なんかこんなの見つけたよ

映画と小説と舞台とドラマの感想ブログ。ときどき映画のロケ地めぐり。

重松清

日曜劇場 流星ワゴン(ドラマ)


「日曜劇場 流星ワゴン」(2015.1.18-3.22)を見終りました。

重松清さんの原作(2002)は既読で、とっても好きな作品なので楽しみにしていました。
結果としてはチュウさん役の香川照之さんの強引ともいうべき熱演でグイグイ引っ張られたけど、でもちょっとだけ遅すぎたドラマ化だったなぁと思うことも。

特に同じタイムスリップもので「素敵な選TAXI」(2014)という画期的なドラマが直近にあったばかりだったので、その古さが余計に目立った印象。 
もっと早い段階で映画化ぐらいが妥当だった気がする。


土曜ドラマ「とんび」

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土曜ドラマスペシャル「とんび」(2012.1.7-1.14)を見る。
全2話。

昭和30年代後半から始まるシングルファーザーの物語。

原作は重松清さんの同名小説(2008)。

脚本は羽原大介さん。
演出は梶原登城さん。
原作は未読ですが、これまで読んだ重松さんの小説はどれも良かったので、そのドラマも面白いのではないだろうかと。

瀬戸内の美しい風景とともに、当時の雰囲気をよく伝えていてなかなか見ごたえがあったけど、主人公のヤスを演じる堤真一さんがちょっとカッコ良すぎたかな。

ちょうど「北の国から」シリーズを見ていたせいか、もう少し不器用な俳優さんが演じたほうが泣けたかもしれないなぁと思いました。

息子役は少年期も、青年期も好演で、こちらは良かったです。


きみの友だち

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重松清さんの同名小説を映画化した「きみの友だち」(2008)を観る。

引きの絵が多く、ドキュメンタリーっぽい感じで、出演者もほぼ無名。
いわゆる“分かりやすい”映画ではないのですが、それがなかなか良かったです。

重松さんの描く少年少女たちは弱く、なかなか本音を言えない子たちばかり。

だからいかにも子役然とした子が演じるよりも、こういう地味な演出の方が「らしい」し、物語にもすんなり入り込めたのです。

映画の主となるお話は片足を悪くした少女と、病気がちな少女の友情。
ともにハンデを持ちながらも普通に生きていく姿が、時にほのぼのし、じんわり泣ける映画です。

監督は廣木隆一さん。
昔、「800 TWO LAP RANNERS」(1994)という陸上の映画と、「ゲレンデがとけるほど恋したい。」(1995)というヒット曲にちなんだスキー映画を観たくらいだなぁ。

・・・そうだ、この2つでこの監督さんの作品観るのやめたんだ。
いまいち面白さが分からなかったんだよなぁ。

私の中ではあんまり評価は高くなかったけど、これで世間の評価の高かった「ヴァイブレータ」(2003)を観る気になったわ。

きよしこ4

きよしこ (新潮文庫)
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重松清さんの「きよしこ」(2002)を読む。 

重松さんの少年時代をモチーフに書かれた作品です。

主人公・白石きよしは吃音症。
言葉をうまくしゃべることができず、言いたいことを言えずにいる少年です。

重松さんもそうだったらしく、実体験に基づく表現がリアルに書かれています。

本当のことをうまく伝えられない少年は家族を心配させたり、周りから誤解を受けたり様々な「苦労」をするのですが、心の中に言いたいことを「仕舞う」ことで日々を過ごしていきます。
切なさや懐かしさを感じます。
誰もがこの本を好きになってしまうのでは?と思わせてくれる本でした。

でも単なる難病もののような同情を誘う作品ではありません。
もちろん最初こそかわいそうだな〜という気持ちで読み進めているのですが、次第に周りをよく観察する少年だということが分かると、少年がどんな人よりも大人だと思うようになっていきます。
物語の当事者が傍観者のような立場に立つことで、なんだかこの本を読む自分自身が主人公になったかのような気持ちになっていくのです。

これまでも重松さんのかかれる文章を読むと切ない気持ちにさせられましたが、これを読んでなるほどな〜と思いました。

ついつい同じ気持ちになってしまうんです。

重松さんの文章を読むとなぜか自分自身の小さい頃の思い出がぽろぽろと出てくるのが不思議だったのですが、こういう客観的な書き方がそうさせるのかもしれません。

言葉をうまく話せない少年に劇の芝居を書くよう勧める先生の話「北風ぴゅう太」と、寂しがり屋で不器用ないじめっ子を描いた「ゲルマ」が特に印象に残りました。

流星ワゴン(小説)4

流星ワゴン (講談社文庫)
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旅の1冊目。
夜、海外行きの飛行機の中で夢中になって読みました。
重松清さんの「流星ワゴン」(2002)。

38才、リストラされたサラリーマンが死にたいと思った時ふっとあらわれた「流星ワゴン」。
それは人生で「たいせつなどこか」にタイムスリップしてくれる乗り物。
その場所は自分でも予期しなかったごくありふれた場所。
でもその場所には自分の見逃していた大切な何かがあった…。
もしここでやり直しが出来たら、また違う自分になれるのだろうか?

とある男の、人生を見つめ直す物語です。

自分はまだ人生をやり直したいというような状況にはなっていないけど、もしこの「流星ワゴン」に乗ったらどこに連れて行ってもらえるのかな?と思うとちょっと楽しい。
でもちょっとこわい。
ファンタジックな物語で、楽しんで読める1冊です。

そしてこの映画の中でもっとも魅力的な人物として登場するのが主人公の父親・チュウさん。
病床にいて死ぬ間際なんですが、主人公の「流星ワゴン」の旅の中では同じ38才の姿で現れます。
なぜ同い年の親が現れるのか?
この秘密は本の後半で明かされるのでここでは内緒にいておきますが、でも、もし自分の父親と同じ年で、朋輩(ほうばい、親友の意)として話や相談が出来たら面白いだろうなと思って読む事が出来ます。

仕事の話、家族の話、女の話…。
親友になるのか?悪友になるのか?それとも…。

今まで読んだ重松作品とは違ってかなり作りこんだ作品ですが、「親と子の関係」というテーマは一貫しています。
現在父親になっている方、近いうち父親になる方にはお勧めです。

ナイフ3

ナイフ (新潮文庫)
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まだ飛行機は目的地に着かず。
続いて手にとったのは重松清さんの「ナイフ」。
6つの物語からなる短編集なので「簡単に読めるかな」と読み始めました。

「エイジ」で山本周五郎賞を受賞した重松さんの出世作で、坪田譲治文学賞受賞作です。

この本は「エイジ」と同じ少年少女の「いじめ」がテーマ。
あっけらかんとした文章で書かれていて読みやすいのですが、「いじめ」に関する詳細がこと細かく書いてあって読んでいて心が痛くなってしまいます。

本の中の一編「キャッチボール日和」の大輔君は本当に可愛そうだった…。

やはり初期の作品だからなのか、読後の「救い」のようなものがまだ足りないような気がします。
このあと、その「エイジ」そして「ビタミンF」と続くと思うとこれは原点的な作品なんですね。

あとになるほどいい作品だと思います。

ビタミンF5

ビタミンF (新潮文庫)
ビタミンF (新潮文庫)
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重松清さんが2001年に直木賞を受賞した「ビタミンF」。

重松さんの第12回山本周五郎賞作「エイジ」はすでに読んでいるため、2冊目になります。

「エイジ」は罪を犯してしまう少年の気分を、友人たちの目線(気持ち)でうまく表現していて面白かったので、今回も期待して読みました。

今回は7つのお話からなる短編集。
本のタイトルである「ビタミンF」はその中の1つ…ではなく、収められた7つの話を象徴する言葉です。

Family、Father、Friend、Fight、Fragile、Fortune・・・。

<F>で始まるキーワードがちりばめられたお話で、心のビタミン剤のようになれば…というような意味が込められています。

40歳前後の小、中学校に通う子供を持つ父親が主人公で自分的には結婚すれば十数年後の物語ということもあり、非常に興味を持って読み進めました。
子供を育てるのってとても難しい今の時代。
家庭に取り巻く様々な問題をいろいろなおじさんたちが立ち向かっている姿に、自分も頑張ってみようかな…と思ってしまうほど力強い作品ばかりでした。

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エイジ4


第12回山本周五郎賞受賞作「エイジ」(1999)。
重松清さんの作品です。

東京のニュータウンに住む中学2年生の高橋栄治を通して、中学生のリアルな日常を描いた作品。

犯罪を犯してしまう少年の気分を、友人たちの目線(気持ち)でうまく表現していると思いました。
表現しにくいものをよくここまで・・・という感じです。

一気に読める作品で、オススメ。


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