スキー指導をする際に意識していると非常に役立つポイントがいくつかあります。
人は何かを誰かに伝える時に「インストラクション」という手法を使っているのですが、
インストラクションの教育を受ける機会というのは非常に少ないので多くのスキー指導者が
誰かに習った方法を活用してスキー指導することになります。

私は運が良く、20代の頃に大手スポーツクラブの社員研修で徹底的にインストラクションを叩き込まれ、その後行動分析学に興味を持ち独学で学んだことで、現在では社員研修などで企業に呼ばれるような立場になることができました。

今回はそのノウハウの一部をみなさんにご紹介していこうと思います。

まずはスキー指導でよく問題になるのが「指導言語」です。
技術の伝達をする際にはスキーだけではなくあらゆる世界で使われるものなのですが、
これが役立つ反面、混乱の原因にもなるので注意が必要なのです。

具体的に言うと「スキーをふむ」「胸で押さえるように」「走らせる」「滑りが軽い・重い」「重心を谷に落とす」などです。
つまり感覚的な操作を抽象的な言葉にして伝達する時に使用されるのが指導言語です。

これがスキーを始めて習った人や、理系の人には大きな違和感になるのです。
「踏んでもスキーは何も起きません(むしろ踏もうとすると軽くなります)」
「胸で押さえるというのはうつ伏せになれということですか?」
「スキーには足がついていないので走りません」
「滑りに軽いも重いもない(体重は変化しない)はずです」
「重心は移動できますが落ちたら転びます」

上記のセリフを読んで「屁理屈言うな!」と感じてしまった人は
指導言語が共通言語だと感じてしまっている人である可能性が高いです。
まずは感覚的なすり合わせがないと、指導言語は正しく伝わりません。
もっと言うと、いつまで経っても100%伝わったかどうかは分かりません。

一方で科学や力学に基づいた指導上の説明は言葉さえ知っていれば伝わりやすいです。
「膝を曲げ伸ばしします」
「スキーのたわみを感じてください」
「重心を谷方向へ移動させてください」

そして多くの指導者は指導言語と力学的、解剖学的な説明がごちゃごちゃに混ざったまま
まるで全てが科学かのような説明をしてしまう傾向にあります。

すると学び手としては(習う方も学びのプロじゃないですから)混乱してしまうケースが出てきます。
ここで指導者は過去にうまく行っていた事例の記憶があるので
「これで分からないお前が悪い」なんて頭に浮かんでしまう人も結構いるのです。

指導言語は自覚して使うなら問題ありません。しかしそれはあくまでも感覚的な話であることを忘れてはいけません。「私の感覚としては」と付け加えるだけでかなり指導がスムーズになります。
仮に指導言語を使わないでスキーレッスンすると、
「ターン中に発生する力のベクトルと膝関節及び股関節のアイソメトリック的な筋収縮のベクトルを合わせることで沈み込み角を増やし、そこで発生した力を次のターンに繋げるために重心移動を行なってください」
とかこんな感じになると、そもそも覚えなければならない言葉のボキャブラリーが増えてしまい、スキーどころではなくなってしまいます。
(こういうのが心地よい人も一部にはいるんですが、一般的ではないですね)

それなら「スキーを踏んでたわませて反力でスキーを走らせて谷方向へ重心を落としてください」
の方が感覚的に理解しやすかったりするわけです。


一方で、習うコツというものもあります。

まず大前提にスキー指導者のほとんどが専門的な指導における訓練を受けていないということを
忘れずにいてください。そしてほとんどのスキー指導者はスキー指導が本職ではなく、
ましてや指導業が本職ではありません。経験によって上手な指導ができる人に出会えることを願っています。

ですからまずは言われた通りにやってみて、うまくいかなかったら
自分なりの解釈で別の動きをしてみるように心がけてください。
言われたことと全然別のことをやった結果「そうそう!それです」と言われることもよくあります。

言葉よりは「どう見えるのか」の方が優先した方が上達します。
また、日替わりのように教えてくれるインストラクターが変わる場合は
「同じことを言っている」という前提で話を聞くようにしましょう。
真逆のレッスンをしているように感じても、その多くは最終的に同じことを目指していることが多いです。
ですからどこをどう展開していくと同じことになるのかを考えてレッスンを受けましょう。
そうすればレッスンでの本質を見抜けるようになるので上達が進みます。

スキーは効率よく習うと上達スピードが全然違います。
5月3日のセミナーではそのヒントになるものを沢山ご用意しています。
指導者の方も、スキーが上手くなりたい方もどうぞご参加ください。
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Morimaji2017