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邦画を中心に心理・精神の観点、社会的背景などから心情を読み解く主観的分析レビューです

movie: まほろ駅前多田便利軒

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とても印象深い台詞があった

屋上でフランダースの犬について考えるシーン
「 親が最初からいないのと、親に無視され続けるのとどっちがましかってことだよ」
「あのアニメハッピーエンドだとおもうか?」
「思わないよ、だって死んじゃうから」
「俺も思わない、死んだら全部終わりだからな」
「生きてればやり直せるって言いたいの?」
「いや、やり直せることなんてほとんどない、
いくら望んでもお前の親がお前の望む形で愛してくれることはないと思う」
「そうだろうね」
「だけど誰かを愛することはできる、
自分に与えられなかったものをおまえは新しく誰かに与えることができるんだ、
生きていればいつまでも」

そう言った主人公自身が自問自答し葛藤する

「ひとを助けても自分を救うことにはならないよ
だから救えないときどうするかなんだよ」

破茶滅茶な小さな街のコミュニティから始まる
意外な物語は奥深く、過去の傷跡を抱える登場人物たちの心情が見える
繊細でどうにもならないきゅっと胸が痛くなるお話でした

誰かに必要とされることは希望だと




movie: 婚前特急

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現実的というかしたたかと言うか
結局のところ、想像を超えたストレートなお話であった

一番印象的だったのが
同時に何人も付き合っている女なんて誰も愛さない
という主観的発想による承認欲求打破である

詰まる所彼女は何らかの理由で恋愛不信であったと推測される
天秤にかけた相手のメリット・デメリットは浅く
設問にかけた重要なことは”どうして自分を選ばないか”であった

恋愛や結婚において最も重視されることは何か
劇中では比較後、自分が選択されることであった
その意味は親和性認証というべきものであり
どの様な状態でも無条件に相手を受け入れることである

すなわち、甲斐性もなく、小太りで、主人公がいまいちだと言う相手と
浮気性で暴力的でどうしようもない主人公との受け入れが成立したというお話である

これは非難している訳ではなく根本として
ありのままの相手を受け入れることが愛であるという概念を伝えている
正しい恋愛・結婚の物語なのである

だがしかしそのメッセージ性は弱く伝わり切るのだろうかというところ

movie: わたし出すわ

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欲に塗れた結論が生み出す最低の結末

その口調はとても軽く自然で重度な言葉だった
人生を狂わすのは金である

夢を語る夫に舞い込んだ大金
夫婦関係は崩れ全てを失う妻

金銭価値でしか自分を保てない美女
誘惑に絆され焦り行き着く先が見えない

慎ましい暮らしぶりの中で変化を好まない
ただそれが自分を知っているということであり
そうであるべく姿なのかもしれない

登場人物のそれぞれの執着心が顕になる物語
ただそれだけでなく淡々と過ぎる経過の間に想像するといい

しりとりのループの意味

「わたしが出してあげようか?」の重さを


ーーーー

この映画を拝見したのが12月23日。
脚本・監督を手がけられた森田芳光監督が急逝されたのが20日。
何も知らず25日に訃報を知った。

ご逝去を悼み、哀悼の意を表します。

movie: 恋の罪

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恋の罪、それは答えのない想いへの呪縛

実在した殺人事件のオマージュはさておき、
一般的認識でのよくある家庭状況を映し出すひとりの女
夫の変質性を垣間見ながら閉塞された時間を持て余す妻 
厳格な母と家柄と湾曲した愛をトラウマ化するキャリアウーマン

緻密な設定から割り出される背景が計算高い作品
その計算の一手でもある散りばめられたブラックなユーモア

性描写の多くを見せつけられる度にエロスという感覚は失われ
ただの行為化していくその姿

身体と愛は一体ではないのか
身体の価値とはなにか

「言葉を知らなければよかった」
「あなたの涙に留まることもなかった」

彼女の闇に飲まれてゆく
同一化して振り返って欲しい

カフカの城に魅せられ迷宮入りした答えを見つけ出す
その答えが罪ではないことを 確信するために

園子温監督作品の見事な中毒性、過激な刺激にご注意あそばせ

movie: ゲゲゲの女房

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水木しげるの妻、布枝さんの自伝からなる映画
時代背景は扨置き、ほぼ見ず知らず人の妻となるお見合い
現代では恋愛結婚が主流となり、選択の自由がある種認められている 

慎ましきを超えた貧困を強いられる
人の適応能力は素晴らしいというべきか
どんな過酷な状況でも日常化することで適応する

貧困が問題ではなくなるころには、貧困自体をネガティブに捉えない思考性が見える
もしくは貧困をも超える発見や想像がそれを補う

そこには確かな愛情が見えていたし明らかなる信頼性が芽生えていた
女性とし相手に自分の生き方を捧げ支え添い遂げる
あの時代だからこそではあるがそのような相手に巡り会えることこそ幸せなのかもしれない

そしてひとつ、様々な欲を制することで何かを超越するのであろうかという疑問も生まれた

movie: my Architect

マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して [DVD]
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ドキュメンタリーは物語でなく真実である
しかしルイス・カーンの人生は物語の様であった

偉大な建築家の一人という知識しか持ち合わせないまま 
彼の息子が彼を知る旅の映像を観た

 幼少の頃から貧困を自らの芸で支える家庭で育ち
少年期に負った火傷での顔の傷をコンプレックスにしていた
彼が建築スタイルを確立するまで妻が生活を支えていた
そして妻の他に2人の愛人とそれぞれに子供がいるという

秘密主義者であり、3つの家族に自らの居場所を知らせることなく
仕事に打ち込み、心臓発作で亡くなった時には身元不明扱いだったという

彼のコンクリート剥き出しの建築はコンクリートの質感や
傷を覆わないことはコンプレックスからの現れだという一節があった

そして彼の建築スタンスは遺跡の様に時の経過を経ても劣化しないものであるという
言わば年月の生み出す芸術品のような建築であると

また居場所を知らせなかったのは3つの家族を選べないほど愛していたからだったと
そして亡き今も彼の約束を信じる愛人の姿があり、独身を貫いている

家族に対して疎かになることは偉業を成し遂げる人に往々にありえることだと


建築から日照による経過と共に変わる光、
頑丈なるイメージを揺るがすような緩やかな曲線、
温かみを持つ冷たい建築物

 いつかきっと彼の建築を味わってみたいと思う
彼の人生に触れることで更に魅了されていると感じる

movie: Coloful

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複雑に絡んだ人間関係の深みに嵌り苦悩して
自分の存在意義を見失ってしまった

しかし断固となる存在意義を理解する必要もなく
ただ大切なものは何かを教えてくれる

自己とは違う他者性を容認すること 
唯一無二の多彩であること

他者に希望を観て他者の希望となる
関係無くして人は生きられないのだ

懐かしいく優しい愛情と友情に包まれた物語

movie: 悪人

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とてつもなく印象的な台詞があった
「今の世の中は大切なひとがおらん人間が多すぎる」
「自分には失うものがないと強くなった気になっている」

現代を象徴するかの如く、自己愛を提唱する
そうさせてしまったものは何か
またそうせざる得なかったものは何か

こんなにも衝動的で情熱的に愛するという感情に目覚めるものなのだろうか
劣等感は激しく動揺を誘う引き金になり
他者と自身の差異を痛感することにより爆発的な感情を生む
そしてまた共感性の高い境遇や類似点により新しい感情を生む 

まさに容認欲求の最大の表れである
それを崩すためにそうするべくしかなかった結末であった

ただひとが見せる一面は相手の前だけで姿であり、人格であり、
個々に対してそれぞれが違うこと、それは当事者にしか解らない

movie: 白夜行

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とても深く悲しく結末に進むに連れ苦しい物語

殺したのは心だというコピーだが
亡くしたのは心だと思うほど他動的なものだった

ある種の社会問題の定義でもあるように思えた
フィクションであろう物語は現実味を帯びていて
その破片の記憶にて胸を痛めることもある

自我の崩壊を防ぐためにそうならざるを得なかった状況
貧困を補うためにそうならざるを得なかった状況
性的不能を回避するためにそうならざる得なかった状況
代償による自己防衛のためにそうならざる得なかった状況

 ひとつの欲望が発端によりそれぞれが紐付く様に発動し絡まり合う
 
ただ物悲しきのは究極の欲求が自己実現理論に基づく
生理的欲求であるというところであった 


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