カテゴリ: 技術公開

皆様、こんにちは。
私、ぐらほまと申します。
ミニ四駆をやってます。

AE6I6238
こんなマシンや、
AE6I6261
こんなマシンを作った者です。
もしご存知でしたら、大変光栄です。

・・・なんだかしこまって。
これもある意味転職活動の一環?なので、改まってご挨拶をさせていただいた次第です。


さて、本題にあるシャフトの話。
タグには「技術公開」なんて仰々しいものがついてますが、役には立たない技術です。
なぜか??


IMG_20151127_233137
 
ナット止めホイールのシャフトだからです。
こんなの誰も使わんやろ。

ちなみにですが、ナット止めホイールには種類があります。
ざっくり分けると、60mmシャフトシャーシ用、Xシャーシ用、ラジ四駆用です。
この画像を見てどれかすぐわかる人は変人なかなかのものです。
正解は、真鍮色のナットの後ろにお皿があるのでラジ四駆用です。
ちなみに、Xシャーシ用とラジ四駆用のシャフトには微妙に互換性がなかったはずです。
記憶違いかもしれませんが。

一応説明すると、ナット止めホイールには左右の指定があります。

 IMG_20151127_235051

左と書かれたホイールが当たり前ですが左側用です。
右側が真鍮色のハブナット(以後、ホイール内側のナットをハブナットと呼ぶことにします。)にハマります。
左側は、ナイロンロックナットがハブナットになっています。
真鍮ハブナットとロックナットはサイズが違うので、ホイールもそれぞれ専用になっています。


 IMG_20151128_000211

シャーシにつけるとこうなります。
ここにホイールとはめて、


IMG_20151128_000238

外側からロックナットで固定します。


もう豆知識ばかりになりますが、このラジ四駆のナット止めホイール用シャフトは完成形で、右側の真鍮ハブナットがゆるみにくいという長所があります。
真鍮ハブナットはシャフトに圧入がされているのですが、古いものはここが弱く、右を締めこむとハブナットがどんどん内側にいくということがあったそうです。
(伝聞形なのは、実際にその現象を起こしたことがないからです。)
ラジ四駆用には、お皿みたいなのがついていることでハブナットのずれが起きにくくなっているというわけです。


さて、もう一度戻ってみます。

IMG_20151128_000211
 
ロックナットが逆です。
記憶が正しければ、説明書には正しい方向で取り付けることになっています。
しかし、ホイールの裏が六角の平面であることを考えれば、こちら向きに取り付けるのが理に適っているように思えます。
実際問題、ホイールにもガタがあるのですが、そもそもここの精度が良くないと綺麗に取り付けができません。


先程、このラジ四駆ナット止めシャフトは完成形と書きました。
しかしながら、実のところ、弱点はこの左のロックナットを使ったハブナットです。


さらに話を戻します。 
ナット止めホイールには左右指定があると書きました。
それを無視してシャフトごと反対につけるとどうなるでしょう?

正解は、右側につけたホイールがハブナットごと外れます。。。
右側ハブナットが圧入なのは、右ネジのナットだと緩む方向に力がかかってしまうからです。


ここでひとつ、疑問が浮かびます。
左だから大丈夫なのでしょうか?

結論から申し上げると、







だいじょうばないです。 


分かり難い図で説明します。

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左と右でロックナットをハブナットにした時のふるまいです。
当たり前なのですが、右で緩む方向なのであれば左では締まる方向に力がかかります。

それが行きずぎると・・・


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ベアリングがグエッてなります。
ついでにいえば、ホイールを外から止めてるナットは動かないのでホイールもガタガタになります。

つまり、やっぱりナット止めホイールなんてドレスアップにしか使えないんですね。
あはは~~~





















嘘です。
これは、620ベアリングだから起きる現象です。
これがハトメやメタル軸受けのような薄い軸受を使うと起きなくなるはずです。 

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左側のネジ山部分です。
軸受がハトメかつナットを本来の向きでつけた場合、ねじ山を使い切ってそれ以上内側に行くことはなくなります。
しかしながら、620を入れてロックナットを逆に入れた場合、ねじ山が余るので内側にどんどん入っていくということになってしまうわけです。
わかりやすい!!

そんなわけで、ちょっとねじ山を埋めてやって、ハブナットを締め切ったところで適度なガタが出るようにすればいいというわけです。
これだけメンドクサイことをして得られるものは少ないですが、ポイントを押さえると実用に足るものになりますね。


ちなみに、これは内緒の話ですが、ナット止めシャフトは精度が割といいです。
ですが細いので、最近よく聞くスパーをロックさせるってのをやらかす人にはお勧めしません。
私は、スパーをなめさせたことなんて1回あるかないかなので、そこら辺がよくわからないのです。
最近のギヤは六角がゆるいのでしょうか?
あ、ボールデフばっかり走らせてるからか。


私がおすすめするシャフトは、70mm中空シャフトです。
72mm中空ステンレスシャフトよりわずかに太く、空転させたときの回りが非常にシルキーになります。
チタンシャフトのそれに近いでしょうか、チタン使ったことないけど。


まぁ、あまりネタを出すともったいないので、この辺りにしておきます。
次回のネタはTwitterのアンケートで決めようかと思います。
お楽しみに。 

今日は何の日、そうエイプリルフール。
とはいえ、エイプリルフールというのは午前しか嘘をついちゃいけないと聞いたことがあるので、割と真面目なお話。

前々からボールデフについて詳しく書きたいとは思っていました。
しかし、公式で使う新車を作ったり、体調が優れなかったりでノビノビになっていました。。。

そんなある日、というかニューイヤーGP愛知大会にて。
かの有名なミニ四ドクターにデフ車をお見せする機会がありました。

ワシ「ドクター!デフ車作りました!」
ドクター「面白いねぇ!でも、ギアをいじってるから車検は残念だけど・・・」

というわけで、デフ車は公式だと車検落ちするっぽいことが確定したわけです。
ぶっちゃけ、落ちるだろうとは思ってましたけど(汗
2012年のニューイヤー五反田でタスキ取ったけど時効ですよね・・・

そんなこんなで、誰も作らないと思うので、構造からちょっとしたノウハウまで載せちゃおうと思います!

では、最初に簡単に仕組みを説明したいと思います。
そもそもデフ(ディファレンシャル)というのは、左右の車輪の回転差を吸収するためのものです。
通常、ミニ四駆はシャフトで左右が直結されています。
しかし、コーナーでは内側のタイヤのほうが外側のタイヤよりも短い距離を進むため、理論上ではその分のロスが生じてしまいます。
ロスを無くすためには、内側のタイヤを遅く、外側のタイヤを速く回す必要があります。

ボールデフとは、その名の通りデフの作用をボールを使って行うものです。

まず、直線など、左右の車輪に均等に負荷がかかる場合、

1396323617974

このクソ適当な図のように、モーターからの駆動がボールに伝わり、そのボールとプレッシャープレートの摩擦で回転が均等に左右に伝達されます。
この時、ボールそのものは自転していませんが、ギアと一緒に公転しています

ここで、どちらか一方に負荷がかかったとします。

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クソ適当な図は右に負荷がかかった場合です。
右側は左側より遅く回ろうとするため、速度差分ボールが自転をします。
この時、ボールはギアとともに公転しつつ、自転することで左右の回転差を吸収します。

以上がボールデフの仕組みです。
よくわからないという方はググることをオススメします。
これ以上はうまく説明できません・・・(むしろ間違っている気がします。


さて、次に必要な工具ですが






まず、旋盤を用意します。 





・・・嘘です。

できれば、そこそこのリューターがあるといいと思います。
僕はプロクソンのリューターを使用していますが、ワークマシンでもなんとかなるかも?
 

冗談はさておき、今回サンプルとして使うのは、ボールデフMS3号機です。
まずはボールデフユニット全体から見てみましょう。

DSC_0195
ギアまわりの構造は前後共通です。
センターシャーシ側は干渉部分を切り取っているだけで、カウンターギアに特殊な加工はしていません。

DSC_0203
 ユニットには軸受けを新設しています。
 左右でシャフトが分割されているので、支持するベアリングも片側2個ずつ要るわけです。
軸受けはMSのリアユニットから移植しています。
 
DSC_0197

シャフトはカーボンホイールの軸を短く切ったもので内側から固定しています。 
左右でスペーサーの有無が違うのは、カウンターの位置決めのためです。

DSC_0213
 軸はスプリングの内側にすっぽりハマるように直径を調整しています。
オレンジ部分は スプリング受けです。

DSC_0199

一番キモになるのがこの加工したギア一式です。
一番小さいものがスプリング受け。
穴が6つ空いたものがスパー、そして中くらいのがプレッシャープレートです。

1396323206666

スパーギアは、2mmの穴を6つ空けています。
そして、スパーギアそのものからシャフトへは駆動を伝達しないため、シャフト穴も丸穴にしています。

 DSC_0207

ギア自体は大体1.5mm以下に削っています。

DSC_0208
ボスの部分は3mm径くらい。
出っ張りは0.5mmくらいまで削っています。
ボスを完全になくしてしまうと、スパーが傾いてプレッシャープレートと擦れやすくなるので、実はボスを残すのが重要だったりします。 

DSC_0198
スパーは組み上がるとこの位置にきています。
シャフトに対してフリーに回るので潤滑が必要ですが 、飛び散るとプレッシャープレートの摩擦がなくなります。
僕は耐久性を無視してドライで組み付けています。

DSC_0212

次にプレッシャープレートです。
ラジコンのボールデフでは、金属製のプレッシャープレートでボールを挟み、ネジで閉めこむことで摩擦を調節するのが一般的です。
しかし、スペース的に厳しいミニ四駆で同様の構造を実現するのはハードルが高いと判断し、ゴムを摩擦材として使いました。
これをスプリングでボールに押し付けているわけです。

ちなみに、ゴム材はタイヤを加工して作成しています。 
色が白なのは、固さがちょうどいいのと色が目立つからです。
他の色でも問題はないと思います。

問題点としては、ゴムなので摩耗が早いことです。

DSC_0196

3レーンの店舗レース2レースとフリー走行半日×2でこれくらい摩耗します。
摩耗が進むとボールが点ではなく面で当たることになり、 ボールの自転が起きにくくなります。
そのため、デフとしてのスムーズさが失われてしまいます。
メンテナンス頻度はかなり高いのが現状です。

最後にボールです。

DSC_0202

勿論ミニ四駆のパーツ。
13mmボールベアリングの玉です。
直径はバッチリ2mm!!
(ベアリングの製造時期によって微妙に違うのもあった気がしますが)
 

ではでは、役に立たない作り方です!! 

 まずは、スパーギアから。

DSC_0206

まずはリューターで厚みとボスの径などを削って調整します。
ヤスリなどでガーっとやるとバリが出るので、綺麗に除去します。

次に自作SSTを使います。

DSC_0201

六角シャフトを挿して、穴を空けたFRPです。

DSC_0209
こいつをガイドにしながらスパーに穴を空けていきます。
六角をひとつずつ回しながら、均等に穴を空けます。 
ぶっちゃけ一発で2mmを空けていくとズレやすいので、賢い皆さんはSSTで1mmくらいの下穴を空けるようにするといいかもしれません(汗

最後に中心の六角穴も2mmの丸穴にして完成!!

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では、次にプレッシャープレート。

DSC_0210
同じくリューターにかませてガーッとやります。
ちなみに素材はオレンジクラウンです。
平らな面とボスを残した面を作ります。
平らな面がスパー側で、反対側のボスはスプリングにスポっとハマる径にするとばっちりです。

DSC_0211

形を整えたら、薄くしたタイヤ片を平らな面に接着します。
タイヤ片に2mmくらいの穴を空けてから接着すると次にリューターに噛ませやすい です。

んで、ゴム部をガーッとやって・・・

DSC_0212

こうなります!(途中撮り忘れ
軸穴辺りはスパーのボスの逃げのために削っています。
 
以上を全て組み込むと・・・

DSC_0193

完成ですw
ちなみに、組み込むのにもちょっと面倒事があったりします(笑
この段階でスムーズかつ滑らないようになっていればOKでしょう。

大雑把ではありますが、このような具合に作っています。

さて、 いかがだったでしょうか??
ギミックとしては、正直そこまでレベルは高くないと僕自身は思っていたりします。
こんな読みにくい記事を最後まで読んでいただけれたならば、嬉しい限りです。

公式大会ではNGという判断でしたが、これからもこっそり店舗大会では(許してもらえれば)使ったりしたいなぁと思ったりもしています。

もし、ここが気になる!や、わからない! なんてところがありましたら、コメントや僕のTwitterアカウントぐらほま先生までリプライなどをしていただければお答えしたいと思います。

では、読んでいただいた皆様、ありがとうございました!
新作もぼちぼち作っていきますので、お楽しみに!!


最後にぽちっとお願いします。

 
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