このコンテンツでは、これから就活をスタートさせる学生さんにお会いする際に、私が必ず話すようにしている、2つのことをまとめています。500名以上の学生に話してきて、もっとも反響を受けている内容であり、私がラジカルシンキングをリニューアルする中で一番伝えたいコンテンツでもあります。 

私は就活をしていた当時、学生結婚し、子どももいたことも有り、とにかく家族を養うために働く必要がありました。そして会社を選ぶ際も、仕事内容以上に、妻の実家が近い西日本で働けることを最重要視しました。 

また、私は学生時代に起業を経験、またHP運営による多額の広告収入を得ており、さらに将来作家を目指していたこともあって、正直、サラリーマンという働き方への期待度は高くありませんでした。 

しかし、会社に入って数ヶ月で、その価値観は大きく変わりました。 今では、自他共に認める社畜であり、自分の天職はサラリーマンだと思っています。 

ここでは、自分が学生時代に気付いていなかった「会社で働くことの面白さ」と 3人の子育てと仕事を両立しながら感じる「仕事と家庭の関係性」について、少し長いですがまとめています。 

働くことに対するネガティブな情報とキラキラし過ぎている情報が錯綜している就活市場に惑わされず、「仕事に対する期待感」と「仕事に対する冷静な視野」の二つをバランス良く有しながら、「社会で働くこと」について就活を始める前に、じっくりと考えてみて欲しいと思います。 

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「働くとは何か」を考える最初のきっかけとして、まず皆さんには「何故、会社が存在するのか?」を考えてみて欲しいと思います。 

元々、会社組織というのは、個人で出来ないことを集団で成し遂げるために作られました。一人では出来ないことを、人々が協力しあう中で新たな価値を生み出す。

この人々が協力しあう中で大きな価値を生み出すという行為は、集団で狩りをして食料を得るという、
人間のDNAに埋め込まれた本能の営みだと私は考えています。 

今、お金はブログやYou tubeで稼いで、会社組織に束縛されない「自由に生きること」を目指す若者が増えていると感じています。様々な形で価値を生み出すことが出来る社会インフラが整い、多様な生き方が可能となるのは素晴らしい事です。

自分も仕事人生のミッションの一つとして、多様な
生き方を実現できる社会をICTの力を活用して推進したいと考えています。しかし、大学生が最初から「組織に捉われない生き方」を志すのは、「非常に勿体無い」と考えています。 

当然、フリーランス的な生き方をするにしても、オンラインサロンやギルドといった形で何かしらの組織に属することは出来ます。しかし、組織全体が一つの方向を向いている会社組織とは異なり、組織の一員としての人間関係の「面倒臭さ」や目標達成時の「一体感」はフリーランスの集まりでは得られにくいのではないかと感じています。

この、「泥臭い人間関係」を乗り越えた先の、目標達成時の組織の一員としての「一体感」や「高揚感」こそが、会社組織で働くことの醍醐味の一つだと私は考えているのですが、フリーランスを志す人の多くがこの「
人と関わる事」の面倒臭さを避けて、「手軽なゴール(アフィリエイト報酬等)」を得ようとしているだけのように感じています。

自分が学生時代に伊集院静さんの『大人の流儀』を読んだ中で、伊集院氏が作家になると父親に伝えた際に 「つまらん職業を…」と諌められる一説があり、作家という職種に魅力を感じていた自分の心に強く突き刺さりました。 

「一体何を言っているのだろうか」「文字で社会に影響を与えられるこんなに面白い仕事は無いのではないのか」「好きな時に働いて、好きな時に遊べて、自由気ままで最高じゃないか」…と。 

しかし、この伊集院静氏の父親の言葉の意味が、社会人になって、規模の大小に関わらず、色々なプロジェクトに組織の一員として携わる中で分かって来ました。 

情報も、人も、組織も、お金も、技術も、会社が持っている資産を全て活用し、新たな価値を生み出す活動。一人では提供困難な新たな価値を会社資産を活用して社会に還元出来るダイナミズム。この感覚は、手持ち資産が限られている一人仕事では味わいにくいです。 

そして、価値を生み出すプロセスそのもの。各人が有する様々なスキルを組み合わせてチームを作り、チーム一丸で新たな価値を生み出す。 

その過程は当然思い通りにならない、面倒くさい、不自由なことも多々あります。しかし、悔しい想いをした分、嬉しい想いは何十倍にもなります。一人ではなくメンバー皆で目標を達成することの満足感。この喜びは、一人仕事では得られません。これこそまさに、社会人、サラリーマンの醍醐味だと気付いたのです。 

当然組織の一員としてお給料をもらって働く以上、責任感に伴うプレッシャーもかかるし、会社に行きたくない日もあります。

しかし、仲間と一緒に苦境を乗り越えて、新しい価値が生み出し、
皆でお祝いしあう時、きっと「組織の一員として働くのって、思っていたより悪くないな」と誰しもが感じてくれるはずと、自分は考えています。

これが私が学生時代には気付くことが出来なかった、「組織の一員として働くことの魅力」です。是非就活を始める前に、学生の皆様には「サラリーマンって思ったより面白そうだな」という感覚を持って欲しいと思います。 

実際にサラリーマンとして働いてみて、組織文化が合わないのなら転職すれば良いだけですし、会社組織自体が自身の価値観と折り合わないのなら、その時初めて、フリーランスとして独立すれば良いと思うのです。

しかし最初から「サラリーマンになること=人生の墓場」という捉え方で就活に臨むのは、あまりに自分の可能性を狭める行為だと思うのです。

実は、スポーツ競技や、団体運営等をしている学生さんには、この感覚は当たり前のことなのかも知れませんが、割りと一人で何でもこなしてきた学生時代の自分にとっては、社会人になった際の、非常に大きなパラダイム転換でした。 

逆の言い方をすると「一人で何でも出来る」ということに自信を持っている学生さんは、働きだす中でこのギャップに苦しんでしまうかも知れません。注意してくださいね。 

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そしてもう一点、上と矛盾するようですが、特に働くことに期待しすぎているキラキラ就活生(意識高い系就活生)にも伝えておきたいことがあります。 

まず、自分は仕事が好きな方です。仕事が重なる時は、ワーカホリックの一歩手前だなぁ、と感じながら、そんな自分に酔いしれたりもします(笑)。 

しかし、頭の一部で「仕事は所詮仕事だ」と割り切ってもいます。会社でも明言していますが、自分にとって一番大切なのは、家族や友人との時間です。

就活をスタートする学生さんを見ていると、まだ働いたことも無いのに関わらず、「仕事は自分の全てです!」と捉えている方が多いと感じています。その考えを前提として就職先を選ぶのはちょっと危険だと、自分は考えています。 

真に飛びぬけた実力-外銀・外コン等の内定を総ナメするような力-を持っている学生の場合、心配していません。全力で仕事に取り組んで、出来れば日系企業に勤めて、日本のGDP向上に貢献して欲しいと思います。こういう学生は、大概プライベートも仕事も高いレベルで両立します。 

しかし、力が伴っていないにも関わらず、働くことに異常な期待を抱いている学生さんは、仕事はあくまで家族を幸せにする手段の一つでしかないと、冷静に捉えることが重要です。まだ働いてもいないし、おそらく自分の家族がいない段階で仕事と家族の関係性を意識するのは難しいことは分かっています。 

しかし、社会人として経験を積む中で、「仕事はもしあなたがいなくなっても代わりが生まれるし、もしあなたがいなくても、社会は変わらず回り続ける」というのは、社会のある意味残酷な一面だと、日々感じています。

しかし、「将来の子どもたちにとっての父親・母親、あなたの両親にとっての子どもとしてのあなた」は、あなた以外にありえません。これも3人の子どもを育てながら感じている、間違いのない、普遍的な事実です。 

今まで見てきた中で、仕事で潰れてしまう人の多くは、仕事自体に多くの意味を求めてしまい、理想と現実のギャップで心をやられていました。周囲から見た仕事をしている自分への期待・理想の追及、とも言えるかも知れません。

また、家庭に時間を割くべき時に、仕事に時間を割いてしまい、家庭が修復不可能になってしまった人たちも、 悲しいながらいくつも見てきました。 

当然、何に力を入れるかは、その時々のタイミングがあるので、そこも割り切ってこの時期は仕事に全振り、という風に考えるのならそれはそれで結構です。

ただ、この時に注意して欲しいのが、上のように自分の力の入れ方をある程度コントロール出来る会社を選ぶのは、就活において、非常に大きな要素だということです。 

就活をしていると「安定した大手が良いか、成長できるベンチャーがいいか」 という議論をよく聞くと思います。 正直、大手より福利厚生がしっかりしたベンチャーもあれば、既存のビジネスモデルからの転換が上手く行かずに泥舟のように沈みつつある大手企業も多数ある中で、上の議論は意味をなさないとは思うのですが、福利厚生の観点、もっというと働き方の自由度は就活でも意識した方が良いと思います。 

自分は就活時にベンチャー、外資系、色々な企業にお声がけいただいたのですが、 本社が西日本にある、という立地の問題と、年休等が取りやすく家族を大事に出来る福利厚生が整っている理由で、今の会社を選びました。そしてその軸で会社を選んだことに対して一切後悔していません。仕事でやりたいことなんて、一生懸命働いていたら、後からついてきます。

自分の場合は学生の時に子どもがいたという特異な事例ですが、恋人と離れたくない、両親と離れたくない、家を大事にしたい、地元を大事にしたい、といった感情をもし有しているのなら、その感覚は本当に大事にしてもらいたいな、と思います。 

先程、自由な生き方を目指してフリーランスを目指す若者が増えていると書きましたが、確かに自分一人で食って生きることは、異常なレベルでデフレが進んでいる日本社会においては、実はそんなに難しいことではありません。 

しかし、将来愛する家族が出来て、住みたいところに住み、子どもに教育の機会を与え、 海外旅行を通じて様々な体験をする、という将来の家族の自由度まで考えた時に、その生き方は本当に自由なのでしょうか。 

自分一人ではなく、家族の自由を得るために、仕事そのものを定義しなおすほうが、よほど自由な生き方が出来るのでないかと思ってしまいます。こちらも個人でそこまでの時間・お金を稼げる力があるのなら、何も言いませんが…。

自分は何のために働くのか、自分の幸せは何なのかを考えるにあたり、大切な人の側にいる時間こそが、誰にとっても大切な時間なのではないかと思うのです。 

この話をする際に、スティーブ・ジョブズのエピソードをいつも紹介します。 

学生の皆さんも、働きだしたらその偉大さが分かると思うのですが、スティーブ・ジョブズは、自分の想いを形にして世界中に新たな価値を与えた、 ビジネスマンとしての極みです。 

iPhone, iPad, Macbook等、その哲学を製品として世界中に広めた、誰しもが尊敬し、憧れる、
ビジネスマンとしての極みであるスティーブ・ジョブズですが、彼は56歳でその命を落とす前に、 

自分が人生で成し遂げた偉大なことは何か?」 

と聞かれたことがあったそうです。 聞き手は 

iPhone,iPadを世に送り出したこと」 

といった答えを期待したのかもしれませんが、彼は 

愛する家族を作ったことだ」 

と答えたそうです。 (注:出典確認中) 

ビジネスマンとしての極みのジョブズですら、「ビジネスで作った価値よりも、愛する家族を作ったことの方が価値があると考えた」というこの言葉は、是非全ての働く人に知ってほしいと思っています。 

ビジネスを通じて世の中で生み出せる価値、それ自体も素晴らしいものではありますが、「素敵な家族を作ること」「周囲の人に愛を与える人生」の方が、ビジネスで生み出した価値よりもっと価値がある。これもある意味当たり前のことなのですが、 就活を始める前に、一度考えてみて欲しいと思います。 

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長くなりましたが、今回就活を始める学生さんにお伝えしたかったのが、「仕事は一人でやるより皆でやる方が大きな価値を生み出せるし、楽しいよ。その上で、仕事は所詮仕事で、家族や友人、自分が大事にするものを大切にする、そういう働き方が出来る会社を探そうね」。ということでした。 

就活を始めると、仕事のやりがいとか、会社のブランドとかで目線が狭まりがちですが、仕事自体が楽しいこと、けど、仕事よりも家族を大事に、という 大きな目線は忘れないようにしてください。 

この話は不幸な就活に苦しむ大学生を減らし、やり甲斐をもって働く社会人を増やすために、是非色々な学生さんに知っておいてもらいたいと思っています。最後まで読んで何かを感じた方はFBやTwitterで拡散してくれると嬉しいです。よろしくお願いします。