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邦画を中心に心理・精神の観点、社会的背景などから心情を読み解く主観的分析レビューです

movie: セイジ 陸の魚

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過去を昇華仕切れていない不器用で寡黙なある男の物語
肝心な理由を探ることなく観客任せで幕引きした作品 

登場人物が多い故か問題定義が多く着目すべき点が混乱したが
後半からの展開が意外で心拍数が離席した後も上がっていた

「周りのひとが幸せでないと自分も幸せを感じられない」
「世の中の不幸を自分の事の様に捉えている」
感受性が過敏である様子を描きながらも
ある側面では現実主義的に生物共存のヒエラルキーを説く

そんな主人公の言葉にはならない表情にも注目して欲しい

葛藤に答えを見出す為には過去と決別し自己認証しなければならない
最終的に彼はようやく自らをも救ったのだと思う


現在、公開中。詳しくは公式サイトまで。

movie: うさぎドロップ

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劇中オリジナルストーリーと原作の一部が織り交ざった内容だった

実在であれば最も醜く複雑であろう如何なる場面に置いても
登場人物の感情は比較的簡略化されていた

父親を亡くした6歳児がその事実と向きあうシーンの理解力
寂しさを我慢し自己をコントロールする精神力
子供の成長を通じて親の精神性の未熟さの補完する

それをさて置くとしとてもよい映画だったと思う

子供に置ける絶対的存在は保護者であること
絶対的存在であるのは保護者にとっても言えることであり
絶対的存在によっての安定を持って感情表現を豊かにし
相互の精神状態の治癒性を高め、将来的希望を抱くとされる

本心であるが絶対的存在を理解し難いため難しい捉え方になってしまっている

少々取り崩して書こう
家族愛が見え、希望溢れ、誰かを大切にしたくなるそんなお話でした
家族を持っているひと、大切な人とその存在を確かめながらご覧ください

movie: アフロ田中

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コミックスの映画化はハードルが高い
特にギャグ漫画は更にハードルが上がる
何故かSEを多様していない点で其々の演技力が浮き彫りになっていた
主演、松田翔太のポテンシャルは高かった

基本的に男性間の友情を描く物語であるが
友情をコントロールするのが主人公の恋愛模様である

そこで着目するのが妄想する脳内の男性心理である
事実としてそういった類の妄想が鑑みられるのかは不明だが
メールを書くまでの所要時間
外見的魅力が自己より高位だと感じる相手への解釈
などなど敢えて全項目記載しないが
純粋であるが故の感情表現が多々盛り込まれている

そういった例を事実と比較し楽しむという方法も会話の種子になるかもしれない
また個人的にはポジティブ性に富んだ内容と言うこともあり
多少気が滅入っているときにおすすめしたい映画である

現在絶賛公開中です、詳細情報は公式サイトまで


movie: 神様のカルテ

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「ハルはわたしが死んだらどうする?
患者さんのひとりがもう亡くなったはずのご主人の話楽しそうに話すんだ。
ハルも私が死んだらあんな風に話してくれるか?」 

「お断りです。私よりも先に亡くなったら一止さんの悪口言いまくります。
それが嫌なら1分1秒でも私より長生きして下さい。ね、一止さん。」 

印象的な台詞だった。
ひとつの会話で夫婦の関係性を見た

救急病院の医師と写真家の妻、古い旅館に暮らす仲間と、担当患者との物語

人は支えあって生きていることを伝える作品は
数々の名言を散りばめながら人生は有限であること再認識させる

救急医療の過酷な現状を再現し、
ひとりの患者に関わりすぎるなという忠告が幾度もされる劇中で
自らの描く医師像を明確にすべく苦悩する

消えていく命を昇華させる精神力には絶妙な距離感と包容力のある寛大な愛情の支え、
折れない信念が必要であり患者との信頼感を培う密接なコミュニケーションが必要だと


関係し合って生きていることが心に染みて温かくなるような作品です
大切なことを忘れそうになったら見返したい


movie: arirang

映画監督キム ギドクの自問自答ドキュメンタリー

3年間、山小屋に籠もり質素な生活を送りながら
自分を語り、回想し、問い、苦悩する

映画を撮る意義とは何か
映画とは何か
表現とは何か
生き方とは何か

自分の影との対話
本質を見極めようとすればするほど
本質である定義に振れが生じる

脚本・撮影・編集・制作すべてを単独で行なっている
その才能が構図、カット割りを強烈に印象づけた

アリランの映像から彷彿されたのはシジフォスの神話だった
多くの峠を超えているように感じて
実際は最初から同じところをやり直しているのではないか

頂きはまだ見えない
そこから己の自問自答が始まるのではないだろうか

 

3月3日公開、詳細は公式サイト まで。

(本レビューは2月24,25日に「行われた自由を求め、カタチを捨てた映画館、THEATER TOKYO 」の試写に参加したものです)

movie: (ハル)

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ひとつ、台詞を引用したい

「私には彼氏はいません。
相手のことを考えるのが面倒臭いのです。
自分と会っていない間何をしているか?
自分のことを考えてくれているか?
そんな事こっちの勝手な想像ですよね。
想像の力って、あまりに大きくなるので怖いのです。」

結論が簡単に把握できることが好きと彼女は書く

「彼氏はいた方が励みになるよ。
色んな事想像するから楽しいんじゃないか。
仕事だって、うまく行けば、
これで彼女をもっと自信を持って愛せる、と思えてくるしさ。」

そう主人公は返事を書く

お互いの情報を一切持たずパソコン通信上の文字ベースから始まる恋
1996年に公開された作品であるから現代より一般的ではないだろう

メールのやり取りを画面中に文字で読ませる手法 、そこに音声はない
自動的に配役の役者の声が頭の中で再生される

文字ベースの相手を想像し、期待する
お互いが想像上の産物でないことの実在を認識する
そして倍増するその安堵と希望

想像することで壊される期待と想像することで生まれる葛藤、
想像することで育む未来、 影響力を持つ自由な想像とは
知識に理解を与え構築し再生させ実現させるそのプロセスを鍛えるのだ

movie: 紀子の食卓

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あなたとあなたの関係は何ですか?

違和感のする家庭の中で自分をも見失い、他者になろうとする姉
分析の内、家族の相互理解を解く妹
理想とする関係性をも理解し合えていなかった事を自覚し失意に堕ちる父
責任を背負い自己を破壊し逃避する母
擬似家族を演じるコインロッカーに捨てられた少女

キーワードは関係性
あなたのあなたの関係性、わたしとあなたの関係性

擬似を演じる内に本来の関係性が有耶無耶になり自己認識すら喪い
何とも関係性が持てる何者でもない自分となる恐怖

安易に築いた関係性の上に真意を発見し、正にそれが唯一だと悟る
その真意が本物か偽物かもはやそこに判断の術がない

チャプターで区切られたまるで長編小説の様な映画は
関係性を築くということが絆であることのように描かれるが
それはいかに脆く儚いものかと問う

それはあなたの立場からであり、わたしの立場からであり、
その立場から、見せる事の意義となる

自分と向き合えていますか、相手と向き合えていますか、
理解し合えているフリをしていませんか、そう問いかける

関係を築くことの意味を考えてみてほしい


ーー

この映画は園子温監督の「自殺サークル」と対を成す物語である
是非ご覧になった上でこの作品を観ると理解は深まるのでおすすめです

movie: ヒミズ

himizu500

2012年1月14日、公開初日。

あなたは今、きちんと生きている事と向き合ったことがありますか?

原作の思わぬシーンが見事に再現され、
それとはまた違う視点で描かれる3.11の被災現場と心情

原作に忠実であるにも関わらず新しい物語のエッセンスを散りばめた今作
どうしようもなかった、そう思うしかなかった
運命は変えられないと言うべく、苦しいその暗闇を懸命に生きる

 園子温監督の中毒性は残したまま鋭い視点で現代を描き
息継ぎをさせない片時も逃せないまるでアトラクション

救われるものは何か
己とは何か
命とは何か
 
心底を味わった人間の強い希望と生きる力を感じた物語を是非ご覧頂きたい

第68回ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞
(最優秀新人俳優賞)の受賞が納得の演技です
 

movie: ロックンロールは鳴り止まない

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登場人物は5歳児、シングルマザー、女子高生、マネージャーであったが
それぞれの背景設定が細かく非常に日常的で現実味があるシチュエーション

複雑な家庭環境の様々な場面にサブリミナルされるような曲の断片

かまってちゃんという存在が物語を繋ぐキーとして
位置づけが上手く配置されている

デジタルコンテンツを通しての共鳴性と音楽を通しての一体性 
それを受け入れるか弱き者の小さな希望がそこには見えた

期待値を上回る映画でした
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