2009年10月09日

『空気人形』

airdoll映画『空気人形』 公式サイト

監督・プロデューサー・脚本・編集:是枝裕和

原作:業田良家

出演:ぺ・ドゥナ 、ARATA 、板尾創路 、オダギリジョー 、高橋昌也

2009年/日本/116分

おはなし Yahoo!映画

レトロなアパートで秀雄(板尾創路)と暮らす空気人形(ペ・ドゥナ)に、ある日思いがけずに心が宿ってしまう。人形は持ち主が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街歩きを楽しむようになる。やがて彼女はレンタルビデオ店で働く純一(ARATA)にひそかな恋心を抱き、自分も彼と同じ店でアルバイトをすることに決めるが……。

*******

私のペ・ドゥナを始めて知ったのがこのどうでもいいブログが開始前夜ぐらいにTSUTAYAさんで
数回手にとってはレンタルしなかった『ほえる犬は噛まない』見たとき。
その時、初めてペ・ドゥナを見たときの衝撃は忘れられない。もう可愛すぎて!
それで友人に『ほえる犬は噛まない』を見ろと強制に近い指令を出して、見た友人に
「そんなに可愛くない」や出てくる犬の扱い方を嫌悪感を感じると言われたのを鮮明に
覚えている。そして『子猫をお願い』を見て完璧にやられました。それからは彼女が出ている
映画やドラマまで見るようになり自然と追いかけるようになってしまいました。
そして第二の衝撃は彼女が『リンダリンダリンダ』という日本映画に出演したことです。
普段、公開初日に映画を見に行くことなんてしないんだけど これだけは初日に見てしまい
ましたから。コチラの動きを見事に翻弄するかのように出演する映画を選んでいく彼女に
尊敬に近い感情を抱くまでになってしまう。

そして今回の『空気人形』。以前からペ・ドゥナファンを公言していた監督の是枝裕和が
公私混同だとしか思えないラブコールにペ・ドゥナが答える形で彼女が主演で映画を製作する
という情報を知ったときなぜか嫉妬心さえ覚えました。
それから時間が経ち、その映画が完成し、映画館で上映されていることに不思議な感覚を
覚えております。そして病み上がりながらもやっと見ることが出来ました。

この映画に関しては全編日本語なのだけど、なんか日本映画という感覚がしないのです。
それは是枝裕和が監督だからだとか、撮影がリー・ピンビンだからとか というのもあるの
かもしれないけど、私はペ・ドゥナという存在がそうしていると思っております。
そしてこの映画が私の中ではペ・ドゥナの集大成であると勝手に高らかに宣言してしまいたく
なる衝動がありますし、ペ・ドゥナも彼女の集大成である映画だと思っているとこれまた勝手に
思っております。

だってね、この映画で主演であの役を出来るのはアジア広しといえども彼女しかいませんから。
そう思わせるぐらいの女優であることは否定できないでしょう。
この映画をあのように演じれる日本の女優がいるだろうか?それぐらいこの映画において彼女の
存在はとても大きい。彼女が出演しなければ全く違った映画になっただろうし、製作されなかった
かもしれません。
この映画のおける彼女は素晴らしく魅力的で重要な存在であるなどと書くと痛いファンの戯言だと
思う方もいらっしゃると思いますが、この映画をご覧になれば理解してもらえると思います。

ペ・ドゥナのことばかり書いてきましたが映画全体についていうと、ゆったりとした時間の中で
詩的に描かれているのは居心地が悪くはない。だけど私にはこの映画が傑作だとは思いませんし、
不満もたくさんあります。だから諸手をあげて「素晴らしい!」という気にはなれません。

私個人としてはペ・ドゥナが出演しているというだけで満点という思いもないことはないんだけど
、それをもってしても映画に対しては甘い態度にでることはできないですね。
悪い映画ではないとは思いますし、面白くはあるのです。でもいろんなエピソードに手を
のばしてしまったことがどうも気になる。
この映画が短編か中篇で周りの人との関係性を少なくしてペ・ドゥナとARATAの関係にもっと
集中していたら深みも出ると思うし、もっと素晴らしい映画になっている可能性が高いと
勝手に思っております。このままでも面白いことは面白いんだけどね。

ペ・ドゥナのヌードシーンが冒頭を含めかなりあるのですが、それはそれで私はバカだから
嬉しいけどエロティシズムを感じるかといえば そうでもなく、一番エロティシズムを感じる
のはARATAが空気の抜けた空気人形であるペ・ドゥナに空気を入れるところ。
それもレンタルビデオ店でのシーン。あそこの独特の緊張感は脱げばエロという安易な単純さ
を超えたエロティシズムを感じてしまいました。

それにラスト近くのラブシーンでARATAがペ・ドゥナに空気を入れるところと逆に無邪気さ故の
ペ・ドゥナが空気をARATAのところも裸体を晒すだけのシーンよりもエロティシズムを感じました。
そこには生と死が存在している緊張感と無邪気さある。

この映画は雑誌「東京人」11月号で是枝監督とペ・ドゥナの大ファンである作詞家の松本隆御大
の対談が収録されてなくても 東京の映画でもあることは映画を見ればわかると思う。
あの朽ちている建物とレトロなアパート チェーン展開されていないレンタルビデオ屋、
そして公園から見えるタワーマンションという現実感の希薄な東京と日常の東京の不思議な融合は
奇跡的でもあるし、なぜか美しい。それは台湾の撮影監督でホウ・シャオシェンの映画を数本担当
しているリー・ピンビンの存在が大きいと思う。彼でなければこのような映像を撮ることは
難しいのではないかと思わせてくれる。本当は存在しない東京と本当に存在する東京。
そこで無邪気に動き回るペ・ドゥナ演じる空気人形。レンタルビデオ屋のARATAとペ・ドゥナが
バイクに二人乗りをするシーンなどはホウ・シャオシェンの映画を思い出させてくれる。

空っぽな東京、空っぽな空気人形と人間たち。ARATAのセリフが自然と頭に浮かんでくる。
私も空っぽなのかもしれない。いや、たぶん 空っぽだ。

この映画は空っぽなのだろうか?もう1度、見て確認してみたくなる。
というか、もう一度 心を持ってしまった空気人形のペ・ドゥナを見てみたい。
この映画は是枝裕和という監督の映画ではあるが、ペ・ドゥナの映画でもあるのだから。


rabiovsky at 23:56│Comments(5)TrackBack(5)日本の映画 

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1. 『空気人形』〜ペ・ドゥナ人形/人間振りにて相勤め申し候〜  [ Swing des Spoutniks ]   2009年10月11日 00:32
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2. 映画「空気人形」  [ おそらく見聞録 ]   2009年10月11日 17:20
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2009年 日本映画 監 督 是枝裕和 出 演 ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、丸山智己、奈良木未羽、柄本佑、寺島進、オダギリジョー、富司純子 あらすじ 古びたアパートで、持ち主である秀雄(板尾創路)と...

この記事へのコメント

1. Posted by 丞相   2009年10月11日 00:31
今日、『空気人形』の舞台となった公園を見てきました。
地下鉄だと、新富町がいちばん近いのですが、私は東銀座から
築地経由で歩いていきました。
かの公園のちょうど向かいには秀雄が住んでいるアパートがあり、
少し歩けば、純一の元彼女の写真を見た後に凹んでいた橋があったりして、
見どころがいろいろとありました。
rabiovskyさんが次回東京遠征されたときには、このロケ地探訪を
オススメしておきますよ。

『空気人形』の作品自体は、テーマはさておいて、ペ・ドゥナ作品を、
『リンダ リンダ リンダ』→『子猫をお願い』→『ほえる犬は噛まない』
の順にオマージュを捧げていると思って見ると、存分に楽しめました。
変に人間関係が込み入ると、弟子の某若手女性監督さながらの、
げんなりさせる作品になったはずなので、「孤独」をこのくらいの薄さで
描いているものが、私にはちょうどいいぐらいでした。

あと、ペ・ドゥナは、HMVのトークイベントで、この作品にはすべてを
捧げるぐらい、全力投球したと語っていましたよ。
それで、今はアメリカで語学留学をしているそうです。
ペ・ドゥナが英語をしゃべるようになれば、ジャームッシュ、あるいは
ウェス・アンダーソン作品に出るのも、面白いかもしれませんね。
2. Posted by rabiovsky   2009年10月12日 01:27
>>丞相さん

『空気人形』の舞台となった場所に出向くとは、丞相さんの今年のベストに
しただけありますね。有楽町線よりも日比谷線を選んだんですね。
あの公園から見えるタワーマンションと秀雄のレトロアパートのギャップに
不思議な東京を感じたんですが、映画のように見えるんですか?
丞相さん、レトロアパート好きでしょ?(笑)
なかなか味のある街でしたからね。それにしても橋まで覚えてて
見てしまうとは感服でございます。
映画関係なく見どころ一杯な地域な感じがします。
カメラを持ってあそこらへんを歩くのもいいものでしょうね。
晴れてたらだけど。

ペ・ドゥナの集大成としてこの三つの映画を絡めて見てしまうとは
丞相さんらしいです。どう考えてもペ・ドゥナの映画ですからね。
私は人間関係を込み入らせるよりも集中させたほうがよかったのでは
と思う派ですが、弟子のようなことはないと思います。師匠ですから(笑)
やっぱあそこの薄さに引っ掛かる人は多いのでしょうか?

HMVでのペ・ドゥナの発言通り、全ての経験、引き出しを搾り出した
映画だったと思います。ヌード関係も含めてね。
十八番の足バタバタもしてましたから。
>今はアメリカで語学留学をしているそうです。
それは初耳ですな。某中華女優のようにはなって欲しくないですが
賢明な方なので、大丈夫だとは思いますけどね。

日本人監督でペ・ドゥナを撮れる人を探したら思い浮かばなくて
一番最初に思い浮かんだのがウェス・アンダーソンだったんですよ。
彼なら上手く料理できるはずだと無責任に断言したくなります。
英語がカタコトでも大丈夫っぽいしね。
それに密かに横浜先生か梅佳代で写真集を作って欲しいです。
3人とも天然っぽいですから気が合いそうですからね。

3. Posted by 映像ブログ「世界で最も素晴らしい旅行」   2009年10月22日 15:39
澎湖(ポンフー)島の映画ロケ地巡り〜映画の巨匠・侯孝賢訪問

【澎湖島の田舎町、風櫃の美しい映像を是非ご覧に
なって下さい!】

はじめまして。
東京で映像作家をしている逢坂と申します。
そして、台湾大好き人間です。
私は今、台湾観光局主催の「世界で最も素晴らしい旅行」という企画に参加しています。
世界中からエントリーした旅人達が、ビデオと写真とブログで台湾の魅力を伝えるという企画です。
私達のチーム「Taiwan Explore」は、台湾映画をテーマに、澎湖(ポンフー)島にある、映画のロケ地を巡ってきました。また、台北では巨匠・侯孝賢に会うため、彼の事務所へ訪問してきました。

この旅の模様は以下のページでご覧になれますので,
是非!
「Taiwan Explore」 ハイライトページ
http://www.taiwanbesttrip.net/group/te/final/the-best-trip-to-taiwan-of-taiwan-explore?lang=ja

ビデオ「再現風櫃」本編
http://www.youtube.com/watch?v=Q3aDKpxPTQU

日本語字幕版
http://www.youtube.com/watch?v=X8vbdS8-nrI

【コンテスト】
また、私達はこのコンテストで優勝を争っています。
日本参加チームとしては今一番健闘しています。(10月22日時点で第2位です!)そして最終的には、本コンテストの優勝チームは台湾の観光大使に任命されます!

もしよければ、私達「Taiwan Explore」に投票をしてください_vv_
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宜しくお願いします_vv_
4. Posted by にこ   2011年09月13日 18:13
ペ・ドゥナはぴったりでしたね。
しょこたんもいいんじゃないかな?
5. Posted by rabiovsky   2011年09月14日 23:37
>>にこさん

ぺ・ドゥナはほんとピッタリでしたね。
板尾さんもピッタリだったけど(笑)
しょこたんですか〜 日本人だと誰だろう…。
ぺ・ドゥナの昔の映画があるじゃないですか 
犬の映画とか。
見るたびに日本でリメイクするときは市川実日子を
と思い続けております。

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