瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」(2018)を読む。

第31回山本周五郎賞候補作。
残念ながら受賞とはなりませんでした。

伊坂幸太郎さんの「オー!ファーザー」(2010)のような作品。
 
「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ」 。

とあるのですが、17歳の女子高生と、血のつながらない若い父親の物語。
とても優しく、かつ現代的な物語でした。
血のつながらない家族の物語と言うのは2010年代における重要なテーマのような気がします。

山本周五郎賞の選考後のコメントを読むと親子関係に性的なものを求めてしまっている評者もいるようですが、結構無理すじかなと思いました。
言わんとすることは分かるけど、この本に書かれている「優しい世界」はあると思うし、むしろそこが今っぽくて面白いと感じます。
先日観た「ビッグ」(1988)もそうだけど、女性ならではの価値観を読ませてもらっているようで実に面白かったです。

学校の先生の中で唯一、この関係を見極めている向井先生の存在が良かった。
「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」。

「たらいまわし」か、「バトンをつなぐ」か。
他人であっても実態をよく見て、本質を見ることが大切なのかなと思いました。