第2章 (不)愉快な仲間たち #1

                                    [目次を見る]

 ♪夜曇見上げた 羽ばたく向こう側へと

 まだ誰もいないのをいいことに、巳咲は教室へ入るなり声を張り上げて歌い出した。
 今日は2ケ月に一度の土曜登校日。情操教育という名目で、地元青年団のミュージカル(主にイジメを扱ったベタな話)を見せられたり、河原のゴミ拾いをさせられたり……要するに『良い子』をやらされるわけだ。
 いつもならウザイばかりの登校日。だけど今日は、ありがとう登校日。今日に限っては、例えばいい大人がランドセル姿で『みんなトモダチ〜♪』などと歌い踊るのを見る方が、家にいるよりはマシなのだ。


 べつに深い意味はなかった。巳咲はただ、聞いてみただけだった。今日はカサいらないよね、ぐらいの、軽い気持ちで。

 朝食に目玉焼きが出た。ケチャップをかけて、フォークでプツッとやった。黄身は生に近い半熟で、ブツッと刺したところからトロトロと……流れる黄身は昨夜のドロボー騒ぎを思い出させた。
「ねえ、そういえば、夜中に変なテレビ見てなかった?」
「夜中?」
 ママは、コーヒーを淹れる手を止めて、パパを見た。
「昨夜も12時前には寝たわよ、ねえ?」
「……ああ? うん」
 パパは新聞をめくりながら、いつもながらの生返事。まったく、話を聞いているのかいないのか……パパは巳咲の視線が痛かったのか、どうにも不自然な咳払いをして、新聞を折りたたんだ。

「そういえばミサキ、前に『兄弟が欲しい』とか言ってたな」
「……は? 何、いきなり」
 確かに言った覚えはあるけれど。パパの話に脈絡がないのもいつものことなので、深くは考えなかった。そう、ここまでは、なんてことのない朝だったのだ。
「ミサキに、兄弟でもできるの?」

 べつに深い意味はなかった。巳咲はただ、聞いてみただけだった。天気予報を見て「今日はカサいらないよね」と聞くぐらいの、軽いリアクションだった。

「その……何て言うか……」
 パパはまた不自然な咳払いをして、ママをチラッと横目で見た。するとママは眉間にシワを寄せ、バツが悪そうにパパを肘で小突く。
 ……え、ちょっと待って?
 その妙な空気に、巳咲はある種の嫌悪を感じた。昨夜のことが、頭をかすめた。小5にもなれば、子供がどうやってできるかぐらい知っている。
「……二人とも、カンチガイしないでよね」
 巳咲は思わずフォークを床に叩きつけ、椅子が倒れるほどの勢いで立ち上がった。
「弟も妹もいらない! ミサキはね、『お姉さんが欲しい』って言ったの!!」
「……え、ちょっと待ってミサキ」
 引き止めるママの手を振りほどき、逃げるように家を出た。

 ああ、今日が登校日で本当に良かった。


第2章 (不)愉快な仲間たち
[1] [2] [3] [4] [5] [6]

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
パン吉・基地


♪また来てね〜♪

このサイトを登録 by BlogPeople
My Yahoo!に追加

♪上がってるかな♪


♪行ってみてね〜♪
コワくないオカルト小説、お笑い芸人と音楽の話もアリ。
お役立ちリンク


【お役立ちリンク】

ホームページ登録ADDLIST

登録できるホームページのリンク集です!

ホームページ制作ホームページ製作・WEB制作

WEBアプリケーション開発・ホームページ制作のインプロス

比較選択、ココをクリック!
節約賢者は賢く比較選択!知ってる人だけ得をして、知らない人は損をする。

音楽配信
音楽配信.jpで素敵なミュージックライフを!

相互リンクドクター!アクセスアップ

リンク集



相互リンクDEアクセスアップ!




お中元ギフト・人気商品満載!送料無料






【BlogPeopleリンク】



★『空想オハナシ団』新着TB★
















テクノラティプロフィール


RSS配信新着情報
共通テーマ一覧/小説