しっとりと重たい空気に冷たい小雨
肌寒く
人恋しい
友人の娘さんの御命日
10年が経った
10年一昔と言うけれど
子を喪った親にとっては
10年はまだ昨日の事のよう
あの時が一瞬のうちに
脳裏を覆い尽くす
忘れたくても
決して消えない
その時…

同じ想いをした者同士
あの頃
助けられ支え合って今がある私が
「同じ」を掲げて
悲しみ半分こ
分け合えたらいいな


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磐音シリーズ28巻目
「照葉ノ露」
磐音は 南町定廻り同心木下一郎太と共に 
まだ13歳の少年である
直参旗本二千百五十石設楽小太郎貞綱の
「父親殺しの仇討ち」の援護すべく
上総に居た

仇討ちの相手は
小太郎が七歳の頃からの武術の師匠で
固い信頼で結ばれていた「佐江傅三郎」と 
小太郎の実母の「お彩」…



小太郎の父「貞兼」は酒乱の癖があり
飲むと家族や奉公人に乱暴を働くことがあった
先妻は酒乱に驚き早々に離縁
そんな時 上総に見回りに行った貞兼が
お彩を見初め
妾として強引に江戸に連れ戻った
貞兼が三十五歳
お彩が十七歳の折だった

そしてお彩は小太郎を産み
設楽家の正室に認められた

その夜 城中で失態を犯した貞兼は
昼過ぎに屋敷に戻ると
酒を飲み始めて…
夜半 またもお彩に殴る蹴るの乱暴を働いた
狂気に憑かれた様子の貞兼の行動に
思い余った用人「隈田三太夫」は
佐江に乱暴を止めるよう願った

佐江に斬りかかった貞兼を躱していた折
貞兼がよろめき
佐江の脇差の狙いが逸れ
貞兼の喉元を抉って殺してしまった

主殺しをしてしまった佐江は
切腹をする為 その場に座すと
お彩が「逃げましょう」と佐江の腕を掴み
二人は姿を消した


先祖から設楽家に出入りしていた同心木下一郎太はその事情を知り
解決の方法を求め磐音を訪ねる
磐音は
上様側近 お傍御用人「速水左近」に知恵を借りようとお目通りを願う

速水の解決策とは
嫡男小太郎が二人の仇討ちをすれば
お家は家督を小太郎に据え
設楽家は安泰
見逃せば お家断絶となると
それはまだ13歳の小太郎には
厳しいものだった

全ては主貞兼の酒乱による悪態に罪があるのに対し
罪のない佐江とお彩は逃亡 追われる身となり
お家断絶を決め
二人を黙って見逃そうとした小太郎の前に
母お彩は飛び出し
佐江は覚悟の剣を抜きや
磐音と小太郎の太刀を受けた
お彩は小太郎に「母は本望です」と言い残し 懐剣を胸に突き立て
佐江の体にのしかかるように崩れ落ちた

あまりにも悲し過ぎる惨い結末で
納得がいかない
武士の一分であったのだろうが…

その後
速水の力添えで小太郎の世襲が決まり
設楽家安泰となった

そして小太郎は磐音の尚武館に入門を願い受理される