2007年04月07日

CINEMA DU REELにて、映画『選挙』

REEL3月9日から18日まで、ポンピドゥーセンターで開催されていた『CINEMA DU REEL(直訳すると、現実の映画)』。つまりは、世界中から集めたドキュメント映画を上映する催し。特に有名な監督の作品ではなく、普段映画館で見る機会がない、若手監督の作品を見ることができた。

私はこの期間中、3つのドキュメンタリー映画を観てきた。(上映されるものは毎日変わる。)

『NOUS SOMMES NES POUR MARCHER SUR LA TETE DES ROIS』
スコットランドの、エッグ島という小さな島に住んでいる人達のお話。

『MALAAK ET LE VASTE MONDE』
結核病を患うエジプトの少女との会話のみでできた作品。サナトリウムや病院で、自分の夢や身を置く環境(例えば宗教)について、英語でハキハキと明るく正直に話す姿が、とてもかわいらしかった。

これら2作品は、どちらもフランス人監督によるショートフィルムで、2本立てだった。


さて特記したいのは、
選挙想田和弘監督作品、『選挙』。
これはとってもおもしろかった。
簡単にあらすじを話すと…、って、やっぱり公式サイトがあるんで、まずはこちらをご参照下さい。

映画『選挙』

そんでもって、ネタバレ嫌な方はこの先ご遠慮下さい。



選挙を追っかけるドキュメントなんて、タブーやオフレコがいっぱいありそうだけど、この映画でのカメラと主人公の密着度はすごいよ。
立候補者の山内さんは、見るからに頼りなくて、実際今まで政治とは無関係だったずぶの素人。その彼が、自民党の先輩議員や選挙事務所のおじさんに怒られたり、川崎の街を走り回って演説しているところを見続けていると、憎めないキャラクターに思えてくるから不思議だ。

「公約なんてしゃべんなくていいから、3秒おきに名前を言え!」と教え込まれたら、素直に実行する山内さん。できるだけたくさんの票を得る為に、御神輿担ぎに行ったり、運動会とかゲートボール大会に出向いたり…。

本当はばりばり働くキャリアウーマンなのに、この選挙の為に休暇をとってウグイス嬢までやらされている奥さんは、党員のおばさん達に「仕事はもちろん辞めるのよね?子供は作らなきゃね?」なんて言われてしまう。山内さんはその愚痴も聞かなくてはならない。そこでこの奥さんがかっこいいのは、「市議会議員程度で仕事辞められっかつーの!!」なんて吠えちゃうの(2人でいる時にね)。山内さんも、それに「うんうん。」と返してあげる。いい関係の夫婦だと思った。

(ちなみに、「奥さんのことは『妻』ではなく『家内(housewifeと英語字幕が出る)』と呼びなさい。」と言われていた…。そこまでこだわるのは、つまり有権者の多くも『妻』より『家内』と呼ぶ立候補者を選ぶってこと?それってどうなの?)
これだけリアルな映画が作れたのは、この選挙が『市議会議員の補欠選挙』という比較的規模の小さなものだったから、それと、監督と主人公がもともと学友だったからだろう。

ところで、この映画のクレジットは見ましたか?

山内和彦(川崎市議会補欠選挙・自民党公認候補)
山内さゆり(山内和彦の妻)

浅野文直(川崎市議会議員)
石田康博 (川崎市議会議員)
石原伸晃 (衆議院議員・元行政改革・規制改革担当大臣・元国土交通大臣)
荻原健司 (参議院議員・オリンピック金メダリスト)
川口順子 (元外務大臣・元環境大臣・参議院候補)
小泉純一郎 (総理大臣)
高尾紀久雄 (参議院議員小泉昭男の秘書)
田中和徳 (衆議院議員)
永井はる子 (山内和彦事務所)
橋本聖子 (参議院議員・オリンピック銅メダリスト)
松川正二郎 (元田中和徳第一秘書)
持田文男 (神奈川県議会議員)
矢沢博孝 (川崎市議会議長)
山際大志郎 (衆議院議員)
山田甫夫 (山内和彦後援会会長)

こうして見ると豪華でしょ?ドキュメントって得だなぁ。出演料払わなくっていいんだもん。


そうそう、蛇足だけど、山内さんは小泉総理(当時)に顔がそっくりだよね。それだけで自民党の候補に抜擢されたんじゃないかって思うくらい。

上映が終わった後、監督への質問コーナーがあった。この映画は観客達に大ウケだったから、みんな熱心に質問していた。(他に観た2作品の時にも、質問コーナーはあったけど、ほとんどのお客さんは帰ってしまった。)

当然かもしれないけれど、フランス人と日本人の興味の対象は異なり、疑問が違えば笑いどころも違う。監督自身、アメリカ生活が長いそうだから、外国人の目線で日本を見ることも多いそうだ。

最後に監督と直接話す機会があったので、私もいくつか質問してみた。

Q:山内さんは任期満了後、また立候補したのですか?
A:もう議員は辞めました。今はこの映画の宣伝を手伝ってくれたりしています。(山内さんはもともと切手コイン商)

Q:この映画を上映することについて、自民党から圧力がかかったりはしないのですか?
A:いまのところはまだないです。山内さんはちらっと言われたみたいですけど…。

Q:日本での上映は予定されていますか?
A:今年の6月、公開予定です。

というわけで、みなさん、観に行って下さい。絶対おもしろいから。単館系の映画館だけど、面倒くさがらず、是非是非!各国の映画祭でも好評なこの映画、日本人だからこそ観なくっちゃ!


rabi345rabi at 04:00│Comments(0)clip!映画鑑賞 

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