2021/09/15

Manzana

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きびしい残暑の続く東京の店先に旬の林檎が何種類も並びはじめました。台風の被害が多かった今年の日本、林檎農家さんの苦労は計り知れません。スペイン北部のアストゥリアス地方はマンサナManzana林檎の産地の一つ、ガリシア東部やバスク地方の林檎も美味しいことで知られていますが林檎酒シードラ祭りを含めどの産地も収穫祭は10月すぎです。スペインで9月に林檎が採れるのはカナリア諸島グラン・カナリア。バジェセコの街では9月16日から10月21日までの約1一か月のあいだ林檎の収穫祭が開催されます。
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マンサナは林檎という意味のほかに都市の街区や一区画を表す言葉でもあり、またManzana de Adànアダムの林檎となると喉仏のことを指し、なんと誘惑者という意味もマンサナは持っています。
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林檎を使ったお菓子は林檎の産地スペイン北部地方の修道院から誕生したものが多く、とりわけタルタ・デ・ラ・マンサナTarta de la manzana林檎ケーキは人気があります。作り方が簡単だったためスペイン全土に広がり秋から冬にかけての手作りお菓子の代表格として家庭で作られるようになりました。
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基本形は林檎の薄切りをケーキ生地に混ぜて型に入れ、くし形に切った林檎を上に飾ってオーブンで焼き、冷ましてからアンズジャムを塗るという簡単な焼き菓子タルタ・デ・ラ・マンサナ。しかし簡単ゆえに家庭によって色々と工夫を凝らしたり地方によってバターでなくラードを使ったりしたため呼び名は同じでも食感や見ため味わいなどに違いが生じる事になりました。
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焼き林檎はフランスとスペインの境にあるバスク地方から瞬く間に世界に広がったスイーツです。アメリカやイギリスを経由して日本の家庭にも浸透し家庭用オーブンの普及とともに1970年~75年(昭和45~50)頃から冬の定番おやつになりました。簡単な手作りスイートポテトが日本の料理本に浸透してきたのも同じころです。
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ガリシア地方で生まれたマンサナ・フリータManzana frita揚げ林檎も作り方は非常に簡単です。甘口シェリー酒と砂糖で作ったシロップに輪切りの林檎をしばらく漬けてから卵と牛乳と薄力粉の衣にくぐらせて揚げシナモンシュガーをふるだけといったお手軽なスペインおやつです。
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林檎を使ったスペインのお菓子はどれも簡単。酸味と甘みのバランスが良くバターやシナモンの風味がアクセントになっていて飽きのこない美味しいものばかりです。
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2021/09/01

La Fiesta

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フィエスタFiesta、祭典、祝典、祭り、宴会、祝祭日のことです。8月に世界の新型コロナ感染者は二億を超え大小さまざまな祭りは今年もことごとく中止、バレンシアの火祭り、セビージャの春祭り、ウエルバのロシオ巡礼祭り、パンプローナの牛追い祭りなどスペインでもたくさんのフィエスタが取りやめになりました。8月最終水曜日25日の予定だったFiesta de La Tomatinaトマティーナ祭り。開催地バレンシア州ブニョルめがけ毎年世界各地から集まる40000人の参加者と見学者は「今年も見送り」と発表されどんなにガッカリしたことか。。。
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かれこれ60年続いているトマティーナは熟したトマトを握りつぶし相手かまわず投げ合うお祭りです。防水シートで保護され仕切られた特別エリアには参加費を払った群衆がゴーグルを装着してひしめき合い、どこかで作られているらしい専用トマトがトラックで何杯も会場に運び込まれると祭りの始まりです。午前11時に水の掛け合いから始まり13時までの二時間きっかりだけ行われる規則正しいトマト投げ合い合戦、こういった類の祭りはフィエスタ バタージャFiesta Batallaバトル祭りと呼ばれ観光客が集まり町興しにもなるため行政も力を入れています。
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食べ物を投げ合って楽しむ祭りなど眉をひそめる日本人も多いと思いますが日本の食料廃棄量はかなりのものです。一年で5800㌧輸入しながらその三分の一は廃棄、食品ロスに至っては国別ランク世界第三位、個人ランク世界第六位、オリンピック開会式で過発注した4000食のスタッフ弁当を食品衛生法を盾に無思慮に廃棄するというのが日本のモッタイナイの現実です。
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スペインにおけるフィエスタ バタージャの発端はトマティーナのように市議や町長など御上に対する町民の不満や隣村との利権争いが多いようです。9月16日に行われるBatalla de uvaブドウ合戦はバレアレス諸島マジョルカ島中央部のビニサレムで葡萄の収穫祭ベンディミアの最後をかざる祭り、約15㌧の規格外ブドウを投げ合います。同じ9月にはバレンシア州ラ・ライマでもブドウの投げ合い合戦が行われ、また毎年6月にはラ・リオハのアロ村で行われるBatalla del vinoワイン合戦があり、こちらは90㌧のガルナチャブドウから作った赤ワインをバケツや水鉄砲で惜しげもなく掛け合います。これらのバタージャに使われるのは専用に冷蔵保存しておいた間引きブドウや刈り取られずに枝に残った育ちの良くないブドウから作ったワインです。
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スペインには粉と卵の投げ合い合戦もあり、バレンシア州アリカンテのイビで暮れも押し迫った毎年12月28日に行われているエルス・エンファリナッツ(Los Enharinadosロス・エンアリナドス)は200年も続いています。卵と3000㎏の小麦粉それに爆竹も使うものすごく派手なバタージャで有名です。その他にもカスティージャ・ラ・マンチャ州のシウダーレアルにあるフエンテ・エル・フレスノでは5月23日に、またガリシア州オウレンセのシンソ・ダ・リミアでカルナバルの2月2日に行われるFareleiroファレレイロと呼ばれる粉かけ合戦も知られています。どの粉かけバタージャも正確な時間とエリアに加えショーウインドー、車やバイク、目に投げない、ゴーグルとマスクを必ず装着するなど厳しい規則が設けられています。
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同じ粉かけ祭でもヒンズー教のインドやネパールのホーリー祭は豊作を祈って色のついた粉や水を掛け合うといった涼し気な春祭り、タイのソンクラーン祭りは旧暦の新年を祝って水を掛け合います。日本の水かけ祭りは真冬の二月に岩手県大原での神事がありますね。
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バタージャ開催はスペインだけではありません。小麦粉を投げ合う祭りGalaxidiガラクシディという祭りが2月のギリシャにもあります。同じく2月、カルナバルの最終日にイタリアのトリノにあるイブレアの街では400㌧ものオレンジを投げ合う祭りがあり、起源は中世、貴族に対する民衆の反乱でした。中国広東省は村おこしのため春節におよそ100人の住民が6㌧の巨大トウフを作り観光客とちぎって投げ合うバタージャが最近始まり、2008年からは15㌧のトマトを投げ合う広東版ミニトマティーナもできました。こうしたトマト合戦は1982年からアメリカ合衆国コロラド州をはじめ2004年にはコロンビアでも始まったようです。いずれにせよどの自治体にとってもフィエスタ・バタージャはドル箱だということです。参加する観光客が町に落とす金とトマトを天秤にかければトマト代金の方が軽いのですから。
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派手な投げ合いを楽しむバタージャではなくても世界には大食い競争はじめ食べ物を使ったさまざまな選手権がありますね。例えばコロラド州マニトウ・スプリングスのフルーツケーキ投げ選手権。あるいはイングランドのケント州コックヒースで半世紀以上の歴史を持つパイ投げ選手権、これは1967年に公民館を建てるためのチャリティーイベントとして開催されたのが最初でした。同じイングランドのコッツウォルズ地方グロスターシャーでは大きなチーズを丘から転がして追いかける選手権が知られています。
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マグロの水揚げ量世界一の南オーストラリアにあるポートリンカーンでは毎年1月の終わりにツナラマ祭りを開催しています。趣向を凝らした数々の催し物の目玉はマグロ投げ選手権。砲丸の代わりにマグロを投げ飛距離を競います。昔は本物のマグロを投げていましたが現在は諸事情のため決勝以外はレプリカを使用しています。おなじオーストラリアのチンチラで二年に一度開催されるスイカ祭りのメインはマッドスキー、スイカを履いて頼りの綱を握りしめバランスを崩さないようにコースを滑る距離を競うのだそうです。
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2021/08/15

Plato Español ⒄ (Castilla La Mancha)

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『スペインの17自治州の郷土料理』、最終回はカスティージャ・ラ・マンチャ州Castilla La Manchaです。「ラ・マンチャの男」と題して数々の演劇や映画が制作された長編騎士道小説「ドン・キホーテ」の舞台はシウダーレアル、トレド、アルバセーテ、クエンカ、グアダラハラの五県で現在構成されています。しかし中世カスティージャ王国として栄えていた頃のラ・マンチャにはマドリードも含まれていました。1978年憲法で自治州制度が導入された時すでにスペインの首都だったマドリードはその経済格差から県ではなく独立した州としてカスティージャ・ラ・マンチャから切り離されたのです。
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イベリア半島中央部、ヨーロッパいち標高の高い首都マドリード。その南東部に続くラ・マンチャの高原地帯はとくに夏季において大陸性気候の影響が大きく、午後の熱波、夜から早朝の冷え込みと気温が劇的に変化します。湿度は低く年間降水量はわずか350ミリ、赤茶色の荒野がカラカラに干上がる真夏の平均気温は39度、当然のように毎年水不足になります。
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粘土質で酸化鉄を多く含む赤土は陶土には最適だけれど植物が根を張れません。タマネギしか穫れないラ・マンチャなどと言われ馬鹿にされていましたが、そんなのは過去の話です。灌漑設備と土壌研究を重ね、少量高品質を重視したニンニクは中国産を抜き、サフランは世界生産量の四分の三がラ・マンチャ産、種類豊富な豆類の生産、オリーブオイルはアンダルシアに次ぐ第二位の生産量、ラ・マンチャは今や世界最大ワイン生産地のひとつであり、標高7~800m雨少なく寒暖差のある生産地モンデハールやアルマンサの赤ワインは骨格のしっかりしたフルボディとして知られています。
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ラ・マンチャ地方の羊乳のチーズはギリシャ、ローマ時代から生産されており、1984年原産地呼称を獲得したマンチェゴチーズQueso Manchegoの素直な美味しさは日本でも定評があります。イタリアやスイスと違ってスペインではチーズを料理に使うという習慣が殆んどなく、少なくとも四分の一キロからの量り売りを塊りで購入しダイスに切ってそのまま赤ワインのツマミにしたり薄切りをバゲットに挟んで軽食にするのが一般的です。
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マンチェゴとつくラ・マンチャ料理の代表格ピスト・マンチェゴPisto Manchegoはスペイン全土に広がっているアラブ起源の常備菜。イタリアのカポナータ、フランスのラタトゥイユに通じるものがあります。赤パプリカ、ピーマン、タマネギ、ズッキーニ、ナスなどをオリーブオイルで炒めたっぷりのトマトを加えて仕上げるピストはビタミン豊富でとても重要な伝統食です。ダシに生ハムの切り落としを加えたり固茹で卵をトッピングにすることもあります。またアサディージョAsadillo Manchegoは焼き赤パプリカとトマトをザクザク切って炒め煮した野菜料理。ピストに似ていますがもっとあっさりとしています。肉料理の付け合わせやソース代わりに使われることが多いかもしれません。
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真夏の屋外で働く農夫や羊飼いの栄養源Gazpacho Andaluzガスパチョ・アンダルスもまた野菜たっぷりで重要な携行食です。シウダーレアル県南部はアンダルシア州と接しているためガスパチョ以外にも共通する料理が見受けられ、昔々、移動放牧の長旅の間に羊飼いが広めたMigasミガスもそのひとつ。日をおいて硬くなったパンを崩して日持ちするベーコンやニンニクなどと炒めたのが始まりと言われています。
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ガスパチョは夏のメニュー、冬には濃厚なスープの煮込み料理Cocidoコシード、Sopa de Castellanaソパ・デ・カステジャーノ、Sopa de Ajoソパ・デ・アホといったニンニクの効いたスープがあり語るまでもなく日本のスペイン料理店でもお馴染みです。ラ・マンチャの冬はカスティージャ・イ・レオン州ほど厳しくはありませんが空気が乾き標高も高いため風向きによっては底冷えのする日もあるのです。
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Carcamusasカルカムーサスは豚の赤身肉のトマトソース煮込みに初夏の旬グリンピースを加えたトレド県の郷土料理です。スペインの家庭料理にはPlato de cucharaプラト・デ・クチャラと総称されるスプーンだけで手早く食べられる煮込みGuisoギソの類いが少なくありません。料理する=ギソする=煮込む、と辞書にもあるほど煮込みは庶民の胃袋を満たす核的存在です。定食屋だとパエジャかサラダが一皿目、プラト・デ・クチャラは二皿目の扱いですが子育てで忙しい一般家庭の平日だとプラト・デ・クチャラとパンで簡単に済ますこともあります。カレーライスやチャーハンの手軽さと同じですね。
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アルバセーテ県に接するムルシア州に起源を持つアタスカブーラスAtascaburrasは別名バカラオ・コン・パタタスBacalao con patatasジャガ鱈とも呼ばれているラ・マンチャ名物タパス、あるいはプラト・デ・クチャラです。
簡単に言えばほぐした塩鱈を混ぜたマッシュポテト。前回カスティージャ・イ・レオン州のパタタス・レボルコナスを紹介しましたが、あのお魚バージョン、コレステロール値を抑えたいならこちらをおススメします。
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クエンカ県名物のサラッホスZarajos仔羊のかまど焼きはガイドブックのグルメ情報によく登場しますし、知る人ぞ知るマデッハスMadejas仔羊のトリッパぐるぐる焼きはカスティージャ・イ・レオン州のラ・リオハでも紹介してしまったし、というわけで、最後の一皿はGachasガチャスを紹介しようと思います。
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ガチャスは小麦粉と牛乳あるいはコンソメスープを粥状に煮たものでスペインの離乳食です。飢えを満たす食べ物だった時代もありガチャスを作る小麦粉さえ手に入らない時はカラスノエンドウ豆やラチルス豆を挽いた粉を使いました。ピンク色の小さな花のあとに上を向いて付く黒いサヤが印象的なカラスノエンドウは春先の東京でもたくさん見ますね。ラチルス豆Almortasアルモルタスというのは日本名レンリソウの豆のことです。日本では川岸などに自生していますが埼玉県など地域によっては絶滅危惧種に指定されている貴重な植物なのです。
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地中海沿岸から広く西アジアまで特にインドで栽培されているラチルス豆は乾燥に強くやせ地でも育ち豆の収穫量も多いため小麦と混植される植物です。美しい色の花を咲かせるアルモルタスですがレンリソウ属に分類される植物には有毒成分が含まれています。挽いて粉にしたラチルス豆は少量なら問題ありませんが多量に常食すると下半身の麻痺を伴うラチルス病を引き起こすと言われています。
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2021/08/01

Plato Español ⒃ (Castilla y León)

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スペイン最大の面積を持つCastilla y Leónカスティージャ・イ・レオン自治州はその名からも分かるように東のカスティージャと西のレオンという二つの地域を結合した地方です。現代のスペイン王国が成立したのは19世紀初頭のこと。それ以前の、ブルゴスを首都としたカスティージャ王国とレオンを首都としたレオン王国が婚姻関係を重ねながら併合と分離を繰り返していた中世代の「スペイン」とはこのカスティージャ・イ・レオン地方のことでした。
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首都マドリードか半日で往復できるアビラやセゴビアなどの名所があり海外からの観光客にも人気のあるカスティージャ・イ・レオン州はメセタと呼ばれる高原台地の上に乗っています。イベリア半島中央部の約半分を占めるメセタの北半分がカスティージャ・イ・レオン州、南半分がカスティージャ・ラ・マンチャ州と言えば分かりやすいでしょうか。
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5~800mと標高が高く寒暖の差が激しい大陸性気候のため雨が少なく乾いた大地が広がっていますがメセタの中央を東西に流れるドゥエロ川水系の周辺は沃野が広がり豊かな実りをもたらしています。20種類もの豆の産地であり、キノコ、栗、上質な松の実で有名なカスティージャ・イ・レオンの主産業は牧畜。飼育する羊の数と品質は常にトップクラスを保っています。
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そして食肉のトップもやはり羊。カスティージャ・イ・レオンだけでなくスペインの羊肉は驚くほど美味しく部位も脚、腿、脇腹、背肉と豊富です。広く知られているセゴビア名物にCochinillo asadoコチニージョ・アサード仔豚の丸焼きがありますが、ブルゴスやパレンシア、バジャドリーの名物にはCordero lechal asadoコルデロ・レチャル・アサード乳呑み仔羊の丸焼きがあり、カリッとローストされた皮と脂肪が少ないのにしっとりした香ばしい肉には塩だけで充分、アメリカやイギリスのようなミントソースなど不要な美味しさです。
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交通事情の悪かった昔、魚介といえばカワマスやテンカ(鯉科の淡水魚)、カタツムリやザリガニでした。レオンのSopa de truchaカワマスのスープ、パレンシアのGuiso de cangrejo del rioザリガニの炒め煮は伝統的な家庭料理として今も愛され続けています。
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ガリシア州境に近いEl Bierzoエル・ビエルソ地方は赤ワイン生産地としても知られていますが冬の御馳走あるいは保存食としてBotilloボティージョという特別な腸詰料理があります。今は市販品の購入が多くなりましたが昔は初冬のマタンサの時期に各家庭で手作りして保存しておいたボティージョを祝い事など家族が集まる時に煮込んで楽しみました。大きな鍋に丸ごとを入れキャベツやジャガイモ、ローリエと共に水から二時間半ほどとろ火で煮込み最後の15分にチョリソを足して完成です。大皿に盛ってからボティージョを割りほぐして中身を取り出し皆で分けます。
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ソリアやアビラ、サラマンカではトレスノTorreznosをよく食べます。トレスノとは皮つきの豚の脂身をカリカリに炒め揚げたもので適当な大きさに切ってオツマミとします。マドリードのバルにもたまに置いてありますしアンダルシア自治州カディス県のヘレスではチチャロネスと呼ぶ郷土の名物です。
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Patatas revolconasパタタス・レボルコナスというオツマミはソリア庶民に人気のある一品。トレスノを取り出したあとの豚脂でパプリカ粉とカイエンヌペパー、輪切りのニンニクを焦げないように弱火で炒めます。あらかじめローリエとともに茹でておいた温かいジャガイモを加えパプリカ風味の粗いマッシュポテトを作り、飾ったトレスノでマッシュポテトのディップをすくって食べます。
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北のカスティージャ・イ・レオンと中央のマドリッドと南のカスティージャ・ラ・マンチャは大らかな気持ちで見れば同じカスティージャ地方の自治州。郷土料理はかなり似通っています。代表格ソパ・デ・カステジャーノやコシードは日本でも知られている有名料理なので今回は紹介を省きました。












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2021/07/15

Plato Español ⒂ (Aragón)

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スペイン北東部、ピレネーの山中で生まれた小さな伯爵領が15世紀に王国へと発展したAragónアラゴン自治州。アンダルシアやカタルーニャに比べると海外からの観光客が少ないのはアクセスが悪いわけでも魅力に乏しいわけでもなく、口下手で売り込みの不得意な頑固者というアラゴン気質が影響しているのかもしれません。
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いくつもの宗教が共存してきた歴史を鮮明に物語るムデハル様式の建築物をはじめアラゴンには幾つもの見どころがあります。スペインでもっとも美しい村第一位に輝いたAlbarracinアルバラシン村やAlquezarアルケサル村があり、ヨーロッパでいちばん保存状態の良いロマネスクの城Loarreロアーレがあり、アランブラ宮殿に大きな影響を与えたAljaferiaアルハフェリア宮殿もあるのです。
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州の中央に位置する州都サラゴサ県サラゴサは工業を中心にアラゴン経済を担っているスペイン第五の重要な都市です。北部ウエスカと南部テルエルを足した三県で構成されるアラゴン州を西から東へ横切るエブロ川流域では製造業に加え伝統的な牧畜と農業の第一次産業も盛んに行われています。
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9月に出まわり始めるテルエル県カランダの黄桃は王室に収められるほど品質が高く、またウエスカ県バルバストロの大玉トマトやサラゴサ県フエンテス・デ・エブロのタマネギもまたアラゴンを代表するDOP付きの農作物です。北スペインでポピュラーな野菜カルドやボラッハ(ボリッジ=ルリヂシャ)はアラゴン料理にもよく登場します。日本でいうとコマツナ的な存在でしょうか。
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アラゴンと言えば仔羊Corderoコルデロ料理。ヘミングウェイの大好物だった仔羊のチリンドロンソース煮込みはアラゴンやリオハ、ナバーラの郷土料理としても有名です。仔羊はアサード、ギサード、チリンドロンと言われ細切れ肉の炒め煮ギサードと違ってアサード・デ・テルナスコAsado de ternasco仔羊のローストはアラゴンのクリスマスを祝う定番料理となっています。ローストラムにミントソースを添える国もありますがスペインでは塩だけでいただくのが一般的です。
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ternascoテルナスコとは生後70~100日以下で母乳と自然の穀草で育った8~12キロ半までのIGP付きアラゴン産仔羊の呼び名で柔らかいという言葉が呼称のもとになっています。羊の国スペインらしく乳飲み仔レチャッソLechazoは生後30~45日まで、パスクアルPascualは3か月以上などなど年齢により呼び方が変わります。山に囲まれた狩猟と牧畜の郷アラゴンではヤマウズラ、シカ、野ウサギ、イノシシ、カワマスなども食卓にのぼりますがメインは豊富な野菜と仔羊でしょう。
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Rancho Aragonésランチョ・アラゴネスはごった煮という家庭料理です。ラム、豚リブ、チョリソなどの肉類を柔らかく茹でてローレルやタイム、ジャガイモなど幾つかの野菜、ニンニクとパセリとアーモンドをすりつぶしたダシと米を加えてとろ火で煮込む冬の定番。
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Recao de Binéfarレカオ・デ・ビネファも寒い季節の料理で、白インゲン、タマネギ、ジャガイモ、ニンニク、チョリソ、米をカイエンヌペパー風味でコトコト煮込みます。
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Borrajas con patatasボラッハス・コン・パタタスは茹で野菜料理の定番で付け合わせやサラダとしても食卓にのぼります。食材はボラッハ、ジャガイモ、ニンニク、ベーコン、仕上げに茹で卵をのせたりもします。
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ウエスカ県ソモンタノ村で毎年祭りが催されるほどの名物Chiretasチレッタス。仔羊の胃袋にみじん切りのアバラ肉、ハモン、タマネギ、パセリ、ニンニク、茹でた米、シナモンなどを詰めたものです。これを葱やニンニクを投げ入れた湯でしっかり茹で、輪切りにしてそのまま、あるいはフリッターにしアーモンドソースなどで食べます。
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同じく内臓料理のMadejasマデッハスは仔羊の腸を芽ニンニクを芯にぐるぐる巻きにしたものです。因みにマデッハとは毛糸玉のように巻かれた糸を意味します。チレッタスのように丸ごと茹でてからそのまま或いは輪切りにして多めのオリーブオイルでこんがりと焼いたらみじん切りのニンニクとパセリを加え塩をふって食すタパスです。土地によって呼び名は違いますがリオハやカスティージャ地方など内陸部のバルで二本棒を芯に巻かれた仔羊の腸をよく見かけます。
















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2021/07/01

Plato Español ⒁ (Navarra )

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ナバーラ自治州はスペイン北部ピレネー山脈のふもと辺りに位置しています。フランスと国境を接しアラゴン、ラ・リオハ、パイス・バスコの三州に囲まれているナバーラはバスク語で山々に囲まれた平原という意味。パイス・バスコと接している北部を中心にバスク人が多く居住しバスク語を話し食文化も共通しており、その成り立ちの歴史からナバーラはバスク地方と呼ばれています。また中世には王国として栄えていたため自治州とは言え現在も法的にはスペイン国のなかに存在するナバーラ王国という位置づけなのです。
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日本ではまだまだ認知度の低い州ナバーラは日本を訪れた最初のスペイン人と言われているイエズス会のフランシスコ・ザビエルの生誕州でもあるのですが「ふーん・。・」ですよね。ではでは美しい州都パンプローナで毎年7月6日に行われるサン・フェルミンの牛追い祭りはどうでしょうか。「あ!いつだったかニュースで見た!」
ヘミングウェイの小説で一躍世界的に知られるようになった牛追い祭りの行われるところ、そこがナバーラ自治州です。
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いちばんのナバーラ特産品は何と言っても極太のホワイトアスパラガスでしょう。水煮の瓶詰めも流通していますが旬は初夏、柔らかくて香りがよく、茹でて充分に冷やし自家製マヨネーズを添えただけのシンプルな一皿は感動ものの美味しさです。同じトゥデラ産のミニロメインレタスCogolloコゴージョも人気があり縦四つ割りにしてアンチョビドレッシングとともに前菜やサラダとしてよく使われます。
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ソラマメ、アーティチョーク、小ぶりで赤いピキージョピーマンも特産地で、赤パプリカのチョリセロやニョラのように炭焼きして皮と種を取り除いて料理に使います。珍しい食材としてはカルドというアザミの茎で生ハムと炒めたりしますが、大きさも形も大ぶりのセロリ、紫色で味はアーティチョーク。セロリのように筋をとり水煮した瓶詰めはスペイン全土に流通しています。
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バスク料理でもあるマスのナバーラ風、トゥルーチャ・ア・ラ・ナバーラTrucha ala Navarraはもはやスペインを代表する郷土料理で羊飼いが川で釣ったマスの腹を裂いてお弁当のボカディージョ=サンドイッチの生ハムを挟んで焚火で焼いたのが原点と言われています。家庭だとラードでニンニクとベーコンを炒めて取り出した鍋でハムを挟んだマスを焼きますが、淡泊なマスの身にハムの塩分と香りが移ってとても美味な料理です。
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ピレネー付近の山間部は物資の流通が難しいうえオリーブオイルは貴重品だったので豚や羊などの獣脂を使うのが昔は一般的でした。海産物ときたら滅多にお目にかかれない高価な食材でしたから、魚はカワマス、たくさんの野菜と羊肉の家庭料理が多くなりました。
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ナバーラだけでなくラ・リオハやアラゴン州の料理でもあるチリンドロンChilindorónは何種類もの野菜のごった煮ソースで仔羊や鶏など好みの肉を煮込む最も伝統的なもの、揚げ羊肉の煮込みCochifritoコチフリートは羊飼いが作っていたナバーラの名物料理で、炒めたニンニクとタマネギの鍋で羊肉をレモンと一緒に柔らかく煮込む素朴で爽やかな香りの一皿です。
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ナバーラ名物といえばPacharánパチャランという食後酒もその一つ。アニス酒に野生のスピノサスモモを漬けこんだパチャランは600年を超える歴史を持つ各家庭手作りの常備薬用酒で企業による商品化はここ60年ほどにすぎません。消化促進、整腸作用、喉の痛み、風邪予防などに効果がありナバーラ女王も療養中にスプーンで飲んでいたと伝えられています。エンドリーナEndrinaスピノサスモモはブルーベリーのような果実で甘酸っぱくビタミンが豊富に含まれ、昔は野生の実をたくさん摘むのが大変でしたが現在は栽培されています。
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2021/06/15

Plato Español ⒀ (La Rioja)

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スペインに数あるワイン産地のなかで知名度の一番高いLa Riojaラ・リオハ。とても小さな自治州ですがブドウの栽培面積は世界第一位、95万ヘクタールの広大な葡萄畑でテンプラニージョという黒いブドウの70%を生産しています。
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テンプラニージョから生まれるワインは凝縮された深い果実味を持つ伝統的なボルドータイプの赤です。お気に入りの白いドレスにうっかりこぼされたら機嫌が悪くなりそうな赤ワイン、でもTシャツに水鉄砲で安価なワインを掛け合うのなら楽しいかもしれません。Batalla del vinoバタージャ・デル・ビノはバレンシアのトマト投げ合い祭りトマティーナほどおバカではないけれど有名なワインぶっかけ祭りです。
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毎年6月29日サン・ペドロの日に州都ログローニョの西にあるアロ村で開催される祭りの起源は6世紀に村の聖人が埋葬された洞窟に礼拝堂を建て命日の巡礼を村人が行っていたことでした。20世紀になってからワイン洗礼が付け足されたのですが、これは岩山の所有権をエブロ村と争ってワインを掛けたことが発端とも言われています。正午までの時間制限付きとは言え白いTシャツが赤く染め上がる前に香りで酔っぱらってしまいそうな祭りですね。
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ワインの産地だからと言ってワインを使った料理が格別多いわけでもないのが普通ですが赤ワインを使った代表的な郷土料理はウサギとカタツムリの赤ワイン煮込み(リオハ風)Conejo con Caracoles a la Riojanaコネホ・コン・カラコレス・アラ・リオハナでしょうか。ウサギもカタツムリもスペインではポピュラーな食材です。Bacalao a la Riojanaバカラオ・アラ・リオハナも古くからある簡単な家庭料理のひとつで、ソテーした塩鱈の切り身をパプリカ、赤タマネギ、トマトソース、ワインなどと軽く煮こんでからオーブンで焼いたもの、ニジマスや鯛を使う場合もあります。
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Patatas a la Riojanaパタタス・アラ・リオハナという一皿は粗みじんのタマネギやニンニク、トウガラシをパプリカ粉と炒めてチキンスープを加え、チョリソとジャガイモをたしてとろ火で煮込んだ庶民のシチュー。また安価で栄養価の高い腸など内臓の煮込みも庶民の料理です。下処理した仔羊の腸をタマネギ、ニンニク、トウガラシ、クミン、ローレル、カイエンヌペパー、チョリソとともに煮込んだPatorilloパトリージョはリオハや隣のナバーラ州ではポピュラーな郷土の味です。
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カリフラワー、アーティチョーク、フダンソウ、インゲン、ニンジンなど残り野菜の炒め煮Menestra de verdurasメネストラ・デ・ベルドゥーラスはリオハだけでなくスペイン家庭料理の代表格。またラタトゥイユのスペイン版といえるピストは全土で食べられている野菜煮込みですが、リオハ風Pisto Riojanoピスト・リオハノは仕上げに溶き卵を加えるのが特徴といえます。
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白いキントキ豆とウズラの煮込みPochas con codornicesポチャス・コン・コドルニセスは北隣ナバーラ州の郷土料理でもあるようにラ・リオハはバスク州やカスティージャ・イ・レオン州とも接しているため料理がとても似ています。
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リオハのお菓子と言えばFardelejoファルデレッホ。アーモンドクリームをパイ生地で包んで揚げた伝統菓子ファルデレッホはイスラム教徒が伝えたとされ10世紀の文献にも登場する歴史のある美味しいお菓子です。
riojafardelejo

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2021/06/01

Plato Español ⑿ (Extremadura)

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日本では馴染みの薄い自治州Extremaduraエストレマドゥーラですがハモン・イベリコ・デ・ベジョタで知られるスペイン原産イベリコ黒豚の産地と聞いたら何だか親しみが持てるのではありませんか。バダホスとカセレスの二県で構成されるエストレマドゥーラ州はスペイン西南部、アンダルシアとカスティージャ・ラ・マンチャ、カスティージャ・イ・レオンに囲まれた内陸にあり隣国ポルトガルにも接しています。
extremadura
保護区Monfragüeモンフラグエ自然公園の周辺にはDehesaデエサと呼ばれる広大な丘陵地帯があり、コルク樫やトキワ樫など常緑樹木の繁った牧草地で羊や闘牛、そしてイベリコ豚ベジョタは大切に育てられます。ベジョタとはドングリの総称。豊富なオレイン酸を含むドングリと牧草だけを食べ思う存分野原を駆け回り好きなだけ眠るというスペイン独自の放牧養豚法モンタネラはドングリが熟して落下してくる季節の三か月間という期限付きで行われ、その間一日およそ13キロものドングリを食べることによって豚の脂の風味が増し体重も増えていくのです。ちなみにベジョタと明記されていなければ普通の飼料で普通に育てられたイベリコ黒豚、イベリコ・セボのこと、またハモン・イベリコでなくハモン・セラーノとは白豚を使った生ハムのことだそうです。
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ムルシア州と並ぶ品質の良いパプリカの一大産地エストレマドゥーラはサクランボの産地でもあり、モンフラグエ自然公園の北、カセレスとサラマンカの県境に近いJerteヘルテ村はピコタという大粒のダークチェリーを栽培しています。マラガのアルファルナーデ村、バレンシアのコーディエル村とともにサクランボ三大産地のひとつヘルテで毎年ひらかれているフェリア・デ・ラ・セレサFeria de la Cerezaサクランボ祭りは6月の第一日曜日。糖度品評会や種飛ばし、お菓子や料理のコンクールなどが催されます。
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エストレマドゥーラが発祥の地と言われ今ではスペイン全土で食べられている代表的な一皿をご紹介しましょう。Potaje de vigiliaポタヘ・デ・ビヒリアは復活祭前の四旬節の間と断食日の金曜に食卓にのぼる伝統的な精進料理でありスペイン各地にあるポタージュの原型ともなった郷土料理。ヒヨコマメをメインにタマネギ、トマト、ピーマンを魚のスープで煮込みホウレンソウと塩鱈バカラオ、ゆで卵を加えた素朴なプラト・デ・クチャラです。
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海には縁のないエストレマドゥーラですが鯉科の淡水魚テンカは昔からよく食べられてきました。川釣りが解禁される季節になると河川沿いの村々で祭りが開催され屋外で旬の味を楽しみます。素材を素揚げにしてドレッシングに漬け込むエスカベチェという伝統的な保存調理法がスペインにあります。エストレマドゥーラで何世紀も変化することなく伝わってきたエスカベチェはカセレス風と呼ばれ近代フランス料理のエスカベッシュはこの流れをくむ料理といわれます。
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Repápalosレパパロスは余って固くなったパンを粉にしてツナギのとき卵とあわせて団子にしたものを揚げた便利な食材でパセリとニンニクと塩胡椒で味付けした団子はスープの具や煮込みの添え物、あるいは炒めものに使います。お菓子として甘いレパパロスを作る場合はとき卵を砂糖、シナモン、アニスなどで味付けして揚げオレンジ風味の甘いミルクに浸して食べるのが一般的です。
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カセレスのラ・ベラ特産の肉厚赤パプリカを使うZorongolloソロンゴージョは常備菜でもありソースでもある家庭料理。皮をむいた焼きパプリカをニンニクのきいたオリーブオイルでタマネギと炒めトマトを足して少し煮込みパセリを散らしたもの。もう一品欲しい時の添え物やサラダ代わりに、あるいはゆで卵でボリュームを足してパンと共にいただきます。
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バダホスのフエンテ・デ・カントスという町で毎年四月最後の日曜に祭りがあるほど有名な郷土料理Chanfainaチャンファイナは仔羊の臓物をタマネギ、赤パプリカ、ニンニク、トウガラシ、ローズマリーやタイムなどで煮込んだ栄養満点のシチューです。臓物煮込みは肉に比べ安価で栄養価が高いためエストレマドゥーラだけでなくマドリッドなどカスティージャ地方の内陸部でも昔は一般的でした。
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ノウサギ、ヤマドリ、イノシシなど狩猟でしとめた獣肉や豊富なキノコを使う料理も内陸のエストレマドゥーラならではですが、祭りなど特別な日には大切な豚や羊肉の大鍋煮込みが食卓をかざりました。Caldereta de corderoカルデレタ・デ・コルデロはこっくりと羊を煮込んだエストレマドゥラを代表する煮込み料理だと言えます。
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2021/05/15

Plato Español ⑾ (Cataluña)

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2021/05/01

Plato Español ⑽ (Madrid)

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ベジタリアンやビーガンなど菜食中心の生活を送る人が増加している世の流れに逆らうように、マドリッド庶民の典型的な伝統料理を現代風に復活させたいという思いから2015年にゴヤ駅の近くに開店したレストランLa Tasqueriaラ・タスケリア。ミシュランの星を持つマドリッド郊外の伝統料理店で内臓部門を6年担当したJavi Estevezハビ・エステベスがラ・タスケリアを開店した当初から「斬新にお洒落にモツを愉しむ」というコンセプトと確かな味がフーディたちのあいだで話題となりました。2019、20、21と連続でミシュランの星を獲得するまでになったラ・タスケリアの店名の元となったCasqueríaカスケリアとは臓物屋のことです。一方で高級住宅街ゴヤとは一線を画した下町エンバハドレスに店を構えて65年のGallinejasガジネッハスは仔羊のモツの揚げ物屋としてその名を知られる老舗であり、こちらもまた他州の客がわざわざ足を運ぶほどの人気店です。
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メセタと呼ばれる中央高原地帯の北部に位置するカスティージャ・イ・レオンと南部のカスティージャ・ラ・マンチャのほぼ中心にあるマドリッド州は海抜も高く内陸性気候のため夏は暑く冬の寒さの厳しい土地です。16世紀に首都として制定された後も貧富の差は激しく上等な肉は富裕層の食べ物でした。庶民の口に入るのは特別な時だけで普段の食事はパンとタマネギに塩漬けの脂身入りの豆スープ、そして安価なモツを丁寧に下処理し美味しく柔らかく調理して食べていたのです。
madridcallo
18世紀になると労働者階級の集まる食堂がさまざまなモツ料理を提供するようになり、揚げ物、煮物、焼き物、シチュー、子牛の胸腺からとれる酵素で牛乳を固めたデザートまでありました。豚足や血液を含めモツ料理は全般的に熱量が高く体が温まり、寒い冬を乗り切るための栄養源として必要不可欠だったのです。脳や脊髄はBSE発生以降にノウサギと豚を除いて流通しなくなったようですが、スペインではマドリッドに限らずモツを使う家庭料理がいくつもあります。子牛、仔羊、小山羊、鶏に豚、食文化の違いとは言え日本人は足元にも及びません。
madridcallos
カジョス・ア・ラ・マドリレーニャ Callos a la madrileñaは食堂の昼定食メニューの一皿目として頻繁に目にする代表的な郷土料理です。マドリレーニャというのはマドリッド風という意味で略してカジョスと呼ばれ、牛モツとモルシージャとチョリソ、豚脂にヒヨコマメやジャガイモが入った冬を代表する煮込みです。同じような煮込みでも南米風にmenudoメヌードと呼ばれるものはモツの切れ端、細切れを使ったもの、メヌディ-ジョと呼ばれるのは鶏のモツを使った料理になります。
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コシード・マドリレーニョ Cocido madrileñoも冬の定番です。陶器の深鍋で作った煮込み料理をわざわざ三皿に分けて供するという優れもの。一皿目のスープにはフィデオスという細い麺を加えて洒落たコンソメ風に、二皿目にはヒヨコマメと野菜類、三皿目に肉類という順にいただきます。我が家で作る時はスープも豆も野菜も肉も一皿によそってしまいますが、そういう食べ方はもうコース料理ではなくただのプラト・デ・クチャラPlato de cucharaスプーン料理と呼ばれてしまうのでもったいないと言われたことがあります。。。
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15世紀頃から存在するソパ・デ・アホ・カステジャーナ Sopa de ajo castellanaは略してソパ・デ・アホと日本では呼ばれているかもしれませんが正式にはカスティージャ地方のニンニクスープです。昔も今もカスティージャ地方では移動牧羊が盛んに行われていて首都マドリッドの真ん中を羊の群れが通る季節があります。昔々、貧しい羊飼いが固くなった残りパンとニンニクとオリーブオイルとパプリカバウダーと水で作ったのがはじまりで懐具合によって卵が入ったりハムやチョリソが入ったりします。安くて簡単で身体が温まり栄養もあるという理にかなった郷土料理ですね。
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流通手段の限られていた時代、海から遠い内陸にあるマドリッドにとってBacalaoバカラオと呼ばれる塩タラは貴重な海産物でした。マドリッド名物でもある伝統食Bacalao Fritoバカラオ・フリートは水でゆっくり戻した塩タラを適当に切り味付けもせずオリーブオイルでフリッターにするだけという簡単な料理ですが非常に美味です。160年も前からソル広場に店を出しているCasa Labraカサ・ラブラという老舗レストランはバカラオ・フリートに定評があり、店内で食べる客、量り売りを求める客がひっきりなしに訪れます。
bacalao
アランフェス特産の太くて柔らかいアスパラガスと大粒のイチゴが市場に溢れる5月のはじめ、マドリッドの守護聖人サンイシドロの祭りが毎年行われます。人々は伝統的な晴れ着姿でミサに出かけ、そぞろ歩きを楽しみ、チョティスという民族舞踊コンテストに参加したり闘牛やサルスエラ歌劇を観たりして初夏の訪れを楽しみます。
chotis
マジョール広場にはモツやイカの揚げ物をバゲットに挟んだボカディージョやロスキージャという伝統菓子を売る屋台も軒を連ねます。
Rosquillas




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