2006年07月13日

将棋の歴史4:改良(3) 最古の将棋(初期改良)(1)

 八〜十世紀ごろ、日本に伝来した「将棋」が初期改良された一連の過程を考察する。原シャンチーの影響を受ける以前の改良であり、日本の将棋が独自の世界を築く礎となった。

 三段階の改良であるが、第二段階と第三段階については順序が逆の可能性もある。

‖莪戝奮 立像型駒から、今日ある五角形の駒への改良。ただし、文字書きなし。

第二段階 盤型の正方形から縦長へ改良。

B荵庵奮 駒への漢字一文字書き。(「虎」の採用)

 ※ 左から順に、‖莪戝奮、第二段階、B荵庵奮を指します。

原将棋1原将棋2原将棋3


 

 

 

 

 第一段階・第二段階の改良者のイメージは工芸職人である。
 第三段階の改良者は一握りの知識階層に属し、盤上遊技を嗜む余裕のあった者、たとえば貴族・僧侶・役人・富豪等と想定する。

(つづく)



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この記事へのコメント
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小沼さん、はじめまして。おもしろく読ませていただいております。
さて、第一段階ですが、立像型から五角形への部分が謎が深いですね。
私はおそらく最初から五角形で寝かせて使ったのだろうと思います。
その形の基本はストゥーパ(サンスクリット語で塔)でまちがいない
と思っています。ストゥーパに漢字を当てはめたら卒塔婆ですね。
お墓に立っているやつです。もともと日本人は平面上の五角形の形を
見ただけでそれを立体として解釈する能力に長けていたのだと思います。
Posted by nyabi at 2007年10月28日 16:27
4
つづきです。
顔文字やAA職人に代表されるように、日本人は平面上の図形に意味を
込めるのが好きですね。立像駒は最初から肌に合わなかったのではない
でしょうか。南方から伝来したタイのマークルックか、その祖先を見た
瞬間に、この仏塔の形を日本風に置き換えればこうなるなと思いついた
ことでしょう。時期は、三重塔や五重塔がさかんにつくられていた奈良
〜平安時代ではないでしょうか。
Posted by nyabi at 2007年10月28日 16:34
4
つづきです
同時に、マークルックの貝(ビア)の特殊性にも注目したいと思います。
敵陣3段目の成りが日本将棋より先に成立していたのかどうかわかりま
せんが、チェスのポーンとくらべて頻繁に成りが発生するために、平面
駒である方が何かと便利です。ビアは平面駒と言っていいでしょう。
伝来時にビアのような駒があったとすれば、平面駒で統一しようという
発想が出てくるのも自然ではないでしょうか。
Posted by nyabi at 2007年10月28日 16:36
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いったんありがたい仏塔の形が完成してしまえば、もうあとからありが
たくもない円形だの八角形だのの駒が伝来しても採用しにくいですね。
玉金銀桂香も仏を単なる財宝というよりは仏を荘厳する宝としての意味
が強いのではないかと思います。
Posted by nyabi at 2007年10月28日 16:41
nyabiさん、こんにちは。

 ご愛読ありがとうございます。
 多少辛口かもしれませんが、コメントをさせていただきます。

「私はおそらく最初から五角形で寝かせて使ったのだろうと思います」
 その可能性もあると思います。ただし、最初に五角形駒を立てて使用したという説を否定する理由も明確ではありません。

「もともと日本人は平面上の五角形の形を見ただけでそれを立体として解釈する能力に長けていたのだと思います」
 というより、そもそも立像駒を平面の五角形に置き換えることができたということではないでしょうか。

「立像駒は最初から肌に合わなかったのではないでしょうか。」
 肌に合わないということではなくて、平面駒の方が作りやすい、あるいはかさばらないという点で合理的であると判断した結果と理解しています。常に、祖先は合理的な根拠にもとづいて将棋の改良を行なってきたと考えています。
 
「南方から伝来したタイのマークルックか、その祖先を見た瞬間に・・・」
 このブログでは、かつて中国に存在した「将棋」、宝応象戯と、日本に伝来した将棋と同一種であることを明らかにしました。
 また、シャンチ−の多大な影響を受けたという前提にもとづくことによってはじめて、将棋の全改良過程を説明できることも明らかにしました。
 たまたま変化に乏しく、古代インドのチャトランガという原型に近い東南アジアの将棋を、将棋の祖先に見立てる風潮がまかり通ってきましたが、東南アジア伝来説には確たる根拠がないと理解しています。
 よろしく、お願いします。

 小沼 諒

Posted by 小沼 諒 at 2007年10月29日 23:16