財団法人パブリックヘルスリサーチセンターなど4団体は5月9日、公開フォーラム「第4回がん先端医療を速やかに患者さんに届けるには・がん医療費の実際と改革の可能性」を東京都内で開催した。会場に集まったがん患者やその家族、医療関係者など約180人が、がん治療の費用に関する基調講演などに熱心に耳を傾けた。同センターの大橋靖雄常任理事(東大大学院医学系研究科生物統計学教授)はフォーラムの最後に、医療保険制度の根本見直しに向けた意見書を作成し、長妻昭厚生労働相や関係部局などにあてて提出することを提案。会場から賛同を得た。意見書は、フォーラム共催4団体の代表者名と参加者から選んだ代表1人の連名で、近く提出される予定だ。

 フォーラムは同センターと特定非営利活動法人血液情報広場つばさ、特定非営利活動法人キャンサーネットジャパン、特定非営利活動法人日本臨床研究支援ユニットで共催したもの。

 まず、がん治療の費用について患者・患者支援の視点から3人が講演した。血液情報広場つばさの橋本明子理事長は、昨年12月に高額療養費制度の見直しを提案する連絡会を発足したことなどを説明。続いてCML(慢性骨髄性白血病)患者・家族の会「いずみの会」の田村英人代表は「がんは今や2人に1人がなる疾病。高額な医療費が必要となるケースはある日突然やってきます」と指摘し、「病気という精神的負担を持つ患者が経済的弱者となっても安心して暮らせる社会を実現するために皆様のお知恵をお借りしたい」と訴えた。日本骨髄腫患者の会の上甲恭子副代表は「高額療養費制度に問題があるというのは明らか」などと述べ、この問題をがん患者だけでなく、国民全体の問題としてとらえる必要性を指摘した。

 続いて、NTT東日本関東病院の小西敏郎副院長が、患者の治療費の負担を減らすために病院側が行っている施策として、クリニカルパス、感染対策、電子カルテ、人間ドッグを挙げ、「いかに入院の費用を安くするかということを主にやっている」と説明した。
 このほか、東大大学院医学系研究科公共健康医学専攻の福田敬准教授が▽医療経済評価の方法と抗がん剤での評価事例▽英国NICE(英国立最適医療研究所)での経済評価の活用方法-の2本柱で講演。また、国立がん研究センター中央病院の島田安博医長は「患者の延命は大事ですが、これをすべて公的にサポートするのはほとんど不可能ではないか」と指摘。高額療養費制度の見直しで、すべての人に最新・最善の医療を提供するのは「もう限界だと思う」と述べた。

 最後に登壇した東北大大学院医学系研究科医療管理学分野の濃沼信夫教授は、高額療養費制度について「対象となる人は少ないだろうということを前提に設計されたものだと思いますが、もはやこの制度は補完的な制度というより、なくてはならない制度になりつつある」と指摘。医療費の患者の窓口負担の割合も含め、「根本から考え直さなくてはいけない」と強調した。

 7人の基調講演に続いて、大橋氏が司会を務め、橋本、小西、福田、島田、濃沼の各氏をパネリストとするパネルディスカッションが行われ、大橋氏が高額療養費制度など医療費について情報提供するコールセンターや、医療費を払えなくて治療をやめてしまう人などの調査・研究の必要性を示唆。また濃沼氏が、がんの医療費に関して情報を伝えるシステムとして、病気のステージが分かった後、どの治療を受けるかを選ぶと、どのくらいの医療費がかかるかが示される「ナビゲーションシステム」を開発途中であることなどを説明した。


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