闇夜に微睡む

詩や随想などを…
 

想いで

 
 夕暮れ寂しい
 薄明り

 お兄ちゃんと
 手をつなぎ

 あたいの頬っぺが
 真っ赤っか

 
 早く帰ろうと
 言ったのに

 ブランコ漕いで
 大空へ

 風になって
 飛びたった


 赤い飛行機
 宙返り

 あたしも一緒に
 くるりとね


 誰もいない
 公園で

 夜空に飛び立つ
 ホタルたち


 二人だけの
 たからもの

 お母ちゃんが
 呼んでいる



 

初老の男


 初老のこの男にとっては普通の生活。
 なのに、どこかが他の人とは違っている。

 底辺に生きるとはよく言ったもので、
 姿(気配)を消すのだけは得意なのだ。


 人と無が合わさる世界。
 この世がちょうど その接点となっている。

 2つの世界を縫うように歩く。
 それが彼である。


 奴ら(無)と話し合うのが日常となり、
 人間の存在が薄れていく。

 男が笑っても 人には気づけない。
 ただ奴らがニヤリとするだけ。


 いつの間にか 人間とは疎かになり、
 お金を得るためだけに働くようになる。

 ヒソヒソ話は奴らと。
 人間を指さして笑いあう。

 
 夜になれば ウキウキと 別人のように、
 ここにはない世界に旅立つ。

 ちょっとだけの楽しみと苦しみが、
 麻薬のように男を惑わした。



  


 ちいさな自転車
 闇の中

 ぐるぐる ぐるぐる
 走ります


 ここは虚の世界
 
 人間の世界だって
 嘘だなんだ


 俺は必死に
 ペダルを漕いだ


 たどり着いたは
 ちいさな海辺

 裸になって
 泳ぎ出す


 山のような波
 ちいさなしぶき

 大きな魚を 
 捕まえて

 一緒に一緒に
 泳ぎ出す



 あぁ、これが人生なんだ。
 初老の男は楽しんだ。


 快楽は夢八分。
 現実二分。

 この辺りが丁度いい。


 苦しみも快楽。
 その辺りが丁度いい。


 度が過ぎると快感が無くなり、
 死を願う日々となる。


 人間の世界は棲みにくく、
 ただ 自分をごまかすのみ。

 初老の男は黙って生きている。


妖炎の夏

 
 ゆらりゆらり
 活きる花

 妖しげに
 咲き集う


 夢の中に
 生き

 艶やかに
 消えて行く


 ラフレシアのように
 ひっそりと

 肉が腐って
 匂い立つ



 


 空が真っ赤に
 燃えるころ

 天に上ろうか
 地に潜ろうか


 あんたの心に
 盃いっぱい

 なみなみ注いで
 呑みほそう 


 手のぬくもりが
 死人のようで

 わけも分からず
 抱き付いた
 

 思わせぶりな
 ぐるぐる線香

 煙とともに
 燻(いぶ)してる



  ------------------

 
 「わたしは生きたいんだ」
 
 そんな死に対する 幼き日の怖れや不安感


 それがいつの間にか薄れていき

 死の恐怖を忘れてく


 やはり人間は裏腹(葛藤)なものを持っていた方がエネルギッシュ

 あきらめ(悟り?)は老いの証拠なんでしょうかね…

 
 「俺らは死なんって怖くない」 (老人同士の会話)

 
 だけど やっぱりそれは嘘

 死の恐怖を忘れたい(薄れてる)

 それだけでしょう… 


 だって 死の恐怖は生き物の宿命だから…

 人間だって同じですよ


 

現代や 夢は夢

 
 歪んだ鏡が
 あんたの世界

 時間と競争
 夢の中 


 夏の日射しが
 さすらい続け

 冷たい眼差し
 追いかける
 
 
 人が明滅し
 江戸や江戸

 ちょん髷姿
 日本橋


 軍靴の匂い
 消える人姿
 
 腐った林檎
 拾います


 現代や
 夢は夢


 


 おかっぱ頭の
 瞽女たちが

 信号待ちに
 列をなす 

 
 うつむく虚構
 浜烏

 闇に吠えて
 沈みます
 
 


夢の底



  きょうはシトシト
  雨模様

  モミジが色づき
  枯れ果てて

  セミの抜け殻
  露だらけ


  老いさらばえた
  犬の背に

  マニュキュア色した
  唐辛子 

  背中を丸めて
  泣いている


   


  てんてん手毬
  なに歌う

  童(わらべ)の頬に
  紅つけて

  お腰がひらひら
  楽しいな


  まっかな お日様
  お疲れで

  きょうも一日
  終わります

  顔を拭って
  帰りましょ 


  暗い洞穴
  夢の底

  泡のような
  息つぎで

  海に潜って
  さようなら


   * お腰 → 腰巻き
 
 

夢の泡

 
 近くにあって
 遠くにあって

 泡のように
 ぷかぷかと

 浮かんで消える
 プラットフォーム
 

 あなたと遊ぶ玩具箱
 赤いクレヨン手に取って
  
 口紅 塗って
 笑いあう


   


 あなたが鬼で
 あたしが子

 ただただ 逃げるだけの
 鬼ごっこ


 いつまで経っても
 時の流れが つかめない

 夢の数だけ 抱き合って
 嘘の数だけ 憎しんだ


 人が人でなくなる時
 曼荼羅模様の風が吹くという


 何が真実で何が嘘か
 分からない

 夢の泡
 時間の淵で考える



墓参り

 

  おにいちゃん

  笑って笑って
  お願いよ


  胸にすがって
  泣いたこと

  小舟に乗って
  想い出す


  あなたの顔に
  ほくろがあって

  消しゴム持って
  追いかけた


    


  幼き心が
  湧き出して

  時の流れを
  さかのぼる


  ちっちゃな
  ちっちゃな

  お手々を握り


  黙って死にゆく
  あなたには

  あたいの姿が
  見えますか?


  線香片手の
  墓参り

  百合の花が
  笑ってた

   

夏の夕暮れ 


  時の流れが渦巻いて 
  真っ赤に真っ赤に燃えだした

  目にも見えぬ
  ちっちゃな ちっちゃな羽虫たち

  恐れを知らぬ 勇者のように

  炎の中に飛び込んで
  翅を燃やして 散っていく


   


  暑い夏
  蚊帳に浮かんだ夢模様

  淀んだ空気がまとわりついて
  汗を体に張り付ける


  おれは夢を見たんだろうか…
  羽虫にもなれなかった

  歪んだ景色とかすかな記憶
  コップの底で浮き沈む


  流れ流され行きつく先は
  賽の河原の蜃気楼

  石を投げても届かない

  おぼろげな記憶が俺の一生
  遠い遠い時の彼方に消えて行く


お念仏

  
  松明(たいまつ)持って花歩き
  真っ赤に燃える空を見る

  カラスが焼けて燃え落ちた
  ヒキガエルのお供です

  炭を拾っておもてなし
  猫の成仏祈ります

  鼻が腐って 白装束
  きょうは命日 さようなら


     


  橋は長く 煮立ってる
  穴に落ちて吠える犬たち

  陽炎になっていく 長い橋
  早く渡れてと 追い立てる

  終末 命が尽きるとき  
  蝋燭 灯して 手をあわす

  地獄の水はぬるま湯で
  血の色で濁ってた


ほつれ髪


  裸電球
  薄っすらと

  あんたと紡いだ
  四畳半


  歪んだ時間(とき)を  
  楽し気に

  あんたと歩いた
  外れ道


  忘れた夢の
  悲しさは

  どこかに
  消えて行きました


   


  人に疎まれ
  蔑まれ


  涙を流す
  悔しさは

  どぶに捨てて
  流しましょ

  
  ちゃぶ台ごしに
  見つめ合う

  あなたの恋を
  だれ笑う  


  薄紅の
  彼岸花

  2人だけの
  墓参り


  過去の思い出
  探す旅

  酒を呑むは
  苦い味

  
  ほつれた髪の
  悲しさが

  時の流れに
  消えて行く

  

幼き日

 
  
   夕暮れの
   すさんだ心に吹く風は

   甘い匂いと
   小さな心


   いつか戻るよ
   ブーメラン

   手に手をとって
   鬼ごっこ


    


   土管の陰に  
   身をひそめ

   頬を赤らめ
   見つめ合う


   からめた指が
   想い出す

   夕焼け空の
   赤とんぼ


   どこかに忘れた
   ちっちゃな夢

   ブランコに乗って
   風となる



偽りの人形

   

   手を振るあなたが
   消えていき

   人形と暮らす
   過去の街


   時に揉まれた
   思い出が

   いつの間にか
   遠ざかり
   

   秋風吹いて
   なみだ雨

   枯葉のように
   散っていく


   崩れた時間と
   歪んだ心

   孕んだ体が
   いと(愛)おしい


   人形と暮らす
   淋しさに

   口紅さして
   抱き寄せた 


神様倶楽部


 
  鎮座ましますのは
  神様倶楽部のご歴々

  踊りますは地上の
  人間と呼ばれしもの

  
  見えない剣(つるぎ)を
  振り回し

  幾千回 傷ついて
  幾万回  死にました


  過ぎ去りし時
  限りの無い争いは続き

  軍靴の音は 半端なく
  頭の中で ガンガン鳴り響く  


  


  いつの間にか
  迷い込んだ この道 

  人じゃない
  ものと手をつなぐ  


  瞽女(ごぜ)のように導かれ
  赤子を殺し 涙を流す
 
  永遠に繰り返す
  過去を踏み潰す 蜜の味


  善人か悪人か
  その本性は…

  神様倶楽部のご歴々  
  みんなでみんなで 考える  


   

朝日を浴びるタランチュラ(1)

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