ゲームをテーマにしたラジオ番組はたくさんありますが、ラジオ番組を題材にしたシミュレーションゲームはほとんどありません。調べた限り唯一あるのが『どきどき ON AIR』シリーズです。

 プレイステーション専用ソフトとして1998年6月11日にボトムアップから発売。なぜか未だに新品をAmazonで買えるので(950円!)、実際に購入してプレイしてみました。

ボトムアップ
1998-06-11

※パッケージ画像やその他詳細はプレイステーションオフィシャルサイトをご確認ください。
http://www.jp.playstation.com/software/title/slps01454.html


ゲーム概要・登場声優は?

 このゲームは厳密に言うと、「声優ラジオのゲーム」です。ADを1年半やっていたという主人公がお馴染みの文化放送・片寄好之プロデューサー(現取締役、放送事業局長)に呼び出され、新番組のディレクターに任命されるところから始まります。

 番組は30分番組で、時間帯とスポンサーがランダムで選ばれます。ちなみに僕がプレイした時は「ゲーム雑誌」がスポンサーで、「深夜2~2時半」の時間帯という番組でした。

 パーソナリティとして選べる声優は小森まなみさん、丹下桜さん、池澤春菜さんの3人。ここは丹下さんをセレクトしました。続けて、番組の要素を候補から選択します。


■番組のコンセプト
明るい、ハイテンション、ほのぼの、ホラー、ちょっとH

■番組名
ドキドキ ON AIR、夜ウサギ電波、ケレケレラジオ今夜もGUUU、ご機嫌デザート、HOP STEP JUMPING SMILE、JUST FOR YOU、ミッドナイトキッス、ペパーミントサークル

■ラジオドラマ(2週に1回必ず放送/あかほりさとる事務所が完全協力)
アイドル探偵YOU&MY、胸さわぎのSEASON、昏き夜に宴開きテ、怪盗エルフ・リーリィ、超合身ザンガード


 ここでは「ほのぼの」で、「ペパーミントサークル」をチョイスしました。これらのセレクトでスポンサーやパーソナリティからの信頼度(初期値)が変わってくるらしいのですが、細かい点はまったくわかりません。ラジオドラマは「超合身ザンガード」をチョイス。なんと神谷浩史さんがガッツリ出演しています。


意外と楽しい構成表作り(脳内補完が必要だけど)

 で、ゲーム自体の内容なんですが、ディレクターとなってワンクール(13週)の番組を作っていくことになります。一番大きい仕事は番組の構成表作り。それに、ゲストのブッキング、雑誌への取材依頼、公開録音の場所決め、ノベルティの制作という作業が加わります。

 構成表作りはオープニングトーク(3分)とエンディング(3分)以外の24分間で何をするのか決めていく作業です。フリートーク(3分)、CM(30秒)、お便り紹介(1分)、ゲストトーク(5分)、ラジオドラマ(10分)、音楽(2分)、ハガキ募集告知(1分)、プレゼント告知(1分)、スポンサー告知(1分)、イベントやゲスト出演前週の告知(1分)などのコンテンツで時間を埋めていきます。

 読むハガキも10枚の中から自分で選ぶ形に。一応、相談・報告・ギャグ・質問などそれっぽい内容が書かれていますが、このセレクトが番組の評価に影響しているのかは正直謎です。

 この辺の作業はラジオ好きならば脳内補完もあって、それなりに楽しいんじゃないでしょうか。ちょっとはスタッフ気分を味わうことができます。

 ちなみに番組のゲストとして、浅田葉子さん、置鮎龍太郎さん、富沢美智恵さん、豊口めぐみさん、豊嶋真千子さん、野上ゆかなさん、日高のり子さん、平松晶子さん、結城比呂さんが呼べます。最初から1クールの番組に対して100Pという予算が決まっており、ゲストのブッキング、雑誌取材、公開録音、ノベルティの作業にはポイントが必要となります。


ゲーム内容は単調 パーソナリティのトークを楽しめるのが魅力

 構成を決めると、実際に番組がスタート。ディレクターの仕事としてそれぞれのコンテンツでCUE出しをするのですが、タイミングに合わせてボタンを1つ押すだけ(しかも全て同じタイミング)なので、ミスすることはほぼないです。ぶっちゃけ、単調で暇な作業です。

 番組自体は構成表に沿って進んでいきます。実際に喋りも音声が再生されていくんですよ。オープニングトークならばタイトルコール、簡単なフリートークに最初のおはがき(選択不可能)を読むという流れで、毎回違う話が披露されます。想定されている3分はないですが、2分ぐらいのトークが再生されます。

 フリートークもだいたい1分半ぐらいの喋りが流れます。たまに同じ話も出てきますけど、各パーソナリティでそれなりの数のフリートークを収録しているようです。ゲストをブッキングした際にはゲストとのトークが選べるんですが、これもパーソナリティが3つの質問をゲストにするというトークが実際に流れます。かけあいっぽい場面もあるので、全てのゲストとの絡みが収録されているんじゃないかなと。ラジオドラマも実際に聴く形に。

 残念なのが、ハガキ読みは音声なしで、一言だけ感想の声が聴けるだけのこと(もはや気分は『一単語人生相談』)。あと、全体に早送りや一時停止ができないのがたまに傷。だいたい実時間で言うと15分ぐらいで1回分が終了します。

 で、番組が終了すると翌週へ。聴取率とハガキの数が公開され、それを確認しながら翌週の番組内容を決めていく……という作業を13週分続けるという中身になります。

 ライバルディレクターとして白石仁司さんおたっきぃ佐々木さんが登場して、聴取率を争う形になります。アドバイスを聞けるのですが、バリエーションはほとんどなかったです。でも、佐々木さんが「番組側が楽しまないとリスナーに伝わらない」的なことを言っていて、先日取材した時にお聞きしたラジオ観と変わってないんだなあと思って、ニヤリとしました。

 で、13週分をプレイしたんですが、繰り返しとなりますけど、ゲームとしては恐ろしく単調です。できる行動は少ないし、オンエア中の写真なんかもバリエーションが少ないので、「CUE出しのボタンをたまに押しつつ、ラジオCDを聴く」という気分になります。
 CMは音声なし、番組中に音楽を流すことをセレクトしても、それっぽい曲が30秒ぐらい流れて、CUEを出して終わりになります。全ての部分で音声の切り方がひどくて(このソフトの問題なのか、当時の仕様なのか不明)、プツッと切れるのもマイナス点ですね。

 ハガキ選びとか番組構成が聴取率などに影響を与えているのかどうかも不明なので、そこにこだわる気持ちもなくなり、最終的には「パーソナリティのトークを楽しむ」というラジオ本来の楽しみ方に落ち着きます。パーソナリティを務める声優さんのファンであれば、ある程度の数&時間のフリートークが聴けるわけですから、それなりには楽しめるんじゃないかと。かなり一般向けのテーマで喋っていますしね。ラジオ観みたいな話もちょこちょこありました。


聴取率は脅威の5%超え! でも片寄さんに呼び出され……

 僕のプレイはどうなったかというと……序盤にいい気になってゲストを呼びすぎたら、片寄さんに「番組の色が薄くなる」と怒られました(笑)。予算の使い方がイマイチわからず、公録を重ねたら、終盤は予算不足に陥り、そのまま終了。聴取率は5%超え(実際にこんな番組があったらラジオの歴史に名を残すレベルだなあ)で、佐々木さんの番組にはわずかばかり敵わない結果となったんですが、スポンサーとの信頼関係が薄く(エンディングでのみ、パーソナリティ、スポンサーとの信頼度とディレクターとしての能力値が発表になります)、13回目放送直後に打ち切りとなったことが片寄さんから通告されました。丹下さんにはディレクターの口から報告。かなり悲しがっていたのが印象的です。エンディングとオープニングのテーマ曲は同じなんですが、パーソナリティの3人が歌っています。
 ゲームとしては本当に単調なので、13回やるだけでもハードルが高いです。出演されている声優さんへの興味が薄いとかなりきつくなるんじゃないでしょうか。ただ、ラジオ好きとしてはこの手のゲームに可能性を感じたというか、「もっとやってみたい」という気持ちにはなりましたね。やっぱり番組構成を組むとか、ハガキ選びをするという経験はなかなかできないので。まあ、「オススメのゲームです」とは言えませんがね(笑)。


PC版では続編も複数発表

 ちなみにこのシリーズはPC版(Win95&Mac)が先に出ていて、その移植作に当たります。PC版にはミニ写真集と主題歌CDが同封された限定パッケージ(パーソナリティ別で3種類)が発売されていたようですね。

どきどきON AIR2
どきどきON AIR2 [Video Game]
 続編の『どきどき ON AIR 2』もPC版とPS版が発売されています(以下、当時の『アニラジグランプリ』に掲載されている広告等を参考)。 PC版は98年7月、PS版が99年3月に発売。パーソナリティは岩男潤子さん、横山智佐さん、永馬由子さんから選択。ゲストで呼べる声優は桑島法子さん、今井由香さん、子安武人さん、鈴木真仁さん、永上恭子さんで、小森まなみさんは何らかの条件が揃うと呼べるスペシャルゲストらしいです。
 アドベンチャーパートが追加となり、文化放送を歩き回れるようになったとか。白石さん、佐々木さんに加え、佐藤美加子ディレクター、長谷川のび太アナ、峰岸慎一社長(当時)も登場。お便りコーナーの名前なども決められるようになっているみたいですね。ラジオドラマも新録。テーマ曲は豊嶋真千子さんが歌っているそうです。写真集付きのプレミアムパッケージも有り。PS版はAmazonで新品を1880円で買えます。

 このPC版の続編が『どきどき ON AIR FINAL』(Win95&98)。1999年7月発売。パーソナリティは金月真美さん、宮村優子さん、小西寛子さん、麻績村まゆ子の4人で、ゲストとして呼べるのは久川綾さん、松野太紀さん、草地章江さん、前田愛さん。さらに、選ばなかったパーソナリティもゲスト出演することができるようになったとか。ライバルディレクターは白石さん、佐々木さん、谷本七奈さん。ADとして川口泰三さん、さらに安藤隆啓(アニラジグランプリ編集長)さんまで登場します。グッズを付けたゴールドパック(20,000円)、シルバーパック(15,000円)も発売したようです。


 で、シリーズ最後となったのが『國府田マリ子のどきどき ON AIR』(Win95&Mac)。2007年6月発売で、これまで作品では制作会社だったドリームジャパンが発売元になりました。アニゲマスター内で短期間ながら同タイトルの番組を放送していたそうです。
※なぜか未だにソフトの宣伝ページが文化放送のサイト内に残っていました。

http://www.joqr.co.jp/ag/htmls/a_g01-20.html

 ゲストで呼べるのは南かおりさん、桑島法子さん、井上喜久子さん、岩田光央さんの4人。番組に寄せられたハガキを実際のゲーム内で使用したみたいですね。國府田さんの喋りは合計15時間も収録されているとか。

 その他、1作目では制作の裏話を集めたカセットテープやラジオドラマのMAC版なども発売されていて、イベント展開もされていたようです。中古サイトを探すとテレカやポスターも出てきますね。ネット上にもあまり情報は残っていませんが。


パーソナリティ側のゲストトークに注目したゲームも存在!


 そしてもう1本、ラジオを題材にしたゲームを発見しました。それが『フリートーク・スタジオ:マリの気ままなおしゃべり』です。

フリートークスタジオ マリの気ままなおしゃべり
フリートークスタジオ マリの気ままなおしゃべり [Video Game]

 プレイステーション版とセガサターン版があり、97年発売です。 「フリートーク」とありますが、実際はゲストとのトークがテーマです。主人公のCVは國府田マリ子さん。他に久川綾さん、富沢美智恵さん、山崎和佳奈さん、萩森侚子さん、大本眞基子さん、難波圭一さんが登場。選択肢を選びながら、番組の盛り上がりとゲストの機嫌を保ち、時間内にしっかりと収める……というゲーム内容で、どうやら最後には國府田さんが演じる別のキャラがゲストに出るらしい。「國府田マリ子×國府田マリ子」のラジオが楽しめるわけですね。

 ラジオをテーマにしたゲームは調べた限り、この2作品のみ(声優育成ゲームにラジオの要素が入っているなんてパターンはあるかもしれませんが)。かなりニッチな方向性ですけど、声優ラジオならば上手いことゲーム化できるのではないかと思います。どこか作ってくれませんかね? まあ、今の時代、ラジオ番組を実際にやることのハードルが恐ろしく低いので、ゲームをやるなら、本当にラジオ番組をやってしまった方が早いかもしれませんが……。気が向いたら続編もやってみたいと思います。