長谷寺・室生寺

2007年05月03日

高速タンデム

休日。かなりの陽気で朝から快晴だ。今年のGWは天気のよい日がつづいており、
ツーリングにはもってこいだ。季節柄、気温が上がっても空気が乾いているので、
汗をそれほどかくこともなく行楽に集中できる。梅雨など、来なければよいのに。

AM9時すぎにG氏宅で彼を拾い、阪神高速から西名阪へ。初の高速タンデムだ。
バイクへ左右につくグラブバーだけでは心もとないので、ウェストバッグを着用。
右手にグラブバー、左手にバッグのベルトをつかませてタンデマーの安定を図る。
いわゆるビグスクは体の密着が皆無なため、タンデマーの挙動が全くつかめない。
それだけ独立した後部シートだが、利点と弱点は紙一重。落ちても分からないのだ。

しかもシートが一段高いことで風圧がまともに当り、100キロ巡行はかなり辛そう。
バックレストがついていれば、体を支える力の軽減と安心感が充分に与えられるが、
わがバイクはオプションでの着用も不可。型式が古いため、メーカーも生産せず。
それと連続走行で二時間を超える場合はインカムが必須。休息等のコミを図りたい。

070503_1070503_2長谷寺五重塔(左)
水子観音童像(右)





郡山ICから24号線に新設されたバイパスを下り、渋滞する165号線を東進。
ところどころですり抜けしながら進むと、牡丹で有名な長谷寺の参道が見えてくる。
近隣の駐車場はすでに満車だったが、市営駐車場に無料で停められることに感動。
参道で売られていたきなこ餅を口にし、熟年女性演歌歌手の営業を横目にしながら、
まったり進むと長谷寺に到着。国宝の登廊には、数多くの参詣客であふれていた。

070503_3070503_4室生寺鎧坂(左)
国宝五重塔(右)





途中、五重塔そばで昼食とりながら境内を一時間半ほど散策し、長谷寺を後にする。
ふたたび165号線を東進し室生ダム付近で朱色の橋を横断。南へひたすら下る。
一般道では自然に速度を落とすことで、タンデマーとの会話が聞こえやすくなり、
タンデムツーリングの醍醐味は道中の会話にあると悟った。次回はインカム付きだ。
しばらくすると女人高野の室生寺へ到着。これで三回目だがやはり日本一の名刹だ。

往復で都合四時間程度のタンデム走行だったが、G氏いわく「腕が痺れた」とのこと。
タンデマーの体格によっ快適度の異なりはあろうが実際、自身が乗ってみないと、
その詳細はつかめない。とりあえず体の支えとしてタンデム用ベルトは必要らしい。
密着によるラブリーな雰囲気は野郎同士では作りたくないが、女性とは別である。
その意味では、ビグスクは雰囲気作りに不向きなバイクだ。全くむずかしいものだ。


タンデムグッズ特集 パーツギャラリー
グッズを揃えることもそうだが、安全運転にはかなうものなし。

radio13 at 22:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年05月03日

牡丹と石楠花

今日は、からっと晴れた空。風もおだやかで湿度もひくく、外出には最高の日和。
一年ぶりの母との寺参りが、天の機嫌をよくしたか。朝9時に駅で待ち合わせて、
電車を数回のりかえる。目指すは奈良中東部の奥深い山寺。ここへも一年ぶりだ。

近鉄長谷寺駅へ到着したのは11時前。駅前は、すでに観光客でごったがえしている。
土産物屋が並ぶ参道を15分ほど歩くと、西国観音巡礼霊場らしい古めいた山門へ。
今回は母への土産代わりに、あまり巧くない記念写真撮影を使い捨てカメラで行う。
巨大な仁王門をおさめるのに一苦労。硬い表情の母に声をかけ、頬を緩ませる。

長谷寺名物の登廊を目の前にすると、さすがの肝っ玉な母も声を震わせる。399段。
七十を超えた年齢では、その石段数が涅槃への入口に思えたろう。「すごいわあ」。
息を乱さずに、ゆっくりと登廊を歩いていく。その両縁には大きな牡丹が咲いている。
「花の寺」との俗称にふさわしく、境内のあちこちが花畑のよう。牡丹はもとより、
石楠花やツツジ、木蓮などが春の華やかさを演出する。シャッターを切るのに忙しい。

すこし息を切らせながら登りきると、東大寺大仏殿につぐ大きさの本殿がひかえる。
なかは参詣客で混雑。人の波をぬうようにして進むと、巨大な十一面観音が鎮座。
この本尊は長谷型観音とよばれ、右手にお地蔵のような杖を持つ。ハーフだろうか。
ともあれ正面で合掌。「こんなに大きな観音さんやったら、御利益も大きいやろな」。

大阪で鍛えられた欲の深さを言葉だけではなく、そばの賓頭盧像で実践していた。
いわゆる撫仏(なでぼとけ)で、自身の治してほしい部位を手でさする。強欲は母は、
全身をくまなく両手でさすっていた。「これだけさわったら、どこかは治るやろう」。
本殿を出て、すこし歩いたところの五重塔で昼食。ひんやりとした風がここちよい。

各御堂をまわって境内を散策後、室生寺行きの直通バスへ載りこむ。所要時間40分。
道を東へ進むにつれ、真言宗系の山寺にふさわしく鬱蒼とした杉林が見えてきた。
バスをおり、太鼓橋を渡ると「女人高野室生寺」と刻まれた石柱が堂々とそびえ立つ。
かつては女人禁制がしかれていた真言宗寺院のなか唯一、女性参詣を許していた。
そのせいか寺の印象は女性らしくこじんまりとしているが、品が確実に供わっている。

仁王門をくぐると、奥に金堂がひかえる鎧坂をかこむように石楠花が咲き誇っている。
去年に詣でたときより、花の数は圧倒的に多い。満開だ。母の顔も満たされたようだ。
風情ある石段を登り金堂内の仏像へ合掌。左端にある国宝の観音像が素晴らしい。
そこを出て本堂をまわり左手の石段へ向うと、去年あじわった目の極楽が待っていた。

何度見ても室生寺の五重塔は最高だ。しかも、今回は石楠花が極楽世界を強調する。
初めて見た母は放心状態。「こんなきれいな塔だけで、もうなんかありがたいなあ」。
日本最小の五重塔だが下から見上げると、その凛とした佇まいが大きく感じさせる。
普通、塔をそばで見るとつまらなく感じるが、ここだけはどこから見ても素晴らしい。
小さいがゆえに巨大な印象を与える室生寺五重塔。写真では伝わりにくいだろう。

そこから奥の院へ通じる石段があり、総門から数えると700段。母にとっては地獄だ。
勾配はきついが、ほとんどの参詣者が奥の院まで登っている。母も覚悟を決めた。
ゆっくりと足を進ませながら、ところどころに立つ樹齢数百年の天然杉へ見入る。
その年輪の太さだけで神々しさがつたわり、山寺独特の霊的な神秘性がただよう。
二十分後、ようやく奥の院までたどりつく。記念に御朱印が書かれた紙を一枚買う。

長谷寺と合わせると、登った石段数は千を超えた。明日の筋肉痛を思いやりながら、
疲れた体を癒すために鶴嘴で軽く焼肉をいただく。「ビールがこんなに美味いとは」。
普段は飲みなれない母も中ジョッキを二杯あけた。こりゃ、確実に長生きするよ。


西国第八番 長谷寺
本堂舞台から見える五重塔が素晴らしい。牡丹は、まだ五分咲きだった。

室生寺
本堂の桧皮葺の屋根には草が生えている。風情きわまりない。

radio13 at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年04月23日

399段と700段

しばらくぶりの土曜休日。前日までに比べて、少し肌寒い。
だが、「昼間はおだやかな春の陽気」との予報を聞き、
かねてより訪れたかった長谷寺へ参詣する。

近鉄長谷寺駅から徒歩15分で、山寺らしい風格のある仁王門に着く。
拝観料を徴収するのは、学僧と呼ばれる若き真言宗のエリートだ。
まだ大学を卒業したばかりで修行中の彼らは、
坊主頭というよりスキンヘッドという言葉がよく似合う。
どこかしら小生意気な態度を取るのは、観光寺ならではの風景だ。

仁王門をくぐると長い登廊が続く。その石段数、三百九十九。
煩悩の数にあわせて、長さが百八間(約200m)あるらしい。
西国三十三所巡礼の第八番札所だけあり、至る所に千社札が貼られている。
こんなことなら、自前の札を作っておけばよかった。「豊中 心壱」などと。

本堂で巨大な十一面観音菩薩に手を合わせたのち、
そばの愛染堂で「恭子さんへ会えるように」と祈願する。
その少し奥にミニチュアの水子地蔵が多数おかれているのを見て、
トレイシー・ローズと戦った成果がここにあるのかなと勝手に思う。

しばらくして本堂に戻ると、さきほどのクソ学憎どもが真言を唱えていた。
ウブな顔立ちながら、さすがにそのときは真剣そのもの。
彼らの何人かは、弘法にあやかって股間の筆を誤らせるのだろうか。
堂内に響く真言の合唱に乗じて、さりげなく無病息災の祈願をする。

長谷寺から帰路途中に、室生寺への直行臨時バスが停車していた。
まだ午後三時前だったので、ついでに女人高野詣でに行く。
真言宗系は長らく女人禁制だったが、この寺だけは女性に門戸を開いていた。
到着後、参道を歩くと、その伝説通りに女性の参詣客が数多くいた。

太鼓橋を渡り、仁王門をくぐると鎧坂と呼ばれる石段が続く。
そこを登っていくと、こけら葺きの屋根で覆われた金堂が目に入る。
さすが国宝に指定されただけあり、鎧坂との相性も合っていて絶景。
観光寺した然はあまりなく、本格的な山寺独特の風情が心地よい。

金堂内に置かれた三点の国宝仏像に手を合わせ、
またもや石段をのぼってヒノキ葺きの本堂にたどり着く。
堂内では信徒たちが真言を唱えており、無病息災を乗じて祈願する。
その後、本堂左にある石段を登ろうとして目を上にやると五重塔が。

ここからの風景は、まるで絵画が飛び出たように絶景かつ絶品。
しばらくそこで立ち止まり、屋外最小の五重塔を目に焼き付けた。
石段を囲むようにシャクナゲが咲き誇り、塔の後ろには壮大な杉並木が。
これまで寺社詣でしたなかで、この構図がもっとも素晴らしい眺めだ。

十分に目で味わったのち、奥の院まで続く最後の石段を登る。
そこへたどり着くまで、仁王門から数えて合計七百段。
とくに無明橋から急に勾配がきつくなり、何度か息切れする。
女人高野の慈悲を受けるべく、老婆が丁寧に石段を踏むのを見るにつけ、
これも修行の一環だと古来からの現在進行形を体に感じる。

天然の杉木立やシダの原生林が石段や奥の院を取り囲み、
そこを流れる風の音がじつに爽やかで癒される。
樹齢数百年の巨木がゴロゴロしており、見るだけで神聖な気分になる。
奥の院で一休みしてから石段を下ると、また五重塔が見えてくる。絶景だ。
平たい岩の上に腰かけて、そこからの眺めを存分に堪能する。

金閣寺や東大寺、法隆寺などの有名な観光寺より、
よほど美と神聖さと荘厳さが一体化していた室生寺。
今度は母を連れて、晩秋に参詣したい。さらに絶景さが増すだろうな。


長谷寺
GWには、ちょうど牡丹が見頃になるだろう。

女人高野 室生寺
いまのところ、心の一押し寺。

シェーン
西部劇の古典だが、実質的に西部劇の正義を終わらせた問題作。

radio13 at 22:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
月別アーカイブ
カテゴリー別アーカイブ
プロフィール

radio13

最新コメント