2006年11月28日

将棋の歴史8:秦将棋

 巨大将棋の作者には各々野心がある。

泰将棋 しかし、泰将棋とそれ以前の巨大将棋等とを比較すると、明らかに野心の質が違う。泰将棋の作者は最大級の将棋を作るために手段を選ばなかったのである。(左図:泰将棋の先手側のみ示した配置図です。クリックすると拡大図が表示されます)

 まず、一挙にマス目の数を倍近くに増やした。摩訶大大将棋より縦横各々六マスずつ追加して二五×二五=六二五マス盤とした。

 駒数も三五四枚と八割も増やしたが、それだけではない。配置の美しさに対するこだわりを捨て、隙間なく駒を詰めたのである。

 息苦しささえ覚えるほどであるが、「彼」にとっては、それが狙いであったに違いない。巨大将棋を作ろうとする意欲を完膚無きほど叩くという意気込みを感じさせる。

 さすがに、ここまで巨大になると、指そうと気持ちも沸きにくい。とても、エベレストを目指す登山家のような崇高な気持ちにはなれない。

 相手が大自然ならまだしも、作者の野心が見え隠れする人工的な盤面である。棋譜は現存していないが、実際に指されたかどうかも疑わしい。

 泰将棋は対局しようと気持ちを萎えさせるのに成功したと思われるが、必ずしも巨大将棋を作ろうとする野心の根を絶やすことは出来なかった。というのは、これを遙かに上回る巨大将棋が出現するからである。

(つづく)



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