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ヴィヴァルディ  マニフィカト ト短調 RV.610

ミシェル・コルボ 指揮
ローザンヌ声楽アンサンブル
ローザンヌ器楽アンサンブル
ローザンヌ室内管弦楽団

ジェニファー・スミスウォリ・ステンブフリ(S)
ヴレーナ・シュバイツァー(A)
ジャン・ピエール・モレール(T)

(1975~1978年録音 WARNER・ERATO)

 何年か前にイタリアの企業グループ(自動車メーカーとして有名)「FIAT」の会長が亡くなった時、日本の新聞記事があまりに小さいスペースしか割いていなかったと在日イタリア人が驚き、気を悪くしていたことがありました。時々市中で見かけるプントやパンダといった小型車のイメージとは裏腹にイタリアでは巨大な存在感だということです。その「フィアット・FIAT(頭文字を並べたものらしい)」という文字と、ラテン語の「 fiat 」という語が同じで、ラテン語の方の意味は「=なれかし・・・仰せのごとくなりますように」です。これは、「ルカによる福音書第1章26節以下「マリアへのお告げ」に出てくる聖母マリアの言葉です。  今日8月22日も聖母マリアの記念日(カトリック教会)の一つ「天の元后聖マリア」にあたります。

 それにちなんで「レジナ・チェリ(天の元后)」といきたいところが、短い作品が多いので(比較的有名なのはモーツアルトの初期作品くらいか)、代わりにマニフィカトです。これは新約聖書のルカによる福音書第1章47-55節「マリアの賛歌」に基きます。モンテヴェルディやバッハの作曲でも有名です。ヴィヴァルディも何曲かマニフィカトを作曲していますが、たまたまコルボのヴィヴァルディ・宗教音楽集、廉価盤に含まれていたものです。

  輸入盤に日本語の台紙を付けただけの廉価仕様なので録音年月日、会場のデータも無く、解説も全然ありません(パッケージ写真が何故か盆栽である)。RV.610は、二人のソプラノとアルト、テノール、二重合唱、オーケストラと通奏低音のための作品で、以下のように九つにトラック分けされています。他のCDでは全11曲と表記されたものあり、良く分かりません。

①Magnificat anima mea Dominum (合唱)
②Et exsultavit  (S, A, T, 合唱)
③Et misericordia (合唱)
④Fecit potentiam (合唱)
⑤Deposuit potentes (合唱)
⑥Esurientes implevit bonis (ソプラノ二重唱)
⑦Suscepit Israel (合唱)
⑧Sicut locutus est (合唱)
⑨Gloria Patri (合唱)

120822b  歌詞のマリアの賛歌(ルカ福音書)は、聖母マリアがクリスマス以前にエリサベツ(洗礼者ヨハネの母)のもとを訪れた時の言葉です。何となくクリスマスの作品のように思いがちですが、歌詞の内容はなかなか厳しく、「心の思いの高ぶった人を追い散らし、権力ある者をその座から引きおろし、卑しい者を引き上げ~」といった革新的なものも含んでいます。そのせいか、RV.610「マニフィカト」の冒頭の合唱はまるでバッハのロ短調ミサ・キリエのような峻厳さを伴った響きです。以後曲調は変化していきますが、根底にはそうした一種の厳しさも流れています。それと通奏低音のチェンバロがすごく心地よく、喜ばしく快活な雰囲気を醸しています。バッハの受難曲の通奏低音でチェンバロが目立つと逆に騒々しく、不似合いとさえ感じられるのと対照的です。

 コルボはかつてモンテヴェルディ(1567-1643)の作品を演奏する時に一番親近感を覚えるという意味のことを言ったように、1960年代からモンテヴェルディを取り上げていました。ヴィヴァルディ(1678-1741年)の方はどれくらい取り上げていたか分かりません。しかし、宗教音楽集は元々CD4枚組だったようなので、かなりの曲を録音しています。

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