2010年06月

2010年06月07日

スペインリーグの最終節の実施方法

サッカーのスペインリーグ1部はバルセロナがレアル・マドリードの追撃を振り切り連覇を果たしたが、最終節のやり方が興味深かったので書いてみたい。


 スペインリーグ1部は全20チームが所属している。1位から4位までの4チームが翌年度の欧州チャンピオンズリーグ(
CL)に出場、5位と6位の2チームが同ヨーロッパリーグ(EL)に出場、18位以下の3チームが2部に降格する。各チームはその実力に応じ優勝、CL出場権獲得、EL出場権獲得、1部残留を目標に戦っている。(その他、カップ戦の優勝チームもELに出場する)


 09~10シーズンは、最終節を迎えて、2チームが優勝争い、2チームが
CL出場権争い、2チームがEL出場権争い、5チームが残留争いを行っており、計11チームが目標を持ち、目標がなくなったのは9チームのみである。これだけ多くのチームが最終節まで目標を持っているようなシーズンはそうないのではないか。


 最終節の10試合のうち、目標のないチーム同士の試合は1試合のみで、他の9試合は少なくとも一方が目標を持っている。日本では最終節はすべて同時に開催されるが、スペインでは次のように開始時刻が異なっている。

 

土曜日 午後6時開始      ビルバオ  ー デポルティーボ

土曜日 午後8時開始      サラゴサ  - ビジャレアル 

     同           アトレチコ - ヘタフェ   

土曜日 午後10時開始    マジョルカ - エスパニョール

     同           アルメリア - セビリア   

日曜日 午後7時開始     バルセロナ - バヤドリード ◆

     同         ◆ マラガ   - レアル    

     同           バレンシア - テネリフェ  ◆

     同           オサスナ  - ヘレス    ◆

     同         ◆ ラシン   ー ヒホン

優勝争い、CL争い、EL争い、◆残留争い

 

つまり、試合開始時間はいくつかに分けられているが、同じ目標を持ったチームの試合は同時開催となっている。しかも、最初に目標のないチーム同士の試合を行い、次にEL出場権争い、続いてCL出場権争い、最後に優勝および残留争いと、重要度の低いほうから高いほうへ順番に試合が行われていく。スペインのサッカーファンはそれぞれの争いを順番に楽しむことができる。


 このようなやり方をとれるのは、前の節の試合終了後に開始時間を決定しているからだ。それが可能なのは、スタジアムをクラブが所有したり、所有していなくても優先的に使用できるからだ。日本ではスタジアムを優先的に使用できないので大分前から予約しておかなければならないので困難だ。


 また、サポーターからも帰りの電車の予約がとれないなどという苦情が出てくるだろう。大分前から予定を組んでおかなければ気が済まない日本人とそうでないスペイン人の国民性の違いも大きいだろう。


 ただし、このように開始時間を分けられるのは、異なる争いをしているチーム同士が戦う試合がない場合だけだ。今回は優勝争いのチームと残留争いのチームの試合はあったが、それ以外の対決はなかった。


 最終節の一つ前の第37節も同様なやり方を行ったが、優勝、
CLEL、残留争いのすべてが絡み合っていたので、分けることができず、すべて同時刻開催であった。


 もうひとつ、スペインリーグで印象深いのが、両チームの会長が並んで観戦していることだ。これは、スペインでは会員(ソシオ)の選挙でクラブの会長が選ばれることと関係が深いのではないか。サッカーが11人でやることも知らない投資家がオーナーになっているリーグではこのような風習は生まれないだろう。

 



quiquiruko352 at 14:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0) スポーツ全般