
第50回ローザンヌ国際バレエコンクールの受賞者が決まりました。

今年は10年前と同じく熊川哲也氏が審査員になっていましたね。
ツイッターでは楽しそうにジャッジしているシーンを見かけました。

さて受賞者の発表です。
なんと今年は1位が二人いました!

1位 207 Millán DE BENITO Spain(WEB観客賞とダブル受賞)
1位 210 Fabrizzio ULLOA CORNEJO Mexico(ベストスイス賞とダブル受賞)
二人ともパリの炎のヴァリエーションでした。
ミラン君は表現力が高く役柄が見えてくるような踊りをし、ファブリツィオ君は高く飛びキレイに回る技術的な能力の高いダンサーでした。
そして二人共とても足のラインがきれいなダンサーです。
3位 320 Sangwon PARK South Korea
クラシックでの表現で会場の空気を変えたのが画面越しでも伝わってきました。
とても可憐なダンサーです。
4位 310 Julie JOYNER United States
彼女はどこまでも止まれる系のダンサーです。素晴らしいバランスの持ち主ですので見ていて安心して見られます。
5位 309 Seehyun KIM South Korea
彼女はベストオーディエンス賞とダブル受賞です。
エスメラルダを素晴らしく踊って見せてくれました。
6位 101 Alecsia Maria LAZARESCU Romania
彼女は決勝の最年少ですので準決勝では一番はじめに踊り、すぐに観客の喝采を受けていました。
素晴らしいダンサーです。
7位 314 Ana Luisa NEGRÃO Brazil
彼女はクラシックもコンテもどちらも素晴らしいと感じました
コンテで2位のダブル受賞です。
8位 201 宮崎圭介 Japan
15歳での受賞です。クラシックは軽やかで素晴らしかったのですが特にコンテでのパフォーマンスが印象的でした。しなやかな身体を大きく使ってキレイに踊っていました。
9位 114 Emily SPROUT Australia
10位 413 Giuseppe VENTURA Italy
11位 318 Soo Min KIM South Korea
コンテンポラリー賞も二人いました。
1位 212 Alexander MOCKRISH Sweden
2位 314 Ana Luisa NEGRÃO Brazil
ベストスイス賞 210 Fabrizzio ULLOA CORNEJO Mexico
WEB観客賞 207 Millán DE BENITO Spain
ベストヤングタレント賞 310 Julie JOYNER United States
以下、私の感想です。
昨年以上にコンテが踊れるかどうかが評価基準になっているように感じました。準決勝でクラシックがとても上手だった子がファイナルに残っていないのです。10年ほど前まではクラシックかコンテのどちらかがとびきり上手だったらファイナルに残れていたのですが、ダンサーのレベルが高まっており2つとも揃えないと残れない時代になってきているということですね。
もちろん1週間のクラスレッスンでの審査や将来性など、様々な審査で総合的に判断しているでしょうからコンテだけが理由ではないでしょうけどね。
近年アジアのダンサーのスタイルがどんどん良くなってきていると感じます。
(「スタイルが良い」というのは何を基準にするのかで今後使いにくい言葉になるのかもしれません)
特に韓国のダンサー達の手足の長さや頭の小ささなどが印象的でした。これはここ数年アジア人のスタイルが良くなったのではなく、レッスンの質が高まりスタイルの良いダンサーが上手に踊れるような環境が整ってきたからなのではないでしょうか。
レッスンの質が高まりダンサー全体のレベルが高まれば高まるほど、同じだけ踊れるならば手足が長くて頭が小さい方が選ばれやすいのは否定できない部分だと思います。
その結果が現在のアジア人がスタイルが良くなったと感じる理由だと思います。レッスンの質が高まるほどにバレエ教室もどんどん淘汰される時代になってきているのではないでしょうか。
フィジカルの強さも10年前と比べて変わってきた印象です。
10年前(菅井円加さんが優勝した年)はまだフィジカルの弱い子でも上手に踊っていればファイナルに残れていましたが、そんなダンサーは一人も見かけません。確実に全員が強いフィジカルを持っているはずです。この10年でバレエ業界に筋力トレーニングを取り入れることが常識になってきたことも大きく関係していることでしょう。
毎年生放送で見続けて10年目になります。
トレーナーとしてダンサーに深く関わるようになってから12年が経ち、随分と「バレエとトレーニング」の関係性が変化していくのを見てきました。今後はさらに効果的で安全なエクササイズが多くのダンサーをサポートしていくことになっていくと思います。
言い換えると、適切なエクササイズをしないと勝てない時代になってきているとも言えます。
「バレエの筋肉はバレエでしか作れない」
この言葉はある意味正しいのでしょうが、バレエだけではバレエダンサーになれない時代がもう目の前に来ているとも感じています。適切なツールやエクササイズでより良く踊れるようになることを願っています。