今回は特集「【俗・】『さよなら絶望放送』とは何か?」を振り返ってみました。自己満足上等の自作自演インタビューなので、微妙な部分は見逃してください。果たして何回書けば全てを振り返られるのだろうと不安に思っていますが、とにかくダラダラと語っております。

宮野真守さんの取材について振り返った(1)はこちら

声優ラジオの時間 ゴールデン (綜合ムック)

――『さよなら絶望放送』の特集が前号に続いて実現しましたね。


村上 前号では本当に反響が凄かったですから。だって、企画を発表した時にAmazonの総合ランキングで20位以内になったんですよ? たぶんそんな経験、自分で作った本では一生できないでしょうから。


――瞬間的なものとはいえ、日本中で売れている本のTOP20に入るなんて凄いですもんね。それで今回の後追い企画をやろうと?


村上 「『声優ラジオの時間アンコール』ができるまで」でもかなり前向きに書いてましたけど、頭の中では「確定事項」だと思ってました(笑)。


――やっぱりそうでしたか。


村上 あと、構成Tこと田原弘毅さんの存在がずっと引っ掛かっていまして。話は3年ほど前に遡るんですが、1冊目の『声優ラジオの時間』が発売した時にエゴサーチをしていたら、田原さんに反応していただいてたんです。まあ、田原さんの奥様がツイッター上でこの本に田原さんの担当している番組が1つも載っていないことをイジって、それに田原さんが自虐的に言い返していたんですけど(笑)。




――そんなことがあったんですか(笑)。それが引っ掛かってて?


村上 田原さんが担当されている番組はアニメ関連が中心なので、なかなか取材するタイミングがなかったんですけど、前号が出た時にも『絶望放送』特集に反応していただいて。今回満を持して取材をお願いする時がやってきたわけなんです。だから、オファーのメールをする時はちょっと緊張しました。「やっときたか」なんて言われたらどうしようって(笑)。


■3ヵ月かけて万全を期した下準備

――この取材が今回の本で一番最初の取材だったそうですね。


村上 実は7月上旬にやっていたんです。だから、4月に本の制作が決まってから、この取材までは完全に『絶望放送』のみに集中してましたよ。


――前号で特集をやったわけですから、そんなに取材準備の時間は必要なかったのでは?


村上 こういうことはあんまり言わない方がいいのかもしれないですけど、インタビューって原稿にする段階で“後付け”できるんですよ。取材現場で反応できなかったことも、シラーッと「わかってましたけどね」みたいな感じに変えていたり……。前号の『絶望放送』特集はいろいろ取材も重なっていたので、自分が納得いくまで下調べをして臨めなかったという感覚があったんですね。それでも30~40時間は掛けているので、インタビューの準備としてはやり過ぎぐらいなんですけど、今回はより完璧にしたいと思っていたんです。


――それで3ヵ月間を準備にあてたと?


村上 ずっと準備ばっかりしていたわけではなく、もちろん他の仕事をやったり、カレーを食べたりしてましたけどね(笑)。番組での発言を掘り下げたり、原作やアニメを見直したりして。そこで質問のリストも作っていました。新谷良子さんの取材で言うなら、神谷さんと一緒に帰った時のエピソードや調味料の「さしすせそ」の話なんかは現場に持っていったメモに書いてあったんです。それだけ時間をかけたからこそ余裕も生まれて、聞き手の部分に「F」や「Z」を付けたり、最初に注意書きをコッソリ入れたり、前置きの番組紹介もちょっと修正したりして。前号はあくまで「番組を知らない人でも楽しめる特集」というテーマを守りましたけど、今回はよりディープにマニアックにやろうと思っていたので、結構好き勝手にやらせてもらいました。


■最初の取材が本の方向性を決める

――完璧な状態で佐藤(太)さんと田原さんの取材に臨めたわけですね。


村上 はい。あと、個人的な感覚なんですけど、一番最初の取材がその本のテーマ付けだったり、方向性を決めることが多いんですが、この佐藤さんと田原さんの取材がそういうヒントになった気がします。


――それはどういう部分で?


村上 まず前提として、やっぱり話が凄く面白かったというのが大きかったですね。僕の中で勢いがついたというか、アクセルを踏んだような感覚がありました。あと、基本はアニラジという枠組みの中での話なんですけど、田原さんも佐藤さんも深夜ラジオをガッチリ聴いている世代の方なので、そこでニュアンスが通じやすくなったんですよね。特に佐藤さんは「アニラジではなく、普通のラジオ番組として作る」という意識が強い方でしたし、この「普通のラジオ番組としての視点」「外部からの視点」というのが今号のテーマにもなったと思っています。


――その視点が他の企画にも繋がっていると?


村上 宮野さんに山里さんとの関係を聞くのも、ある意味で「外部からの視点」ですし、小松未可子さんの取材テーマは「月曜日25時という深夜ラジオの最前線で番組をやっていたこと」なんですが、それも声優ラジオ外から見た視点ですよね。あと、田所あずささんも「ニッポン放送唯一のレギュラー声優」がタイトルだったんですが、これも声優ラジオとはちょっと違う文脈じゃないですか。中村繪里子さんとピストン西沢さんの対談は完全に外部から見た話をしていますし、「俯瞰して声優ラジオを見る」というのを凄く意識して全体の企画を立てていたんですけど、それはこのお二人の取材から考えが生まれたことなんです。


■佐藤D&構成T対談で泣く泣くカットした部分とは?

――取材の話に戻ります。佐藤さんと田原さんのインタビューは2時間以上になったそうですね。


村上 いろいろ聞きたい話がたくさんありましたし、お二人とも事前に言いたいことを考えていてくれたので、あと1~2時間はいけたんじゃないかと思います(笑)。文字起こしをしたら、3万字近くあったんですよ。実際の原稿量も1万5000字もあるので、相当なものなんですけど、かなりギューッと圧縮した感じなんです。


――それだけインタビューしたということはカットした部分もあったんですか?


村上 事前にテーマの1つとして考えていた「お二人がラジオ業界に入った経緯とその頃の苦労」はスペースの都合上、泣く泣くカットしました。ある意味、『絶望放送』のフォーマットが生まれた理由にも繋がるところだったんですが、それを載せたら20Pぐらいになっちゃいますからね(苦笑)。


■新谷良子は取材時も普通だった!?

――もうひとつの新谷さんの取材ではどんな印象を?


村上 新谷さんの取材はカフェの個室で行ったんですけど、閉鎖的な状況でのインタビューってちょっと緊張するものなんです。ましてや初対面ですし、この取材にカメラマンや他のスタッフ、メイクさんなどは同席してなかったですから、最初は硬い雰囲気になってもおかしくなかったんですけど、新谷さんの取材はスッと気楽な空気になった印象があって。


――そこでもある意味で“普通”でしたか(笑)。


村上 凄く気楽に取材できました。それは新谷さんの持つ雰囲気ゆえのことだと思います。一緒にいても気疲れしないタイプなんじゃないかと感じました。なんか凄く居心地がよかったんですよねぇ。


――なにニヤニヤしているんですか(笑)。まさか「お嫁さんにしたい声優さん1位」とでも言いたいんですか?


村上 いやー、そこまで言っても過言ではないぐらいに取材しやすかったんですよ。インタビューする相手にいろんな印象を持つものなんです。イメージしたそのままだったり、もっと話を聞きたいと思ったりする場合もありますし、「会う前よりも会った後により魅力的に感じられる人」もいるんです。新谷さんはまさにそういう方でした。


■神谷浩史と共通する「全力でネガティブを楽しむ」姿勢

――『絶望放送』の要というか、「この人がいたから番組の雰囲気ができた」という方ですもんね。


村上 ネガティブなんですけど、どこか前向きなんですよね。明るい後ろ向きというか、後ろ向きだけど全力というか。神谷さんも前号のインタビューで「僕も凄く後ろ向きな人間ではあるんですが、最後は『まあ、何とかなるだろう』と楽観的に思えるところがあるので」と仰っていましたが、そこは共通するのかなって。面識のない人とラジオ番組で話すことに抵抗を感じる声優さんもいると思うんですが、新谷さんは「そういう場がないと喋らない人っている」「アニメの打ち上げで喋れって言われるよりは全然楽」なんて言っていたじゃないですか。


――人見知りの場合、仕事という状況で強制的に会話をさせられた方が、プライベートで頑張って話しかけるよりも楽なのかもしれませんね。


村上 まあ、1時間ちょっと話しただけで何がわかるんだと言われたらそれまでなんで、あくまでも僕の個人的な印象なんですけどね。あと、声優ラジオにおけるキャラの強調も「本当の自分とは違うのに」って悩む人もいる中、新谷さんは「想像を膨らまさせながらも、本当のことをちょいちょい入れて立体感を出していくみたいな。そういう駆け引きは楽しい」とここでも前向きに楽しんじゃっている。そういう“全力でネガティブを楽しむ”という姿勢はとても『絶望放送』らしいなと思いました。


■パーソナリティ2人の対面はラジオで実現すべき

――2号にわたっての特集は村上さんが取材を担当されたわけですが、終えてみて、今の気持ちはいかがですか?


村上 ラジオ本を作る上で「番組のパーソナリティもスタッフも全てを取材したい」という気持ちって当然あるわけじゃないですか。『絶望放送』の場合、パーソナリティ、プロデューサー、ディレクター、構成作家と全員に話を聞けたわけですから、達成感は感じています。


――またカッコ付けた言い方をしてる(笑)。でも、普通は番組本でも作らないとできないわけですからね。


村上 先日、絶望放送の同窓会として皆さんが一堂に会したみたいなんですけど、ちょっと不思議な感覚なんですよね。それぞれ別個に取材した方々が、知らないところで集まっている……。なんて言えばいいんでしょう、知らないところで自分の友人が集まっているような感じなんです。

――なにバカなこと言っているんです!(笑)。 そもそも皆さんで200回を超す番組を作っていたじゃないですか。

村上 皆さん一緒に番組を作っていたわけですから、僕の感覚がおかしいんですけど、番組をやっていた頃に取材した経験はないので、余計にそういう感じになるのかもしれません。

――まあ、ある意味で役得の感覚かもしれませんよ(笑)。


村上 アニメが絡むラジオの番組本となったら、権利関係でいろいろ動かないといけないわけで、すでに終了している『絶望放送』で一冊作るのは相当ハードルが高いんです。でも、2号に渡って取材したことで、結果的にはそれに近いことが体験できたのはよかったなって。


――一部ではさらに突っ込んだ特集やパーソナリティお二人の対談を希望する声もあるようですが。


村上 それは番組と同様に、『さよなら絶望先生』の第四期がない限りはやらないつもりです。神谷さんと新谷さんを会わさずに、それぞれ単独で取材して今は本当によかったと思うんです。


――以前仰っていたように、目の前に相手がいないからこそ語れる話がありましたもんね。


村上 それ以上に、お二人が会って話す場は誌面じゃなく、ラジオ上であるべきだと考えているんです。もちろん『絶望放送』という形では難しいかもしれませんが、今後何かしらの形でお二人がラジオで共演する可能性は十分あるじゃないですか。そういう時に『絶望放送』みたいな雰囲気になったのを楽しむのが一番いいなって。


――まあ、お二人を会わせたら、村上さんがリスナーとしての楽しみを現場で独り占めしちゃうわけですからね(笑)。


村上 そんなつもりはないですけど(苦笑)。あくまでも「ラジオの魅力を伝える本」なので、本筋はラジオで実現するべきだと今は思っていて。もちろん企画としては魅力的ですよ。このお二人以外にも、例えば宮野真守さんと山里亮太さんの『おしゃ2』対談とか、堀江由衣さんと田村ゆかりさんの『やまとなでしこ』対談とか、ラジオが関わっている対談企画は、うちの本で実現できるかどうかは別として、本当に魅力的です。でも、それはまずラジオで実現するのがあるべき姿だなって考えているんですよ。


――そこはリスナーさんと同じく、実現する機会は気長に待っていたいと?


村上 まあ、上司から命令されたり、お互いに前向きだったら、態度を変えてそういう対談の実現に動くかもしれないですけど(笑)。

――背に腹は代えられませんか(笑)。


村上 それは冗談として、あくまでもラジオ上で実現して、それを僕もニヤニヤしながら聴きたいと思っています。あと、ここで強調しておきたいんですが、さっき番組本の話をしましたけど、いまやりたいことのひとつとして番組本制作があるんですよ。僕も基本はフリーなので、企画を通すところから担当するのは難しいですけど、放送局と出版社で話がまとまっているような状態であれば、ぜひやってみたいです。オファーお待ちしてますよ(笑)。


――『絶望放送』特集についてはオファーの呼びかけで終わりにしましょうか(笑)。

もう1つの特集『ラジオ番組が終わる時』を振り返る(3)はこちら


(1)宮野真守起用は2年前に決まっていた!?

※過去のバックナンバーについても振り返り記事がありますので、興味のある方はぜひ。どれも長いですが…。1号目については企画自体の立ち上げなどにも触れています※

『声優ラジオの時間アンコール』ができるまで
『声優ラジオの時間 NEXT SEASON』ができるまで
『声優ラジオの時間』ができるまで