qreview

邦画を中心に心理・精神の観点、社会的背景などから心情を読み解く主観的分析レビューです

February 2012

movie: arirang

映画監督キム ギドクの自問自答ドキュメンタリー

3年間、山小屋に籠もり質素な生活を送りながら
自分を語り、回想し、問い、苦悩する

映画を撮る意義とは何か
映画とは何か
表現とは何か
生き方とは何か

自分の影との対話
本質を見極めようとすればするほど
本質である定義に振れが生じる

脚本・撮影・編集・制作すべてを単独で行なっている
その才能が構図、カット割りを強烈に印象づけた

アリランの映像から彷彿されたのはシジフォスの神話だった
多くの峠を超えているように感じて
実際は最初から同じところをやり直しているのではないか

頂きはまだ見えない
そこから己の自問自答が始まるのではないだろうか

 

3月3日公開、詳細は公式サイト まで。

(本レビューは2月24,25日に「行われた自由を求め、カタチを捨てた映画館、THEATER TOKYO 」の試写に参加したものです)

movie: (ハル)

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ひとつ、台詞を引用したい

「私には彼氏はいません。
相手のことを考えるのが面倒臭いのです。
自分と会っていない間何をしているか?
自分のことを考えてくれているか?
そんな事こっちの勝手な想像ですよね。
想像の力って、あまりに大きくなるので怖いのです。」

結論が簡単に把握できることが好きと彼女は書く

「彼氏はいた方が励みになるよ。
色んな事想像するから楽しいんじゃないか。
仕事だって、うまく行けば、
これで彼女をもっと自信を持って愛せる、と思えてくるしさ。」

そう主人公は返事を書く

お互いの情報を一切持たずパソコン通信上の文字ベースから始まる恋
1996年に公開された作品であるから現代より一般的ではないだろう

メールのやり取りを画面中に文字で読ませる手法 、そこに音声はない
自動的に配役の役者の声が頭の中で再生される

文字ベースの相手を想像し、期待する
お互いが想像上の産物でないことの実在を認識する
そして倍増するその安堵と希望

想像することで壊される期待と想像することで生まれる葛藤、
想像することで育む未来、 影響力を持つ自由な想像とは
知識に理解を与え構築し再生させ実現させるそのプロセスを鍛えるのだ

movie: 紀子の食卓

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あなたとあなたの関係は何ですか?

違和感のする家庭の中で自分をも見失い、他者になろうとする姉
分析の内、家族の相互理解を解く妹
理想とする関係性をも理解し合えていなかった事を自覚し失意に堕ちる父
責任を背負い自己を破壊し逃避する母
擬似家族を演じるコインロッカーに捨てられた少女

キーワードは関係性
あなたのあなたの関係性、わたしとあなたの関係性

擬似を演じる内に本来の関係性が有耶無耶になり自己認識すら喪い
何とも関係性が持てる何者でもない自分となる恐怖

安易に築いた関係性の上に真意を発見し、正にそれが唯一だと悟る
その真意が本物か偽物かもはやそこに判断の術がない

チャプターで区切られたまるで長編小説の様な映画は
関係性を築くということが絆であることのように描かれるが
それはいかに脆く儚いものかと問う

それはあなたの立場からであり、わたしの立場からであり、
その立場から、見せる事の意義となる

自分と向き合えていますか、相手と向き合えていますか、
理解し合えているフリをしていませんか、そう問いかける

関係を築くことの意味を考えてみてほしい


ーー

この映画は園子温監督の「自殺サークル」と対を成す物語である
是非ご覧になった上でこの作品を観ると理解は深まるのでおすすめです
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