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続・今でもしぶとく聴いてます

モンテヴェルディ・倫理的、宗教的な森

16 4月

モンテヴェルディ「洗礼者ヨハネの祝日の晩課」 レオンハルト

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モンテヴェルディ 「倫理的、宗教的な森」から

~洗礼者ヨハネの祝日のための晩課

グスタフ・レオンハルト 指揮
モンテヴェルディ・アンサンブル・アムステルダム
オランダ室内合唱

オコルス・ヴィエネンシス(フーベルト・ドップS.J指揮)

ミエケ・ヴァン・デル・スルイス(S)
エヴァリン・トゥブ(S)
ギロームト・ローランス(Ms)
ミシェル・チャンス(CT)
デヴィッド・ジェイムズ(CT)
ミシェル・テン・ホウテ・デ・ランゲ(T)
ジョン・エルヴィス(T)
ジェレ・ドライヤー(Br)
ハリー・ヴァン・デル・カンプ(Bs)

(1987年12月8-11日,1988年3月19日 ユトレヒト,オランダ古楽フェスティヴァル、ライヴ録音 旧フィリップス)

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 新聞の社会面の下隅に桜、紅葉の見頃、開花状況が載っていて、昨夜御室仁和寺を確認するとはやくも「散り始め」になっていました。そこの桜は背が低く開花時期がソメイヨシノよりも遅いのが特徴なので、シーズンが終わる頃になってやっぱり桜を観に行っておこうと思った時は手頃です。今日の昼ごろにトイレ休憩をかねて仁和寺によったところ、駐車場が満車で入場待ちに数台が並んでいました。5、6分待って駐車でき、中に入ると平日にもかかわらずかなりのにぎわいでした。あちこちで中国語らしき声が聞こえてきて、数の上では日本語話者を上まわっていました。花は大分散って樹の下の芝生に積もるように残っているのがきれいでした(もう少しすればきたなくなる)。それを撮影しようと一眼レフをかまえている人もいました。

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 このCDは国内盤の中古で見つけたもので、このジャンルには特にうれしい日本語解説付きです。モンテヴェルディが出版した作品集の中には「洗礼者ヨハネの祝日のための晩課」というものはなく、モンテヴェルディのヴェネチア時代の作品から構成したアルバムだろうというのは察しが付きますが、その根拠、趣旨というのが興味深いものでした。作曲家として有名になるコンスタンティン・ホイヘンス(1596-1687年)が、ネーデルランド共和国の外交使節団の一員として1620年にヴェネチア共和国を訪問した時の日記にモンテヴェルディの音楽について言及している箇所がありました。1620年6月24日、「洗礼者ヨハネの祝日」の晩課に参列した際、サン・マルコ大聖堂の楽長であるモンテヴェルディの作品を聴き(作曲者の指揮だった)、それが生涯で聴いたことがないほど見事だったと記しています(日記の教会名が不正確であるとしても、サン・マルコ教会以外から依頼された未知のモンテヴェルディ作品の存在が考えられる点で画期的とされている)。

 そのホイヘンスが晩課において聴いた楽曲を忠実に再現することはできないとしながら、このCDではモンテヴェルディの「倫理的、宗教的な森」に含まれる楽曲を中心に、他のヴェネチアの作曲家の器楽曲、グレゴリオ聖歌を加えて下記のように構成しています。モンテヴェルディの曲数が少ないですが演奏時間はそれぞれ長くなっています。

①トッカータ(ガブリエリ)
②詩篇・レスポンソリウム:神よ、わが助けに―主よ、われを助けに(Gre)
③詩篇109へのアンティフォナ:ザカリアの妻エリザベトは (Gre)
④詩篇109:主は、わが主に言いたまいぬ(モンテヴェルディ
⑤モテトゥス:これはわが親愛なる先行者(グランディ)
⑥詩篇110へのアンティフォナ:彼らはその子の父に(Gre)
⑦詩篇110:主よ、われらは心をあげて(モンテヴェルディ
⑧トッカータ(ガブリエリ)
⑨詩篇111へのアンティフォナ:その名はヨハネと呼ばれん(Gre)
⑩詩篇111:主を恐るる者は幸いなり(モンテヴェルディ
⑪ソナタ・コンチェルタータ第5番ハ長調 (カステルロ)
⑫詩篇112へのアンティフォナ:女より生まれし者のうち(Gre)
⑬詩篇112:しもべらよ、主をたたえよ (モンテヴェルディ
⑭ソナタ・コンチェルタータ第9番ハ長調 (カステルロ)
⑮詩篇116へのアンティフォナ:おさな子よ、汝はいと高き者の予言者と呼ばれん(Gre)
⑯詩篇116:すべての国々よ、主をたたえよ(モンテヴェルディ
⑰ディアローグ:天使ガブリエルが天より降り(バッツィーノ)
⑱カピトゥルム:島々よ、聴け (Gre)
⑲イムヌス:われら、御身の驚くべき行ないを (モンテヴェルディ
⑳詩篇・レスポンソリウム:その子は主のみ前に―その手が主のみ手とともに(Gre)
㉑マニフィカトへのアンティフォナ:われらのために生まれしこの子は (Gre)
㉒マニフィカト(モンテヴェルディ)
㉓モテトゥス:その聖所にて主をたたえよ(
モンテヴェルディ
㉔オラツィオ(主よ汝とともにいたもう)及び、ベネディカムス (Gre)

*Gre-グレゴリオ聖歌

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 冒頭はオルガン独奏で開始されていかにも晩課という雰囲気です。1610年出版の聖母晩課が華々しいファンファーレで始まるのがむしろ異例といった感じです(二作品だけで言うのもなんだけれど)。演奏時間が約12分のマニフィカトでは、第二合唱の二つの声部、アルト、バッススが欠損しているのをレオンハルトが復元したとあり、念入りに再現された録音のようです。解説(フリッツ・ノスケ、今谷和徳 訳)にはヴェネチア共和国の特徴や当時の「晩課」の音楽、ヴェネチアでの晩課の特徴の形成等が説明されていて、過去のモンテヴェルディの記事で書いたかもしれない疑問点にこたえていました。

 また、グレゴリオ聖歌の歌唱についても「ヴェネティアの人はアンティフォナをよもや等価リズムでは歌っていなかった」、「1573年にアントウエルペンで出版された『プランティン・アンティフォナーレ』にみられる聖歌のように、定量リズムによる版を使っている」となっています。しかし今にして思えばこういうCDが、よくぞ日本語解説付で出ていたものだ感心します。

9 4月

ザ・シックスティーンのモンテヴェルディ・倫理的、宗教的な森~第3集

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モンテヴェルディ 「倫理的、宗教的な森」
~第3集

ハリー・クリストファーズ 指揮
ザ・シックスティーン

① Laudate Dominum II
もろもろの国よ、主をほめたたえよ(第2)
② Iste confessor II
この主の証聖者は
(第2)
③ Magnificat II
マニフィカト
(第2)
④ Credidi propter quod locutus sum
われは信じたり

⑤ Pianto della Madonna 'Iam moriar, mi fili’
わたしが死んでいたなら、わたしの息子よ

(「アリアドネの嘆き」に基づく聖母アリアの涙)
⑥ Beatus vir II
主を畏るるものは幸いなり(第2)
⑦ E questa vita un lampo
人の命は稲妻のごとく
⑧ Confitebor tibi Domine II
わたしは主に感謝する(第2)
⑨ Memento, Domine, David
御心に留めて下さい、主よ、ダビデが
⑩ Laudate pueri II
しもべらよ、主を讃えよ(第2)
⑪ Salve Regina III
ようこそ天の女王(第3)
⑫ Magnificat I
マニフィカト(第1)

(2011年5月,11月 ロンドン,殉教者聖サイラス教会 録音  Coro)

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 英国を合唱王国と評されているのを時々見かけます(国内の都道府県でも合唱王国~県という評判はあるようだけれど)。それだけでなくイギリスからは、昨日のカウンター・テナー中興の祖、アルフレッド・デラーやデイヴィッド・マンロウのように現代古楽演奏の先駆者も輩出しています。クリストファーズとザ・シクスティーンは声楽・古楽のレパートリーを中心に多数のCDを出しています。最近はビクトリアやパレストリーナ、モンテヴェルディが目立ちますが、それらを含めて一番の本命はどの作曲家なのかと思います(それほど多く聴いていないのでよく分からない)。

 モンテヴェルディの作品集「倫理的、宗教的な森(1640年出版)」は、第一集第二集に続いてこの第三集で全曲を網羅したことになります。ただ、この作品集は全曲盤と称するCDでもそれぞれ収録している楽曲数が異なるので全容がよく分かりません。とりあえずザ・シックスティーンの録音は四声部のミサを一曲と数えればCD3枚で全34曲ということになります。ちなみにユングヘーネル盤は全37曲となっていて、その他は「倫理的、宗教的な森」以外の作品を加えているようです。

 ザ・シックスティーンによるモンテヴェルディの録音は、声楽だけでなく器楽奏者も加わって(第一集、二集と同様に)いて、声楽は20人(楽曲によって増減あり)、器楽はオルガンとハープを加えて10人という編成です。強弱、緩急のアクセントを特に強調せずに全体的に大らかな演奏です。第二集は四声部のミサ曲を中心に構成していましたが、第三集、第一集はどういう意図で選曲・配列したか特に明記されていません(聖ジュゼッペの祈りetc)。ミサとマニフィカト以外は詩篇歌が多く、それらを組み合わせると聖務日課・晩課になってきます。

 「倫理的、宗教的な森」はモンテヴェルディがヴェネチアのサン・マルコ教会の楽長に就任以降(1613年以後)の作品を集めて1640年に出版したものです。ちなみにハインリヒ・シュッツの二度目のヴェネチア留学がこの期間に重なります。1610年に「聖母マリアの夕べの祈り(それと六声部のミサ曲)」を出版するまでモンテヴェルディは、マントヴァの宮廷で楽長をしていたので教会音楽中心の作曲家ではなかったのに、いきなりヴェネチアの大教会の楽長に任命されたわけです。ヴェネチア共和国は1797年にナポレオンに降伏するまで存続し、ローマ教皇庁との距離を保ち独立心旺盛?だったので教会、典礼も独特だったかもしれません。もっとも倫理的、宗教的な森を聴いただけではそうしたことはよく分かりません。

 ところでトラック②には「この主の証聖者は(第2)」という楽曲が入っていますが、「証聖者」というのは現代では特に見かけない言葉です。殉教者ではない聖人、福者(聖人の手前、列福されてから列聖される)を証聖者と呼ぶらしく、近年高山右近を列福しようという運動が盛り上がっていて、右近がもし列福でもされれば証聖者に該当します。高山右近は大河ドラマやら劇画では色々な描かれ方をするものの、国内では扱いは地味で成功者、勝ち組という見方はされないようです。

2 5月

「倫理的、宗教的な森」より四声のミサ曲 ザ・シックスティーン

モンテヴェルディ 「倫理的、宗教的な森」・第2集より
四声の無伴奏ミサ曲

ハリー・クリストファーズ 指揮
ザ・シックスティーン

① Laudate Dominum omnes gentes III
もろもろの国よ、主をほめたたえよ(詩篇 第117篇)・第3
②  Confitebor tibi Domine I
わたしは主に感謝する(詩篇 第111篇)・第1
③ Jubilet tota civitas
おお盲し人よ
④ Jubilet tota civitas
すべての人よ、喜びの声をあげよ
-4声の無伴奏ミサ曲より
⑤「キリエ」
⑥「グローリア」

⑦ Deus tuorum militum II

神よ、あなたの兵士たちの・第2
-4声の無伴奏ミサ曲より
⑧「クレド」

⑨ Sanctorum meritis I

殉教者たちが得た名高き喜びを・第1
-4声の無伴奏ミサ曲より
⑩「サンクトゥス」
⑪「ベネディクトゥス」
⑫「アニュス・デイ」

⑬ Crucifixus
十字架にかけられ
⑭ Laudate Dominum in sanctis eius
その聖所で神をほめたたえよ(詩篇 第150篇)
⑮ Et iterum venturus est
かくて再び来たもう
⑯ Ab aeterno ordinata sum
いにしえ、わたしは立てられた(箴言 第8章:23-31)
⑰ Dixit Dominus I
主は言われる(詩篇 第110篇)・第1

(2011年5月,11月 ロンドン 録音 CORO)

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 このCDはハリー・クリストファーズ指揮ザ・シックスティーンによる、モンテヴェルディの「倫理的、宗教的な森」第2集(3集で完結らしい)で、今回は四声部のミサ曲を中心に取り上げました。収録されている楽曲・トラック番号一覧は上記のとおりです。実際に歌唱ミサが行われた場合を念頭に置いての構成ではなさそうですが、ミサの各曲の間に別の楽曲を挟んでいるのが特徴的です。日本語帯等に「無伴奏の」ミサと表記されているのに実際の演奏は、オルガンが加わっています。1610年の作品集・六声部のミサもそうですが、核心的な作曲技法を駆使した「聖母マリアの夕べの祈り」に対して、ミサ曲の方は古い手法に拠るとされています。しかし特にこの四声の無伴奏ミサは、簡素ながら艶を感じさせる華やかな曲で、ミサ曲でなくても通用しそうです。演奏時間は20分強で、CD全体が78分程なので四分の一程度の時間です。

 モンテヴェルディが作曲した通作ミサ曲(キリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、アニュス・デイ)は三曲が現存確認されいます。昨日の1610年に聖母晩課と併せて出版された六声部のミサ「イン・イッロ・テンポレ」と、作曲者の没後、1650年に出版された「ミサ、詩編とその他の曲集」に含まれる四声部のミサ曲、そして1640年に出版された「“ Selva Morale e Spirituale ”(倫理的・宗教的な森 )」に入っている今回の無伴奏ミサ曲の三つです。

130502b  ところで「倫理的・宗教的な森」の全曲盤と銘打ったCDは複数出ていますが、収録曲数や順序が様々でした。また、国内盤がほとんど無かったことと、この作品の詳細が一般向けの書籍に載っていることが稀だったので、その抽象的なタイトルとも相まって作品の内容がよく分かりませんでした。かつてザ・シックスティーンの「倫理的・宗教的な森」・第1集の記事に頂いたコメントと、今回の収録曲一覧やユングヘーネル盤の収録曲を併せて見ていると、内容、曲数が鮮明になってきました。

 “ Selva Morale e Spirituale ”(倫理的・宗教的な森)は全部で40曲あり、その内3曲は同じ曲(歌詞違いか)なので、実質は37曲になります。その中の1曲が今回の「四声の無伴奏ミサ曲」です。ちなみに、ユングヘーネルの全曲盤は全37曲を収録しています。

  「倫理的・宗教的な森」は、モンテヴェルディがベネチアの聖マルコ教会の楽長に就任後に作られた教会音楽を集めたものです。だから、必然的にそこで演奏するために作曲した曲なので、教皇庁との距離、力関係が独特なヴェネチア共和国の環境も影響しているはずです。それにしては、ミサ曲は簡素に(無伴奏)仕上げています。

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3 5月

倫理的、宗教的な森 ザ・シックスティーン VOL1

モンテヴェルディ 「倫理的、宗教的な森」 第1集

ハリー・クリストファーズ 指揮
ザ・シックスティーン

① 主を畏るる者は幸いなり1
“ Beatus vir I ”
② グローリア
“ Gloria in excelsis Deo ”
③ われ主に感謝せん
“ Confitebor tibi Domine III ”
④ わが嘆息を聞く汝ら
  “ Voi ch'ascoltate in rime sparse il suono  ”
⑤ 僕らよ、主を讃えよ1
“ Laudate pueri Dominum I ”
⑥ めでたし、女王
  “ Salve Regina ”
⑦ 私に恋を望むその人は
  “ Chi vol che m'innamori ”
⑧ 神よ、真心をつくして
“ Deus tuorum militum ”
⑨ もろもろの国よ、主を讃めたたえよ1
  “ Laudate Dominum I ”
⑩ 主は言われた2
  “ Dixit Dominus II ”

(2010年7月 ロンドン,セント・ジョンズ・スミス・スクエア 録音 CORO)

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   昨夜に続いてモンテヴェルディのCDです。ハリー・クリストファーズとザ・シックスティーンによる「倫理的、宗教的な森」の第1集で、何集・何枚で完結なのか定かではありませんが現在第2集まで(CD2枚)出ています。モンテヴェルディのこの作品集は、一昨年にガッリード盤を記事投稿していました。ガッリード盤はCD4枚組でしたが、カヴィーナとラ・ヴェネクシアーナ盤は3枚、コルボ盤は6枚組等一様ではありません。

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 「倫理的、宗教的な森」という名前もピンと来ない言葉で、そもそも例えばバッハのロ短調ミサのような有機的に結合して一つの作品を構成するというより、モンテヴェルディの後期から晩年の教会音楽を集めたというものです。このCDのダウンロード・サイト(ナクソス)には「聖ジュゼッペの祈り(抜粋)」という副題が付いていました。また、他の全曲盤CDでは「聖ガブリエーレ・アルカンジェロの祈り聖ジュゼッペの祈りミサ・ソレムニス」と三つに区分しています。抜粋盤に「洗礼者聖ヨハネのための荘厳ミサ」というタイトルが付されているものもありました。このCDは聖ジュゼッペ、つまり聖ヨセフの祈りということなので、「聖ヨセフの祝日」のための聖務日課用だろうと推測できます。

120502b  このCDに入っている曲はラテン語歌詞の詩篇歌等で、聖母晩課に使われている歌詞と重なります。音楽自体はよりおとなしく、祈りの歌らしく聴こえます。ただ、違う歌詞を付けて世俗歌曲に転用されても十分活きるのではないかと思われ、その点はバッハと共通します。また、楽曲がよりバロック的、和声的な方に移行しているようで、聖母晩課の曲よりも陰影が濃いような気がします。なお、ザ・シックスティーンはこのCDでは声楽8名(ソプラノ2、テノール3、バリトン1、バス2)、器楽6名(ヴァイオリン2、チェロ1、ハープ1、キタローネ1、オルガン・ハープシコード1)という編成で演奏しています。声楽が通常の半数にしているのが注目です。

 モンテヴェルディ(1567年 - 1643年)は、1613年からヴェネツィア共和国のサン・マルコ寺院の楽長に就任し、1632年には司祭・叙階を受けています。「倫理的、宗教的な森」は1640年に出版されているのでかなり長い期間に作られた曲を含んでいるようです。

 現在「倫理的、宗教的な森」の完全な国内盤仕様のCDは無かったはずですが、こういうややこしい作品こそ詳しい解説のある日本盤が欲しいところです。かなり前に、コルボのLPが分厚い箱に入って出ていた記憶があり、高価なので手が出ませんでした。現在復刻されているコルボのCDは6枚組なので、ちょっと他の全曲盤と差が大きく、ますますこの作品の内容について謎が深まります。

 モーツアルトやヴィヴァルディの曲が胎教に良いとか言われますが、これは極めて個人的な嗜好かもしれませんがモンテヴェルディの曲はかなり癒し効果が感じられ、うっとおしい気分から引き揚げてくれる効用を感じます。

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28 9月

モンテヴェルディ 倫理的、宗教的な森 ガブリエル・ガッリード

 夜7時にFMラジオ(NHK)をつけるとちょうどニュースなので、時々聴きますが最近は尖閣諸島の問題ばかりです。90年代に保守政党の選挙候補者の集会に行った時、当時現役だった野中氏が中国の様子を話の枕にしていて、自転車だらけだったのがオートバイ、車が見られるようになってかつての日本を見ているようであり、「いつか来た道」と言いました。沸騰する薬缶のようなナショナリズムの高揚も、いつか来た道に見えます。ただ、悠長なことを言っていられない現状です。塩野七生の新書本で中国について、この大国は今後も近隣に迷惑を撒き散らして行く(衰えないで)と思うと書かれてあったのが思い出されます。日本も塩野氏の著作のヴェネチア共和国のように大国を向こうをに回して生き残る道を探さなければならない厳しい時代に入っています。というところで、今回はヴェネチア共和国の聖マルコ教会の楽長に招かれ、そこで生涯を終えたモンテヴェルディの作品です。

クラウディオ=モンテヴェルディ 「倫理的・宗教的な森」

ガブリエル・ガッリード 指揮 エリマ・アンサンブル

アディリアーナ・フェルナンデス、フィリップ・ヤロフスキ、ファビアン・ショフリン、ステファン・ファン・ダイク、スィリル・オーヴィティ、ベルトラン・シュヴェル、ステファン・アンボーデン、セルジオ・フォレスティ、ローザ・ドミンゲス、クリストフ・カレール・プティ・シャントゥール・ドゥ・サン=マルク

(2003年10月、2004年5,6,10月 仏録音 Ambronay )

100928a  モンテヴェルディがヴェネチアの聖マルコ教会楽長に就任して後に作曲された教会音楽を集めて1640年に出版されたのが、「倫理的・宗教的な森」です。CDパッケージには、” SELVA MORARE E SPIRITUARE ”と書かれてあり、これが原題のようです。内容は、ミサ曲、モテット、詩篇、サルヴェ・レジナ等が集められています。このCDは4枚組ですが過去にはもっと多い枚数のCDもあって正式に全部で何曲かは分かりません。全40曲と書いてあるものもありました。この曲集は全体で一つのテーマで統一されているのではなく、したがってバッハのクリス・オラトリオのような曲とも異なり、作曲年代でまとめられているだけの曲集です。それでも1567年から1643年までの生涯であったモンテヴェルディの後半、晩年の作品が集められているので、重要な作品集と言えます。

 この曲の国内盤LP、CDは1967年録音のミシェル・コルボによるものが有名でしたが、枚数が多いことと、作品の中身を把握していなくて、マドリガーレの残りくらいに勘違いして全くノーマークでした。現在では廃盤で、他の演奏者によるものはガッリード盤も含め輸入盤ばかりなので詳しい解説が読めず残念です。こういう場合は国内盤が有りがたいものですが、たいていは発売されてカタログに生きている期間が短いので要注意です。音楽史を扱った本の中ではモンテヴェルディはオペラのジャンルで重要人物という書かれ方だったので、なお更放置していました。後に聴いてみてかなり印象深い曲が含まれていて、惜しいことをしたと思いました。

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 ガッリード7月紹介のモンテヴェルディ・聖母晩課でも独自の曲構成をとっていましたが、今回も雑多な曲集に含まれる作品をガッリードが独自に分類した点が特徴です。具体的には曲集を4つに分けて演奏していて、それぞれ1枚のCDに収まっています。HMVのサイトの解説によると、第1部は「宗教的な典礼」と題して、4声の無伴奏ミサ曲、協奏的ミサ曲などを、第2部は「晩課」と分類し、“主はわが主に言われた”と“主を恐れるものは幸いなり”、そして“マニフィカト”を集めていて、第3部は曲集の中からガッリード自身がクリスティアン・マルティルスに捧げるとして“マルティーリの晩課”を新たに編みなおし、第4部は個々人と神との関係に焦点をあて、聖母マリアの嘆きなどが納められています。その中では第3部がこの録音の最も革新的な部分と書かれています。なお、このCDのレーベルは毎年古楽フェスティバルが開かれるフランスのアンブロネーにちなんでいます。古楽フェスティバルは、アンブロネーの1000年の歴史を持つ古い石造りの修道院の建物で開催されていますが、今回のCDはフランスのブール・カン・ブレスの聖堂で録音されているようです。

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  CDの解説文では、マルティーリの晩課が革新的と書いてありましたが、聴いて驚かされるのが1枚目・第1部の協奏的ミサで、美しいものの典礼の枠組みを超える作品のように思えます。キリエはさすがに静かに始まりますが、グロリアの冒頭はたたみ掛けるようにグロリアの合唱が連呼されます。同じイタリアの作曲家でも少し古い、清澄で静謐なパレストリーナのミサ曲とはかなり異なる響きです。協奏的ミサという書き方をしましたが、他の演奏者のCDではそういう分け方ではなく、声部の数が異なるキリエを2曲続け、他の曲も同様にして、ミサ曲のパーツ毎にまとめているというものもあります。バロックから古典派の作品が見えてくるような勢いです。モンテヴェルディの作品はルネサンス末期からバロック初期にかけての時期にあたり、晩年にはヴェネチアを訪れたドイツのハインリヒ・シュッツ(モンテヴェルディより18歳若い)にも影響を与えています。

 モンテヴェルディの作品は、何となく聖母晩課だけを頻繁に聴いていて「晩課らしい」という演奏に注意を払ってきましたが、それ以前に「モンテヴェルディらしい」演奏というのはどういうものか、今回のガッリード盤・倫理的・宗教的な森を聴いて考えさせられました。それが何かとか分かりませんが、よく~の音楽は繊細とか、壊れやすいとか評されて演奏家、演奏の適否が極端に分かれるという論じ方をされる場合があります。モンテヴェルディはどうなのかと思いました。

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