2017年07月29日

下北沢X物語(3329)〜会報第133号:北沢川文化遺産保存の会〜

北沢川文化遺産保存の会   第3回研究大会 余白小
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「北沢川文化遺産保存の会」会報 第133号  
           2017年8月1日発行(毎月1回発行)
    北沢川文化遺産保存の会  会長 長井 邦雄(信濃屋)
               事務局:世田谷「邪宗門」(木曜定休) 
       155-0033世田谷区代田1-31-1 03-3410-7858
                 会報編集・発行人   きむらけん
          東京荏原都市物語資料館:http://blog.livedoor.jp/rail777/
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1、また再び戦争の夏、戦後72年が巡ってくる

 太平洋戦争とは何だったのか?マスコミ取材で突きつけられた課題だ。国威を掛けた戦いに何がどうあろうと国民はしゃにむに走らされた、空元気を出して、最後には徒手空拳で戦った。敗戦が明白なのに戦争は終わらず、しまいには原子爆弾を投下されてやっと降参した。軍部は、敗走を転身、瓦解を玉砕、特攻戦死を散華と言葉で飾り立てた。精神力で戦えば活路は開けると叱咤された。最後は、竹槍で戦え、それでもだめなら敵の金玉を蹴り上げて倒せ号令を掛けた。その間、多くの犠牲者が出た、多くが無念の死を強いられた。犬死にさせられた無謀な戦いだった。

 原爆投下が戦争を終結させたとアメリカ人はこれを評価している。戦争末期では全国の諸都市はB29による爆撃で焦土と化していた。敗戦は明瞭だった。が、軍部は最後まで徹底抗戦を唱えた、そして負け方にもこだわった、「国体護持」である。軍部は国民のことは考えず、メンツにこだわった。五月二十四日、二十五日、B29の爆撃によって東京は廃墟となった。攻撃リストから外された。完璧に負けたのだ。が、戦争は終わらない。とうとう八月六日に広島に、九日には長崎に原子爆弾が投下された。甚大な被害を受けてようやく敗戦が決定する。覚えておかなくてはいけないことは、「戦争が始まったらなかなか終わらないことだ」、人は戦を終えられない生き物なのだ。多くの経験者から戦争を聞いてきた、誰もが口をそろえて言った「戦争はするな!」だ。

 戦争をしないようにするために何でもする覚悟が必要だ。しかし、今の社会、何でもするよりも対峙する方に傾いている。「敵がミサイルを撃ってくるから気をつけよ」と。敵のミサイル実験の映像ばかりが流れてくる。「国民への脅し」だ。解決法を考えたであろうか?「日本も危ないから軍備を増強しよう」、果ては「核兵器を持とう」とまで言い始める。核の核心は、人類の死滅だ、こちらがボタンを押せば、向こうも押す、敵味方なく人は死滅する。

 毎年、「戦争経験を聴く会、語る会」を開いている。来年は十一回目となる。すでに算段をしていて協力してくださる方に打診をしている。概ね了解されていることからまず、タイトルを「歌と証言とで伝えるヒロシマ」とした。
 まず、国内外で被爆証言活動をされている村上啓子さん。(1937年生まれ)が健康が許せば講演してもよいとの朗報を得た。また合唱団体「すみれ会」代表の鈴木勢以子さんからは歌の合唱で協力をするとの嬉しい返事を得ている。やはり大事なことは戦争を語り継いでいくことだ。

 今年春、「僕のお嫁さんになってね−特攻隊と鉛筆部隊の子どもたち」という絵本が出版された。鉛筆部隊は当会の活動によって発掘された戦時秘話である。この話が現地長野で評判になっている。地元テレビ局が「子どもに戦争を伝える」という視点でこれを軸にニュース特集を計画しているということの連絡があった。

 また当会の活動とは直接関係しないが、会報編者は戦争伝承の物語を書いている。「広島にチンチン電車の鐘が鳴る」は自著だが、姫路の劇団・プロデュースFでは、今夏の夏の朗読劇公演で当作品を劇の台本として使い、ヒロシマを伝えたいとのこと。
 我々の活動が、全国に輪となって広がり初めている。
 「何があっても戦争はするな!」、というのが戦争経験者の重ね重ねの戒めだ。

2、「帝音」と中原商店街
久保 絵里麻(えりあ)


 戦前、中原駅前にあった音楽学校、通称「帝音」の歴史は短いが波瀾に満ちている。創立早々、校長・教員・学生らが総退学して帝音を去るという悲劇的な幕開けのあと、空っぽの帝音校舎に他校から自主退学してきた血気盛んな音楽学生たちが帝音を再起へと導いた。その後の帝音は自由な校風と画期的な制度を敷いた異色の音楽学校として世間の注目を集めた。
 その頃の雑誌に載った“帝音生”による一節。
「……[帝音が]今やあらゆる方面から注目される所となり何んだかきまりが悪い様な氣がしてなりません。然かし、毎日學校へ行つて全校生徒の新興の意氣盛んなる空氣に浸ってゐると〔…略…〕一日も学校へ行かないではゐられない様な氣持になつてしまいました。この様な気持は全生徒の誰れでもが持つてゐる気持ちなのですから此の学校の賑やかな事、面白い事〔…略…〕從つて世田谷中原通りは常に帝都[音]生徒達のおかげで、今迄淋しい郊外の何等取り立てゝ云ふべき處ではなかったのが近頃急に活気を呈して、賑やかな街になって来ました。」[補足:筆者]

寄稿したのは帝音でチェロを専攻していた中澤良雄という学生。学校誌に創作小説を披露した筆が立つ人物だが、帝音が中原商店街の賑わいに一役買っていたことは彼の創作(フィクション)ではなかろう。
 例えば、帝音の教育・教授法の先生で、校長にも就任した田村虎蔵先生は言わずと知れた唱歌《金太郎》の作曲家であり視学官。彼は、「奥様もだいぶお困りのようでした」といわれるほどの撞球(ビリヤード)好きだった。それを知ってか知らずか、中原商店街には“ビリヤードカフェー”があった。田村先生だって此処で腕を磨いていたに違いない。
それから“帝音生”の愉しみといえばアミダくじ。敗者は全員にアイスをおごる、なんていう遊びをしていた。定番はスマックアイスクリーム。作曲家の大木正夫先生も「すまぬね」と学生にまぎれて“スマック”をほおばっていたとか。

さて、アイスが溶けない距離にあった帝音御用達のお店はどこか?情報求む。
(芸術学博士久保絵里麻さんは、八月五日の「帝音の歴史」を講義してくださる方だ。今回特別に地元ネタの帝音話を書いて頂いた。当日は、代田の帝音について情報をお持ちの方はぜひ参加されて情報を公開してください。お願いします)
 
3,第3回北沢川文化遺産保存の会研究大会
研究会テーマ 

世田谷代田の音楽学校の歴史を知る

 開催日時 2017年8月5日(土)1時30分より
 場所   北沢タウンホール12階 スカイサロン 
会費 500円 申し込み不要 先着順70名
 主催 北沢川文化遺産保存の会 後援 世田谷区教育委員会
協力 三土代会・代田自治会・代田北町会・世田谷ワイズメンズクラブ


昭和2年(1927)4月、小田急線が開通した。この年の暮れ、世田谷中原駅 (現世田谷代田駅) 北の大根畑だったところに二階建ての音楽学校が出現した。帝国音楽学校だ。開校したとたんピアノやバイオリンの楽器、そしてテノールやソプラノの歌声が響いてきた。大根畑に忽然と現れた近代に人々は文化的ショックを受けたに違いない。これが当地における芸術文化の始まりといえよう。
学校の名にある帝国とは、満州、樺太、朝鮮、台湾などを含めた旧領地を指し、実際にこれらの地域出身学生も数多くいた。戦争末期に廃校となるが、学校が一帯に与えた音楽文化には、大きなものがあると思われ戦争の前後を通じ、当地に音楽関係者が住んだり、歌劇団が創設されたりしたのもこの影響だろう。
講師の久保絵里麻氏は、当地の世田谷代田でもほとんど知られていないこの学校の史料を発掘し、これをテーマの一環とした研究で芸術学博士号を取得した、この学校の研究の第一人者だ。学校は世田谷代田の誇りといえる。ぜひおいでください。

第一部 講演「帝音」の歴史     13時30分〜15時30分
講師:久保 絵里麻 (芸術学博士)  
第二部 世田谷代田の音楽文化を語る  15時30分〜16時30分
   参加者による自由討議 司会:きむらけん
第三部 懇親会・納涼会(申込み必要)  17時30分〜21時20分
会費3.500円「帝国音楽学校弁当」飲物 付き
イベント プロマジシャン出演予定 作道 明氏 等
*恒例不用品オークション・一品おみやげ持参(強制ではない)
お弁当の手配があるので必ず申し込んでください。締め切り8月2日まで
申し込み先 米澤邦頼 090−3501−7278


4、都市物語を旅する会 

 私たちは、毎月、歩く会を実施しています。個々の土地を実際に歩き、その土地の文化を発見して楽しみながらぶらぶら歩いています。参加は自由です。 基本原則は、第三土曜日午後としています。第二週には、会員の希望によって特番を設けることがあります。

第131回 9月16日(土) 午後1時 田園都市線 駒沢大学駅改札前
 案内人 きむらけん (新企画)世田谷のダイダラボッチを歩く
コース:野沢旧五輪道路→鶴ヶ久保公園(駒沢ダイダラボッチ)→連合艦隊司令長官旧居→明大野球場跡→安藤輝三大尉旧居→中里色街跡→山田風太郎旧居→世田谷変電所跡→大村能章旧居跡→三好達治旧居跡→萩原朔太郎旧居跡→武満徹旧居跡→帝国音楽学校跡→代田のダイダラボッチ跡→下北沢駅 *9月1日の「せたがや広報」に募集掲載をします。が、会の方優先にしたいので早めに申し込んでください。


第132回 10月21日(土)午後1時 浅草雷門前
 (新企画)昭和・狭斜の巷を歩く(荷風、露伴、吉行の世界を歩く)
案内人 松山信洋さん
コース:浅草雷門→旧玉ノ井→露伴旧居跡→鳩の街→京島→曳舟
第133回 11月18日(土) 午後1時 三鷹駅改札前
 案内人 原敏彦さん (新企画)三鷹・武蔵野散策
コース:三鷹駅→禅林寺→玉川上水→井の頭公園→吉祥寺駅 関係する文人は、森鷗外・茉莉、太宰治、田中英光、国木田独歩、山本有三、北村西望、吉村昭等々
第134回 12月16日(土) 午後1時 京王線幡ヶ谷駅改札前
 案内人 渋谷川・水と緑の会 梶山公子さん  (新企画)渋谷川の跡を歩く
コース:幡ヶ谷駅→玉川上水・二字橋→宇田川水源の地(JICA・NITE)→旧徳川山脇の流れ→大山の池→底抜け田んぼ(小田急線南側)→西原児童遊園地→小田急沿線の小川跡→田中地蔵→山手通り下・流れの合流点→新富橋→初台川→代々木八幡と縄文古代住居→代々木八幡駅かつて「代々木九十九谷」と呼ばれた地域に渋谷川の支流である宇田川が流れていました。明治神宮の西側にあたる西原、大山町、元代々木などの地域です。そこには縄文時代の人々も住んでいました。上記のような宇田川の跡をたどって地域の歴史を感じ取る楽しいツアーにしたいと思います。是非ご参加ください。

◎申し込み方法、参加希望、費用について 参加費は各回とも550円(資料代保険代)
 参加申し込みについて(必ず五日前まで連絡してください。資料部数と関連します)
  電話の場合、 米澤邦頼 090−3501−7278
  メールの場合 きむらけん k-tetudo@m09.itscom.net FAX3718-6498

編集後記
▲*訂正とお詫び*『下北沢文士町文化地図』第7版の「帝音」年表に誤りがありました。右記のとおり訂正し、謹んでお詫び申し上げます。誤:1939.6→正:1939.2
▲会員は、会費をよろしくお願いします。邪宗門で受け付けています。銀行振り込みもできます。芝信用金庫代沢支店「北沢川文化遺産保存の会」代表、作道明。店番号22。口座番号9985506です。振り込み人の名前を忘れないように。
▲当、メール会報は会友に配信していますが、迷惑な場合連絡を。配信先から削除します。
▲原稿募集。原稿用紙二三枚。身の回りの文化探訪で発見したことなど。
◎当会への連絡、問い合わせ、また会報のメール無料配信は編集、発行者のきむらけんへk-tetudo@m09.itscom.net「北沢川文化遺産保存の会」は年会費1200円、入会金なし。会員へは会報を郵送している。事務局の世田谷「邪宗門」で常時入会を受け付けている。


rail777 at 20:00│Comments(1)││学術&芸術 | 都市文化

この記事へのコメント

1. Posted by きむらたかし@三田用水   2017年07月30日 15:48
[アイスが溶けない距離にあった帝音御用達のお店]

ビリヤードのほぼ真向かいにあった「興真牛乳店」の可能性が高そうです。

くわしくは、地図を引用する都合上、掲示板
http://kimuraken.bbs.fc2.com/
の方で。

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