2012年10月23日

普通唱導集大将棋の可能性(7)

 仮に、大将棋と異なる「普通唱導集大将棋」なるものが存在したとする。

<普通唱導集大将棋(仮定図(1))>

普通唱導集大将棋1
 

 この場合に、二中歴大将棋→(仮)普通唱導集大将棋→大将棋(初期改良)→中将棋→大将棋(後期改良)の改良過程を、以下のように説明できる。

(1)二中歴大将棋→(仮)普通唱導集大将棋

13間盤を15間盤に拡大した上で、新規に駒を追加・作成することにより、市松模様に駒を配置する改良がなされた。

(2)(仮)普通唱導集大将棋→大将棋(初期改良)

  市松模様の配置から、さらに、自陣2列目、中央間に既存の駒を移動し、又は、新規の駒を追加・作成することにより、表面の充実を図った。なお、裏面については、酔象の駒を王将の前に配置するための言い訳として、酔象、鳳凰、獅子のみ、特殊な「成り」を設定した。(水無瀬神宮蔵「象戯図」)

(3)大将棋(初期改良)→中将棋

  大将棋(15間盤)と小将棋(9間盤)の中間種を作成するという意図の下、偶数盤(12間盤)の中将棋が作られた。

大将棋と比較して、盤のサイズが小さくなったことから、一見、簡略版にもみえるが、偶数盤の採用、裏面の「成り」の精緻な体系の構築・新規駒の作成等、作者の相当な野心が伺え、単なる「大将棋の簡略版」の作成を目指していないのは、明らかである。

(4)中将棋→大将棋(後期改良)

  中将棋にて構築された「成り」の体系が、大将棋にフィード・バックされたものである。(象棋六種之図式)

(つづく)



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この記事へのコメント
『諸象戯圖式』には、
「成馬之次第」として、「麒麟・鳳凰・醉象」について、「中象戯ト成リ同前」とあるので、他の駒は中将棋の成りと異なっていたのではないでしょうか。
『象棋六種之圖式』には、
「成馬中象棋に同じ、中象棋になき馬の成やうは、大々象棋に准ずべし、」とあります。
大将棋(後期改良)は(象棋六種之圖式)ではないでしょうか。
Posted by 溝口和彦 at 2012年10月24日 15:59
溝口和彦さん、こんにちは。

 さて、前回、この件でご指摘をいただいた際に、既にまとめていた内容について一斉に修正をかけましたが、修正漏れがありました。
 ご指摘ありがとうございました。

小沼 諒
Posted by 小沼 諒 at 2012年10月24日 21:28