もっとも、交互作用の有無が最初から分かるはずもなく、交互作用より簡単な主効果さえ不明だから実験するのですが。

ちょっと横道にそれましたが、直交表は混合系を選択するべきだといいたいのです。混合系の直交表は、L12、L18、L36とあります。

タグチメソッドでは、制御因子とノイズとの交互作用を利用して、品質の安定化をはかるのですから、制御因子が少ないとうまくいきません。

実験規模や解析精度を考慮すれば、最も適切な直交表はL18であると考えられています。学界の論文を見てもL18が主流になっていますね。

手間や費用を惜しんで、L8やL9の実験をして、結局何もわからなかったということにならないよう、十分に検討して直交表を選択してください。


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2005年12月02日

交互作用とは?主効果とは?

 交互作用とは、ある因子の優劣が他の因子の水準によって変わることをいいます。

 主効果とは各変数単独の効果のことです。交互作用は複数の変数の組合せによる効果ともいえます。

例えば、化学工程において収率を最大にする実験を行ったとします。重合温度をA1、A2の2通り、配合比をB1、B2の2通りとします。

交互作用の有無は、グラフによって視覚化するとわかりやすいです。下図に例を示します(図をクリックすると拡大します)。

交互作用



,任蓮■舛亮膰果も、Bの主効果もありません。交互作用もありません。

△任蓮■舛癸造蘯膰果があり、交互作用はありません。

では、AもBも主効果がなく、交互作用があります。
重合温度A1では、配合比B1の方が収率が大きく、重合温度A2では、配合比B2の方が収率が大きくなっています。つまり、配合比によって最適重合温度は変わっているので、交互作用があるといいます。

実験計画法において、交互作用は重要用語ですので、覚えてくださいね。


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2005年08月15日

静特性と動特性

品質工学(タグチメソッド)における品質特性の種類に静特性と動特性があります。

【静特性】
静特性とは、入力を変化させないで出力を調べる特性をいいます。すなわち、目標値が一定の品質特性です。静特性は望大特性、望小特性、望目特性の3種類あります。

望大特性とは非負の特性で理想値が無限大のものをいいます。大きければ大きいほどよい特性値で、強度などがあります。

望小特性とは非負の特性で理想値がゼロのものをいいます。小さければ小さいほどよい特性値で、磨耗量、有害成分、真円度などがあります。

望目特性とは目標値が有限値のものをいいます。小さくても大きくても悪く、ある目標値に近いほどよい特性です。品質特性のほとんどが望目特性です。


1980年代は望目特性に対するパラメータ設計が主流でした。しかし、望目特性に対するパラメータ設計においても、目標とする結果が得られないこともありました。

その理由のひとつとして、直行表に割り付けた因子が、SN比最大化用の因子と平均値の調整用の因子にうまく分離されないことがあります。

また、平均値の調整用の制御因子が他の制御因子と交互作用を持つ可能性が高いので、直行表実験の信頼性が低くなることもあります。

その対処法として、1990年代に動特性での評価方法が提案されました。


【動特性】
動特性とは、入力を変化させて出力を調べる特性をいいます。例えば、自動車であれば、アクセルの踏込む量に対して、どれくらいの速度が出るかを考えることです。

アクセルを1cm踏込めば速度は40km/h、2cm踏込めば速度は80km/hとなります(数字はあくまで例です)。風雨や気温の変化によらず、2cm踏込めば、常に80km/hの速度が出ることが望まれます。

品質特性を動特性で考え、その評価方法を確立したことがタグチメソッドの画期的な点です。入力を変化させない静特性より、入力を変化させて出力を調べる動特性の方が、より安定な製品品質を志向した評価ができます(もちろん、静特性でもきちんと評価できることもありますが)。

つまり、静特性より動特性で評価しよう!ということです。


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2005年08月07日

基本機能より、まず目的機能で

目的機能とは、製品や工程に要求される役割をいいます。

自動車では「走る、曲がる、止まる」になります。走りたいときは、アクセルを踏みます。「アクセルを踏む」が信号(入力)、「速度」が特性値(出力)となります。

アクセルを踏んだ時、路面が雨でぬれていたり、タイヤの空気圧が抜けていたりすると、いつも同じ速度が出るとは限りません。このような条件を誤差といいます。


基本機能とは、目的機能を実現させる物理的メカニズムです。目的機能の上位の概念です。

「走る」であれば、ガソリンを燃焼させて、機械エネルギーに変換することが、基本機能と考えられています。


品質工学(タグチメソッド)では、基本機能での研究を勧めています。しかし、簡単なことではなく、とても難しいのです。初学者はまずここで、挫折します。

私自身は、焼成工程のコンサルティングを指導した時に、寸法(目的機能)を特性値にして1回目の実験を行いました。すると第三者の方に、電力などのエネルギー(基本機能)で検討すべきでは?と言われました。正論ですが、基本機能に対して再現性のある評価方法を確立するだけで膨大な時間がかかります。それだけで研究テーマになります。

目的機能ならば、ほとんどの場合設定できます。目的機能で評価するだけでも、十分大きな効果が得られるはずです。目的機能でうまくいったら、次に高いレベルを狙って基本機能を検討した方がいいと思っています。その方が実務的ですしね。



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2005年07月25日

SN比とは

SN比とは、信号量SとノイズNの比です。単位は【db】デシベルを使います。

ノイズNとは誤差、バラツキのことです。

SN比=信号(その技術の働きで投入されたエネルギーの有効成分)/ ノイズ(投入されたエネルギーのうち、出力として有効に働かなかった有害な成分)

つまり、SN比が大きいということは、バラツキが少なくて、安定しているということです。

SN比の高い条件を選んで、次に感度を目標値に調整しますこれを二段階設計といい、パラメータ設計の基本的な考え方となります。

感度とは、目標値との差をいいます。
例えば、金型温度を200度から240度に変えたら、外観がどのように変化するかという傾向を見ることです。これは、これまで多くの人がやってきているやり方です。

感度ではなく、SN比を第一優先するのがポイントです。

SN比が高ければ、製造条件が少しくらい変化したとしても、できあがる製品のばらつきは小さくなります。これをロバストネス(強靭性)を持つといいます。

品質工学(タグチメソッド)はSN比を評価尺度として、品質向上の技術開発が短期間で実現できるのです。


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2005年07月23日

品質工学の2つの領域

1.オフライン品質工学
研究・開発段階の品質工学とも言われています。
目的は開発費用と開発期間の短縮、品質改善です。
ツールは、SN比(シグナル・ノイズ比)、直交表です。
特性値、信号因子、制御因子、誤差因子を設定し、直交表にわりつけます。
基本機能を設定し、SN比で評価するのが、実験計画法と異なる点です。
パラメータ設計により、品質とコストの両面から最適な設計定数を選択します。

2.オンライン品質工学
製造段階の品質工学とも言われています。
目的はコスト削減と品質改善です。
ツールは損失関数です。
パラメータ設計で製造条件を選択した後、製造条件の許容差を設計します。

よって品質工学は、パラメータ設計が中心となっています。


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2005年05月26日

金属粉製造工程の歩留り向上

コンサルティングの依頼がきました。そこで、この工場に伺い、概要の説明を受けて、工場見学と意見交換をしてきました。1日半かかりました(汗)。

この工場では、これまでなかなか歩留り向上ができませんでした。さらに市場ニーズの変化に対応するため、新製品を開発したのですが、さらに歩留りが悪くなってしまったそうです。このままではコストアップとなり、ジリ貧になってしまうと強い危機感がありました。

詳しい内容は書けませんが、バラツキの低減とタグチメソッドの適用を考えています。

さて、受注に至るかどうか楽しみです。


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2005年05月12日

実験計画法とは

 実験計画法とは、定められた計画に基づき測定されたデータを解析し、要因の効果と交互作用を明らかにする方法です。つまり、効率的な実験をする手法です。

例えば、最適な製造条件を設定するために、実験をすることになったとします。

(1)金型:現行型、新型
(2)加熱温度:200、300、400度
(3)回転数:100、150、200rpm
・・・
(8)・・・

もし製造条件を一つずつ変えて実験したら、たかだか8条件を調べるのに、2x3^7=4374 通りの実験をしなければなりません。マンパワー、コスト、生産計画上まずやってられませんね。

このようなとき、すべての実験を行わないで、直交表により一部の組合せについてデータを収集し分析する方法が、実験計画法です。

上記の例では、18通りですみます。効率は243倍となり、開発試験の大幅な短縮が可能となります。

実験結果の分析には、統計学の手法(分散分析)を使います。


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2005年05月10日

さて問題です

米国自動車産業に貢献し、米国経済・社会の発展に寄与した人を表彰する制度に米国自動車殿堂があります。

これまでヘンリー・フォード、トーマス・アルバ・エジソン、ルドルフ・ディーゼル、エンツォ・フェラーリ、本田宗一郎などが表彰されています。偉人ばかり表彰されていますね!

日本では、1989年に本田宗一郎(ホンダ)、1994年に豊田英二(トヨタ)が受賞されていますが、1997年に受賞した3人目は誰でしょう?
























答え:田口玄一

田口玄一氏は、品質工学を導入することで、当時の米国自動車工業会を蘇らせた男と言われ、その功績をたたえられて受賞されています。米国では「タグチメソッド」とも呼ばれています。

品質工学とは、効率的な開発を行うために体系化された品質技術論です。品質工学を活用しているか否かでは、技術開発のスピードが違います。今やエンジニアには必須の技術ですね。

このブログでは、品質工学についても、易しく解説していきます。


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2005年04月13日

おすすめの本:品質工学

品質工学計算法入門
矢野宏 日本規格協会 2,940 1998/4/201初版

品質工学関連のおすすめの本を紹介しています。今回は4冊目。品質工学入門の次に読むべき本が本書です。

本書は品質工学の考え方に基づいたデータ解析方法を中心に説明しています。なぜそのような計算が必要か、どのような実験をしなければならないかについても、わかりやすく書いてあります。

技術者は多かれ少なかれ実験をする場面があります。品質工学は効率的に、大きな成果をだせる技術手法です。その反面、実験のやり方にコツがあります。

自分でやってみて初めて品質工学が理解できますし、失敗することで成功するコツがつかめると思います。そのときテキストとなるのが本書ですから、技術者にとって必携といっても言い過ぎではないと思います。


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