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皆さんは床の声を聞いたことがありますか?

私は雪の声なら聞こえます。
そしてスキーレッスン中には「もっと雪の声を聞こうとしてください」と伝えるようにしています。
(あ、私は実はスキー教師としてスキー学校の教師研修を担当したりしています)
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もちろん「声が聞こえる」というのはフィーリングワードですので、
本当に耳に音として届いているわけではないのですが、聞くのに近い感覚を研ぎ澄ますと感じることができる「何か」があるのです。

スキーの場合は雪質の変化が大きいので「硬い・柔い」のような違いがあり、声を聞こうとする環境になりやすいです。そうでなければうまく滑ることが出来ませんから。
聞こえるようになって来ると1ターンずつ雪の声を聞きますし、さらには1ターンの前半・中盤・後半でそれぞれ声が違うことを理解できるようになります。

一方で「コンクール会場のリノリウムが滑る」とか「ワークショップ会場の床が硬い・柔い」などの違いは皆さんも経験があるはずです。

ただ、聞こえてこない人には「あの床滑るから嫌だ」で終わってしまう床も、
床の声を聞こうとする人にとっては「これくらいの感じでいけば滑らないかな?」と力加減を「床に聞く」ことで最適解を探すことができるのです。

フィギュアスケーターもリンクが硬い・柔いというのがあり、得意な硬さじゃなければうまくいかないという話をよく聞きますが、氷の声を聞くようになれば対応できる幅がぐっと広がります。


ポイントは二つです。

一つは声を聞こうとすること。
床や空間、道具、自分の身体に「どれくらいがちょうどいい?」と問い続けることです。

聞こうとする人にしか声は聞こえません。上手なダンサーでも床の声を聞かない人は、床の変化に対応するまでに時間がかかります。

ローザンヌの斜めの床やヴァルナの隙間だらけの床などでも声を聞ける人はすぐに合わせられます。

もう一つのポイントは我を通さないこと。
自分にとって一番良い力加減は、床にとって一番じゃない場合があるのです。
いつも自分が中心に考えるダンサーは「床が悪い」と考えてしまいます。
(そして条件はみんな一緒なんですよ!って先生に怒られたりします)

床や空間や身体の声を聞かないままいつでも同じ力加減で動くと、
ちょっとでも環境が変わった途端に調子が崩れてしまって、力が出しきれなくなります。

相手の声を聞いて、相手に合わせて動くことで自分の動きが上手くいくわけです。

人間関係と同じですね。


道具をうまく使いこなせる人も同じ感覚を持っています。
スキーが動きたい方向を感じ取るとうまく滑ることが出来ますし、
ダンサーであれば椅子やテーブルなどの小道具との会話や、
バレエであればタンバリンや扇子、弓などは当然のこと、衣装の声も聞こえるようになれば
より良く踊ることができるようになるはずです。

フィギュアスケーターは氷の硬さに合わせて滑る人と「滑りづらい」って思ったままいつも通りの滑り方をする人ではジャンプの成功率に大きな違いが出ます。


声を聞き、会話することがもう一つ上の次元へと自分を引き上げてくれます。


まずは床(氷)の声を聞くことから始めてみませんか?