北海道警の稲葉圭昭・元警部(服役中)らによる違法なおとり捜査で拳銃を密輸させられたとして、ロシア人男性(40)と元国選弁護人が国と道に、総額2310万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、札幌地裁であった。

 中山幾次郎裁判長は、「警察官の偽証がなければ、無罪もしくは懲役2年未満の判決になった可能性がある」として、道に計50万円の支払いを命じた。道警のおとり捜査の違法性は否定した。

 ロシア人男性は1997年11月、小樽港で拳銃をパキスタン人に渡そうとした際、待ち受けていた稲葉元警部らに逮捕・起訴された。

 公判で「別のパキスタン人に『拳銃と中古車を交換する』と持ちかけられた。違法な犯意誘発型のおとり捜査だった」と無罪を主張したが、懲役2年の実刑が確定し、服役した。

 しかし、2002年7月、稲葉元警部が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕され、捜査の過程で、稲葉元警部がロシア人男性の公判で偽証していたことが発覚。道警の捜査協力者のパキスタン人は、ロシア人男性から拳銃を受け取るために現場にいたにもかかわらず、稲葉元警部は法廷で「パキスタン人はいなかった」などと証言していた。

 札幌地検は2004年11月、稲葉元警部の偽証罪を認定しつつも、「偽証を発案・主導したのは、自殺した元警視」などとして、不起訴処分にしていた。

 このため、ロシア人男性らは2005年7月、違法なおとり捜査や偽証で犯罪者に仕立て上げられたとして国と道を提訴。道側は「(ロシア人男性が)当初から犯罪の実行を計画していたことが疑われており、違法なおとり捜査はなかった」などと反論していた。

 原告側弁護士によると、09年7月に札幌地裁が服役中の稲葉元警部に出張尋問をした際、稲葉元警部は「拳銃を持ってくる気がない人に持ってこさせた、犯意誘発型捜査だった」と、違法なおとり捜査だったことを認めたという。

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