2009年02月26日

ハルフウェイ ≪このCROSS ROADは、ふたりのBEAUTIFUL LIFEのために≫4

評価:80点

だけど、それは まだ 物語の途中…

hal1【監督】北川悦吏子
【製作】岩井俊二/小林武史
【音楽】小林武史
【出演】北乃きい/岡田将生/溝端淳平/仲里依紗/成宮寛貴/白石美帆/大沢たかお
【製作国】日本(2008)
【日本公開日】2009/02/21
【鑑賞劇場】MOVIX昭島

 大学受験を控えた女子高校生のヒロは、秘かに想いを寄せるシュウに告白できず、その辛さを親友に打ち明け慰めてもらう日々。そんなある日、ヒロは思いがけずシュウから告白される。すっかり有頂天のヒロ。ところが、地元北海道の大学に進学するつもりのヒロに対し、シュウの志望校は東京の早稲田大学だった。その事実を付き合い出してから知らされたヒロはすっかり拗ねてしまい、シュウと口もきかなくなってしまうが…。(allcinema ONLINE)



hal2

リリイ・シュシュこと、Salyuは良いなぁ。小林武史も、こういうちゃんとした映画のタイアップをミスチルにくれよ!ここ数年のタイアップなんて、酷いものだからね。悔しいから、記事のタイトルに無理矢理ネジ込んじゃっちゃったよ(笑)

というわけで、そう嫉妬してしまいたくなるほど非常に面白く観られた本作。監督は、90年代のテレビドラマ界を支えた名脚本家・北川悦吏子。意外かも思われるかも知れないけれど、俺『ビューティフルライフ』大好きなんだよね(笑)よく言ってるけど、“難病モノ”とはいえ、ジャンルで敬遠するつもりはないからね。でも2000年代からは落ち着いてしまい、しかも業界自体が落ち込んでいるため、もっと早くこの機会を与えてあげられなかったのかと思ってもしまう。今更「あの『ロンバケ』の脚本家が贈る!」と言っても、謳い文句にならないもんな。

そんな脚本家上がり、しかもラブストーリーの伝道師とも言われた人が監督を務めるわけだから、どんな内容になっているのかと思っていた。その結果が、また意外なもの。いきなり学生の作る自主映画のようなカメラワークで始まり、そして全編に渡ってアドリブ的な演技が続くのだ。映画を撮影しているというより、日常にただカメラを置いているだけと言った感じ。流石に冒頭の保健室でのくだりはマンガ臭いけれど、ほとんど脚本を感じさせない脚本なんだもんな。キラッキラしたような台詞が北川脚本の魅力なのに、それをわざわざ封印してみせる。冒頭、ヒロ(北乃きい)の「篠崎君がちょっと近くにいるだけで、うぅ〜ってなるっていうかさ〜」の台詞が象徴的なように、とことん日常の何でもない会話臭さを強調しているんだよね。他にも、「どーしてですか?何でですか?」とか、「スゲー凄い」とか、「後ろ向きバージョンで」とか、何でもない台詞のリズムが良かったなぁ。

だから話の筋もそれに倣う。劇的な出会い、二人を引き裂く衝撃の事実などといったものは皆無で、ただ彼氏が東京の大学に行ってしまうってだけの話なのが凄い(笑)ただ若者らしく感情優先で振る舞い、その結果それに疑問を感じ、ちょっと揺れ動くだけ。その間に、刺激的な出来事が起こるわけでもない。川辺でダベッたり、受験勉強をしたり、ジュースおごってあげようかとか、その程度の事がずっと続くだけ。その結果にある成長と言っても、誰だって通るような道程度のものだ。

けれど、ここが気に入った。しょせん映画は作り物の世界なわけだから、それこそドラマチックな展開が観たいという人も多いだろうけど、俺は逆。作り物の世界だからこそ、何でもない日常をただ日常として描いてくれる方が好きなんだよね。むしろラブストーリーに至っては何も起こらない方がいいと言ってしまいたくなるほど。いやらしさが無いから、素直に受け止められる。「そんなことしなくたって、学生生活はそれだけで充分ドラマチックなものさ!」なんて、そこまで言う気はないけれど(笑)←こういう人が『耳をすませば』とか『時をかける少女』を観ると「死にたい」と言う人達なんだろーなーって勝手に思ってたりする。

まぁ、でも作り手もそういう気持ちを喚起させようとしているのも垣間見える。日常っぽさのゴリ押しとはいえ、その画作りはとことん美しい。舞台自体は何でもない場所なのに、差し込む陽光、青い草むら……要は本作の製作を手掛けた、まんま岩井俊二な世界観で繰り広げられるからね(予告編なんて、完全に岩井映画に仕上がっているぞ!)。こういう意味では、二番煎じな画作りでしかないと言えばないんだけど、すっかり岩井俊二は新作を製作しなくなってしまったから、“っぽい”だけでも嬉しくなってしまうところもあった(笑)

そして本作が優秀なのは、単純に「北乃きいカワイイーーー!!」と言わせてしまうアイドル映画的な需要も満たすところ。「ほら、これカワイイだろ」と、やたらとその表情をクローズアップしてくるもんな(笑)特にそれが顕著なのが、ラストカット。もはや相方の岡田将生すら無視して、ひたすらカメラは北乃きい。これだけあからさまなのに、最後の「東京に行って欲しくないです!」で、「あぁまぁカワイイしいいか……」と思わせてくれる。これがアイドル映画の醍醐味だ(笑)でも得てしてアイドル映画はそれだけであって、作品全体としては箸にも棒にもかからないもの。けれど、そうはなっていないのが、この豪華なクリエイターのメンツが成せた業なんだろうね。


Posted by radiotube at 23:59│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!映画レビュー 

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