2016年11月

2016年11月22日

高校野球秋季中国大会の実施方法

新聞で高校野球秋季中国大会の記録を見て驚いた。次のとおり、準々決勝(2回戦)の組み合わせがすべて同一県同士の対戦となっていたからだ。

 

 高校野球秋季中国大会準々決勝(平28.10.31)

A 宇部鴻城(山口1位)― 華 陵 (山口4位)

B 関 西 (岡山1位)― 創志学園(岡山3位)

C 鳥取城北(鳥取1位)― 米子松陰(鳥取3位)

D 広島新庄(広島1位)― 市立呉 (広島3位)

(注)赤字は勝利、青字は敗退。

 

このようなことは普通あり得ない。同一県同士は勝ち進まないかぎり対戦しないことに普通はしているからだ。各県2校ずつ出場なら決勝以外では対戦しないし、各県3~4校なら準決勝以降でしか対戦しない。なぜこのようなことになったのだろうか。

 

秋季中国大会は、各県3校ずつ、開催県(今年は山口県)のみ4校の計16校が出場する。その組み合わせは次のようになっている。

 

  秋季中国大会組み合わせ

ブロック

準々決勝(2回戦)対戦

1回戦対戦

1回戦対戦

A

山口1位

鳥取2

広島2

山口4位

B

岡山1

島根3

島根1位

岡山3位

C

鳥取1

島根2位

岡山2位

鳥取3位

D

広島1位

山口3位

山口2位

広島3位

(注)赤字は準々決勝勝利、青字は準々決勝敗退、黒字は1回戦敗退。

 

これによって次のことがわかる。各県の1位と2位は別の山(ブロックABとブロックCD)に入っていて決勝までは当たらないが、各県の1位と3位(開催県の山口は1位と4位、2位と3位)は四つにわけたブロックの中の同じブロックに入っている。

 

試合の結果、1回戦で各県の2位の学校はすべて敗れ、各県の1位と3位(山口の場合は4位)の学校だけ勝ち進んだため、準々決勝が同一県同士の対戦となった。

 

準々決勝が同一県同士となったのは、各県2位の学校がすべて1回戦敗退という特殊事情によるが、同一県の学校を別のブロックにわけていればこのようなことにならなかった。

 

このようなやり方を行った理由は何だろうか。考えられるのは、同一県の学校を4つのブロックにわけてしまったら、同一県の学校がベスト4のうち3校を占める可能性がありそれを避けるために行ったのだ。秋季大会は春の選抜の出場校を決定するための参考となる重要な大会だ。一つの県に出場校が偏らないためにこのようなことを行ったのだろう。

 

また、中国地区は山陽と山陰の格差が大きく、山陰の学校にチャンスを与えようとした点もあるかもしれない。Cブロックは4校のうち3校を山陰の学校としたのは、山陰の学校が少なくとも1校はベスト4に進出してほしいと考えたからではないだろうか。

 

しかし、同一県内の各校のランク分けは各県大会ですでに終わっている。中国大会は地区内の異なる県の学校間の力関係を明らかにすることが主要となるのではないだろうか。

 

このようなやり方をする理由があるとしても、あまり賛成できない。



quiquiruko352 at 14:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0) スポーツ全般 

2016年11月10日

「ラグビーをひもとく」を読んで その4

○ スクラムの必要性

 

仮に15人制ラグビーからスクラムを奪ってしまえば、それはもはやラグビーではなくなる。その点は「ラグビー憲章」の「ゲームの原則」の一文からも見て取れる。ラグビーは「ゲームに求められるスキルと身体的条件に多様性がある」。だからこそ「あらゆる体型を持ったプレーヤーがプレーに参加する機会を得ることになる」。

 

ラグビーのチームには、小さなスクラムハーフ、大きなロック、そして「太っている」プロップがいるのが常である。中でも「太っている」プレーヤーは必須であり、ラグビーの「常に見直されている」ルールがあるからこそ、「あらゆる体型」の人が楽しめる。スクラムを最前線でささえるプロップがいてこそのラグビーなのだ。スクラムのないラグビーは考えられない。

 

「ラグビーにはスクラムは欠かせない」と言っているが、もう一つ説得力がない。スクラムは組むのがとても面倒であるが、やっていることは、ただ、スクラムの中にボールを入れて出すだけのことが多いように思う。スクラムでの両チームの争いには、「スクラムの中でのボールの奪い合い」と「スクラムの押し合い」の2点があるが、その部分がそれほど多いようには見えない。

 

相手ボールを奪うケースはそれほどあるとは思えないし、スクラムの押し合いはあるが押し合いにそれほど時間をかけず、スクラムからボールを出して展開を図るケースの方が多い。

 

ボールの奪い合いや押し合いなどの要素はラックやモールにもあり、スクラムでなければならない理由はない。スクラムの現状を見るにつけ、廃止すべきであるとも思えないが、スクラムを絶対残すべきであるとも思えない。スクラムがなくなったとしてもラックやモールがあればラグビーの魅力が減少するとは思えない。13人制のリーグラグビーに対する15人制の特徴も維持されるだろう。

 

スクラムとなるのは、ノックオンなどの小さな反則の場合だ。大きな反則はペナルティーキックとなる。1試合の中のスクラムの回数が減少しているように思う。それは、一つにはアドバンテージルールの適用だ。ノックオンのあとスクラムになるケースが多かったが、相手側が有利になると取らないようになった。もう一つがプレーを継続するようになったことだ。以前はラックからボールがなかなか出ず笛が吹かれてスクラムになるケースが多かったが、大分減ったように思う。重要だとしたら、スクラムの回数を減少させようとしているのは矛盾ではないだろうか。

 

また、著者はプレーに参加するプレーヤーの体型の多様性を維持するためにスクラムの必要性があると言っている。特にスクラムは第一列は重要なポジションだ。危険性も多い。代替もきかない。太っている選手も多く、体型も独特だ。故障や退場により第一列の選手がいなくなったとき、他のポジションの選手が代わりに出るというわけにはいかない。スクラムのために独特な体型の選手が必要となるということはスクラムの必要性の理由の一つとなりうるとしても、それほど大きな理由になるとは思えない。

 

ラックやモールは連続プレーの中で発生するが、スクラムはプレー中断後に発生する。プレーの継続が求められている現在のラグビーで、ラックやモールの方がスクラムより重要度が大分高いように思う。

 

スクラムの重要性は大分減少しており、スクラムの重要性を強調するなら、スクラムにもっと意味を持たせる必要があるのではないか。現状ではスクラムは消滅に向かっているとしか思えない。

 

スクラムの代わりはペナルティーキック(ただし、直接ゴ-ルは狙えない、直接タッチを切ったら相手ボールとなる)にすればよいだけだ。

 

 



quiquiruko352 at 07:34|PermalinkComments(9)TrackBack(0) スポーツ全般