今日は朝から晴天
気持ちの良い青空が広がった
山梨から姪姉妹が裕子の御墓参りに来てくれた
暖かい陽射しの中 長い階段を
姪の子の手を握って上った
可愛い小さな小さな手
小さな足が
階段を一段一段「よいしょよいしょ」と上がっていた
これにはきっと裕子さんも目を細めて
見つめていただろう


関連性もなく
火曜日に訪れた山梨 フルーツ公園からの富士山
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さて今巻
いよいよ坂崎磐音から
佐々木磐音へと…


南町奉行所年番与力 「笹塚孫一」は
浦賀奉行所から回ってきた手配書を
ぎゅっと握り潰した
その手配書は
6年前のある事件の犯人のものだった


明和八年 (1771年)伊勢に向かう「おかげ参り」が流行した
その夏炎暑が続き 町並みが土煙で黄色く見えた

その夜丑三つの刻限
内藤新宿の追分の子安稲荷近くの
麹屋宣左衛門方に 
おかげ参りの白装束姿の賊が入り
金蔵を破って千両箱を強奪し
風のように消えた


誰一人傷付けず女衆を犯すことのない
鮮やかな犯行であった

手足を縛られていた手代の季助は
必死に手足の紐を解き
危難を知らせに番屋へ走ろうとした
だが 足の紐が片足に絡み付いたまま飛び出したため転び
廊下に置かれていた行灯を倒してしまう
乾燥しきっていたので
その火が一気に燃え広がり麹屋を炎と化した
その火事で主人夫婦と番頭が焼死した

笹塚孫一は同心らを捜索に当たらせた
事件の三日後
仲町裏町の飯売女が25両もの大金で
金に縁のなさそうな男に見受けされたとの情報を得て捜査

見受けされたのは「お香」と言う女
そして見受けした男は「新助」といい
二人は上高井戸の宿で落ち合った
後を追った笹塚等は宿の隣の部屋を
手配させ
二人の様子をうかがった
役人の手か入ったと知った新助は
すぐの旅立ちを決めたが
笹塚等に取り押さえられ番屋へ連行された
笹塚は手下に新助を見張らせ
宿に戻りお香を問いただす
そんな時 見張りをさせていた二人が
宿へ飛び込んで来た
笹塚に急ぎ来るようと使いが来たと…
偽の使いと知り
慌てて番屋へ戻ると
新助は殺されていた
口封じだ
この事で 新助が先の麹屋事件の仲間だと確信した
そして、麹屋へ押し入った賊の頭を探すも 思うように捜査は進まず 
この事件は頓挫した

新助が懐に残した金子二十余両を
お香に渡し 
念願の団子屋をやるよう勧め
笹塚の段取りで小比企橋際の子店で
開店させた
必ず賊の頭が現れると見込み
張り込みを続けた
そしてようやく お香の前に現れた男は
「万両の親方」と呼ばれ
武州一の任侠と評判の男だった
捕らえられた万両の親方 大次郎は
無実を訴え続けたが
麹屋の賊としてではなく
お香への殺人未遂と賭博常習で島流とされた

六年余りの歳月が流れても麹屋の賊は見つからずにいた
そんな笹塚の元に届いた知らせは
万両の親方 大次郎が
十二人の徒党を募り 頭分になり島抜けしたと…

笹塚は麹屋から盗んだ金を隠したと思われる内藤新宿辺りを張り込み
 ようやく現れた賊一党
追い詰めるも無勢に多勢
危機一髪と言うところに
帰郷の長い旅から戻った磐音とおこんが現れる
磐音とおこんは 
帰路の途中 この一党と関わり 
一味に加わると見せかけて
同行したのだった
隠し金も見つけ
笹塚は六年余の難事件を
ようやく落着させたのだった
雪の降る大晦日の夜だった

新しい年の初め
磐音の周りでは めでたい事が重なる
品川柳次郎のお家相続と良き伴侶が見つかり結婚間近の知らせ

そして正月七日
佐々木玲圓の「尚武館」の具足開きの朝
磐音が佐々木玲圓の養子となる儀式が執り行われ
坂崎磐音がその日から「佐々木磐音」となった

そしてその日
今津屋では 待ちに待った待望の適男がこの世に生を受けた

次巻に つづく