raimund

続・今でもしぶとく聴いてます

グレゴリオ聖歌・聖グレゴリオの家

12 8月

グレゴリオ聖歌のレクイエム 聖グレゴリオの家聖歌隊

ac64f13b.jpg

グレゴリオ聖歌  レクイエム(死者のための典礼)

ゴデハルト・ヨッピヒ師 指揮
聖グレゴリオの家聖歌隊

高田裕和 神父

(2002年2月5,6日 東京,聖グレゴリオの家 録音 fontec)

 今日も猛暑だと思っていると、夕方六時過ぎに墓地へ盆前の掃除の仕上げに行った時、吹いて来る微風(容易に線香に火が付けられるくらい)が思いがけなく涼しくて内心驚きました。夜になると庭でコオロギの鳴き声がきこえてきて、これは平年よりも早いはずです。ということは秋の訪れが早いかもしれないと、鳴き声を聞きながら期待を込めて想像していました。日中は京都市内では単車に乗った僧侶を見かけて、いよいよ明日から盆の本番です。 

 このCDは東京にある「聖グレゴリオの家」の聖歌隊によるグレゴリオ聖歌のシリーズの一枚です。フォンテック・レーベルから出ていたこのシリーズは待降節と聖母マリアのミサ 降誕・クリスマス四旬節・聖金曜復活徹夜祭と復活の主日、レクイエムと五種類があるようです。典礼暦を考えれば聖母被昇天とか聖母に関わる祝日は沢山あるので、それらをカバーするためにも録音を継続して欲しいと思います。輸入・廉価箱が多い昨今、日本語による解説も付いているので貴重なCDです。

f8da213c.jpg
 グレゴリオ聖歌のレクイエムなら、後世の作品に引用される「怒りの日」を含む続唱・セクエンツィアが有名です。このCDは葬儀ミサの聖歌だけでなく、臨終の床にある者の枕頭でこれから召されんとする者に話しかけ、祈った歌(下記の01-03)と、ミサが終わった後に遺体への最後の祝福を行う時の聖歌(下記16)、聖堂から埋葬する墓地へ遺体を運ぶ行列の聖歌(下記17以下)を併せて収録しています。一番最後には「シメオンの賛歌(ルカ2.29-32)」も歌われますが、この賛歌の歌詞はハインリヒ・シュッツの「音楽による葬送」でも用いられます。

01.アンティフォナと詩編・129篇   
02.レスポンゾリウム   
03.アンティフォナと詩編・22篇 
04.入祭唱   
05.キリエ   
06.第一朗読・知恵の書3.1-5,9   
07.昇階唱   
08.第二朗読・テサロニケ4.13-14,18   
09.詠唱   
10.続唱  
11.福音書・ヨハネ11.21-27   
12.奉納唱  
13.叙唱とサンクトゥス   
14.アニュス・デイ   
15.聖体拝領唱  
16.レスポンゾリウム I   
17.アンティフォナ 天国へ   
18.レスポンゾリウム II   
19.アンティフォナ 天国へ   
20.レスポンゾリウム III   
21.アンティフォナ 天国へ   
22.アンティフォナとシメオンの歌

 上記の曲目・トラック分けをながめると、ミサそのものを再現した実況録音ではないものの、歌唱ミサの死者ミサの音楽を、その前後も含めて網羅しています。福音書はどの部分なのかと思えば「ラザロの復活の前半部分」です。歌詞等の理解を抜きにしても、レスポンゾリウム16、18、20(同じ聖歌の反復)のメロディーは非常に魅力的です。

 聖グレゴリオの家聖歌隊は混声合唱が基本のようで、ここでは男声13人、女声19人という編成で、福音書朗読や式文は神父が受け持ち、それ以外の独唱は合唱団の中から選抜しています。現代日本の各教区で通常行われるミサでは、グレゴリオ聖歌自体歌われる頻度がかなり低く、ラテン語によるミサはごく限られたところでしか行われないという環境です。だから、聖グレゴリオの家聖歌隊のこうした録音は特別なものです(興行目的の団体という意味でのプロでもない)。

30 3月

グレゴリオ聖歌~復活徹夜祭と復活主日のミサ 聖グレゴリオの家

c45a9626.jpg
IN RESURRECTIONE DOMINI
~GREGORIANUS CANTUS

グレゴリオ聖歌・主の復活
~ 復活徹夜祭と復活主日のミサ ~

ゴーデハルト・ヨッピヒ 指揮
聖グレゴリオの家聖歌隊

(1996年5月3,4日 聖グレゴリオの家 録音 fontec)

 このCDは日本のfontec レーベルから何種類か出たいた聖グレゴリオの家聖歌隊による録音集の一つで、復活徹夜祭と翌朝の主日ミサの聖歌を集めた、意外に珍しいアルバムです。というのは外国で録音されたグレゴリオ聖歌のアルバムの場合、復活節のミサ固有文等を集めていても、復活徹夜祭の行列「キリストの光」等は入ってない場合がほとんどです。それにこのアルバムは、復活の主日の固有文聖歌だけでなく、キリエ、グロリアや朗読まで含めてミサの次第が把握できるようになっています。ついでにトラック7.には鐘の音まで入っています。

42c19b15.jpg
 鐘の音は、「ゴーン」というお寺の梵鐘の方が馴染み深いので、今一つピンと来ないものがあります。上智大学のイグナチオ教会の復活徹夜祭に行った時、ミサの最中、グロリアのところで鐘楼の鐘が鳴らされて驚いたことがあります。ここの教会は普段の日曜もタガログ語、スペイン語、ポルトガル語のミサがあって各国の滞在者が集まってきます。前庭のところで故郷の料理を持ち寄って交換している姿も見られ、良い匂いがしていたこともありました。復活徹夜祭はイースター前日の土曜日夜から日付をまたいで行われ、洗礼式も同時に行われます。最近の日本は夜の七時前後から初めて早めに終わるところが多くなっています。なお、トラック1.の「キリストの光」は、歌詞を日本語に替えただけのような酷似した楽曲が典礼聖歌に入っています。全く別のものを作るのは難しかったのかもしれません。

-復活徹夜祭-
1.行列 キリストの光/復活賛歌 
2.アレルヤ唱-恵み深い主に感謝せよ-主を賛美せよ 
3.叙唱 
4.サンクトゥス 感謝の賛歌 第1番 
5.アレルヤ唱-詩編 150番 
6.交唱 朝早く週のはじめに-ザカリアの賛歌 
-復活主日のミサ-

7.鐘
8.入祭唱 わたしは復活し 
9.キリエ 第1番 
10.グロリア 第1番 
11.昇階唱 今日こそ神が造られた日 
12.朗読 コロサイ人への手紙 (3、1-4) 
13.アレルヤ唱 アレルヤ、わたしたちの過越 
14.福音の朗読 マルコによる福音 (16、1-7) 
15.続唱 主の過越をたたえよう 
16.共同祈願 
17.奉納唱 地は震えおののいた 
18.主の祈り 
19.アニュスデイ 第1番 
20.拝領唱 わたしたちの過越 
21.閉祭のあいさつ 
22.交唱 天の元后、喜びたまえ

7df50cbe.jpg
 
収録されている曲は上記の通りで、これらを混声合唱で歌っています。ミサの中でも歌う聖歌隊の録音は男声だけが多く、女子修道会の女声だけという録音もありますが、混声の聖歌隊によるグレゴリオ聖歌の録音は珍しいものです。今回は女声15名、男声17名の総勢32名です。こういう編成は現代日本の、都心にあるカトリック教会の聖歌隊に近いものです。私のような半分以上口ぱく族からすれば、ひたすら感心するだけです。

聖グレゴリオの家聖歌隊のCD
クリスマスのミサ曲聖母マリアのミサ」:1990年
「待降節、主の公現」:1991年
「主の受難」:1994年
「主の復活」:1996年
「レクイエム/死者のための典礼」:2002年
「グレゴリオ聖歌‐二つのミサ」:2009年

 聖グレゴリオの家聖歌隊の録音はCDだけでなくカセットでも出ていたことがあり、上記以外にもあると思われます。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村
7 4月

Adoratio Sanctae Crucis ~ヨッピヒ、聖グレゴリオの家聖歌隊

2dbb452a.jpg
GREGORIANUS CANTUS:IN PASSIONE DOMINI

(グレゴリオ聖歌:「主の受難」)

Godehart Joppich 指揮 聖グレゴリオの家聖歌隊
(ゴーデハルト・ヨッピヒ師

(1994年10月22,23日 録音 fontec)

 昨日の聖木曜に引き続き、聖金曜日のグレゴリオ聖歌のCDです。演奏は日本の聖グレゴリオの家聖歌隊で、指揮指導はグレゴリオ聖歌研究、演奏の権威者であるゴーデハルト・ヨッピヒ師です。ヨッピヒ師は、1932年に旧ドイツ領・ブレスラウ生まれ(奇しくもクレンペラーと同郷)で、1970年から1989年までミュンスター・シュヴァルツァハのベネディクト会大修道院で首席カントルを務めています。この間の演奏はアルヒーフ・レーベルの「グレゴリオ聖歌~その伝統の地を訪ねて(3)」のLP(企画、1-6まであった)に収録されています。

 その修道院は、定量リズムのソレーム唱法ではなく、「中世のグレゴリオ聖歌は今日の音楽と同じように、ひとつひとつの音に長短の区別があって、一種の計量リズムで歌われていた」という計量リズムの立場をとっています。今回のCDには唱法の解説は載っていませんが、やはりサンピエール・ド・ソレム修道院聖歌隊とは違った響きです。

 日本のfontecから聖グレゴリオの家聖歌隊の演奏で、待降節、クリスマス、今回の四旬節・聖金曜日、イースター、レクイエムと典礼暦の節目になるグレゴリオ聖歌のCDを出しています。このCDは以下のような内容で、四旬節中の主日ミサの空気が分かることと、聖金曜日固有の「十字架の礼拝」を聴くことができるのが特徴です。特に後者は聖金曜日の典礼を象徴するものなので、初めて聴いたとしても実際の典礼の空気を感じることができるものです。ちなみに、聖金曜日の典礼では⑯第2朗読の後に「ヨハネによる福音書」の受難の記事の朗唱は「パッシオ・受難曲」になります。キリスト、ペトロ等登場人物毎に朗読者を割り当てる盛大なものです。バッハのヨハネ受難曲やシュッツのヨハネ受難曲の原型と言えます。教派は異なるものの元は同じ西方教会なので、聖金曜日や枝の主日の中の「パッシオ・受難曲」とバッハの受難曲を対照すると、作品の根底にあるものが見えてきます。

e7a920ca.jpg
四旬節第3主日(①-⑨)

①入祭唱:私はいつも主に目を注いでいます
②キリエ:
③昇階唱:立ち上がって下さい主よ
④詠唱:目を上げて私はあなたを仰ぎます
⑤奉納唱:主の命令はまっすぐで
叙唱
主の祈り
⑧アニュス・デイ
⑨拝領唱:

四旬節第4主日(⑩-⑭)
⑩入祭唱:神の民よ喜べ
⑪昇階唱:私の心は喜びにはずんだ
⑫詠唱:主により頼む人は
⑬奉納唱:主を賛美せよ
⑭拝領唱:しげく連なる町エルサレム

聖金曜日-主の受難
⑮昇階唱:キリストは人間の姿であらわれ
⑯第2朗読:ヘブライ人への手紙4.14-16,5.7-9

Adoratio Sanctae Crucis
(十字架の礼拝)

Ecce lignum Crucis
(見よ十字架の木)~十字架高揚時の招詞
Popule meus
(民よ私に答えよ)~とがめの交唱
Crucem tuam
(主の十字架を)~交唱
Crux fidelis
(気高い十字架の木)~十字架賛歌

 fontecレーベルからは、現行の日本語典礼聖歌のCDも複数出していて、グレゴリオ聖歌の「十字架の礼拝」に相当する部分も「新しいいのち」というアルバムに含まれます。それを聴くとグレゴリオ聖歌との違いを感じることができます。現代の日本のカトリック教会では、ほとんどが日本語の典礼聖歌、日本語によろ朗読、祈祷、式文でミサを行っているので、グレゴリオ聖歌を耳にする機会は稀です。ミサでは時々旅行や商用と思われる外国人の姿を見かけますが、かつては各国で共通の部分も少なからずあったミサの聖歌、式文が姿を消しているので、日本語が分からなければ全然分からないはずです。もっとも、内容は共通なので推測は可能ですが。

にほんブログ村 クラシックブログ 古楽・バロック音楽へ
にほんブログ村

8 9月

グレゴリオ聖歌・聖母マリアのミサ曲 聖グレゴリオの家聖歌隊

グレゴリオ聖歌 ミサ曲 第9番 「聖母マリアのミサ」

水嶋良雄 指揮 聖グレゴリオの家聖歌隊

(1990年8月26日 録音 fontec)

5c37dec9.jpg
 天気予報通り京都市の市街地は、日中の気温は30度を超えていました。しかし日陰に入ると先月とは比べ物にならない程涼しく感じられます。今日は京福電鉄北野線沿線方面へ出かける用があったので、白梅町で車を止めて(路上駐車でも無断駐車でもなく、コインパーキング利用)久しぶりに京福電車に乗ってみました。観光のオフ・シーズンなので1両の車内も空いていました。それでも、竜安寺の近くでは自転車の外国人観光客もちらほら見られました。

 9月8日はサンフランシスコ平和条約が署名された(1951年)日であるとともに、「聖マリアの誕生」という数ある聖母マリアの祝日の一つです。それにちなんで18組あるグレゴリオ聖歌のミサ曲から、(かつては)聖母マリアの祝日に使われた「クム・ユビロ(喜び)」のミサ、あるいは「聖母マリアのミサ」と呼ばれる第9番をピックアップしました。難しい理屈は置いてもこのミサ曲の旋律は非常に好き(特にサンクトゥスとアニュス・デイ)です。

d185c2ea.jpg
 このCDは過去に記事投稿していた、日本の「聖グレゴリオの家聖歌隊」の「グレゴリオ聖歌 クリスマスのミサ曲」というアルバムの末尾に収められています。「聖母マリアのミサ」は、聖母の祝日だけでなくクリスマスにも歌われたので、クリスマス・夜半のミサ、日中のミサの固有文を集めたアルバムに入れられているのでしょう。現代のカトリック教会では、先日の「モーツアルト没後175年追悼ミサ」のようなトリエント・ミサが行われることは稀ですが、グレゴリオ聖歌だけなら日本でも大きな祝日に歌われることがあります。しかし、この曲は一度もお目にかかったことはなく、クリスマスでも「8番・天使のミサ」が使われていました。

 グレゴリオ聖歌のミサ曲はキリエ、グロリア、サンクトゥス、アニュス・デイの4曲で一連になっています。解説によると、この「聖母マリアのミサ」も同様で、13世紀頃から徐々に一連として歌われだして15世紀頃に現代の組合せで一連になっています。またサンクトゥスの旋律は、レスピーギの交響詩「ローマの松」の中で高らかに奏でられて登場します。ついでにCD付属の解説文には、アニュス・デイの旋律はベートベンの第九の歓喜の歌の主題の源を感じさせると書いてありました。でも聴いていてもそれは分かりませんでした。

65a70a63.jpg
 歌っている「聖グレゴリオの家聖歌隊」は1986年に発足しました。ミサの中でグレゴリオ聖歌を歌うことを主な目的としています。混声合唱で、解説にはメンバーの氏名が載っています。女声15人、男声16名でこのCDに全員で参加しているのかは不詳です。過去の記事では選抜メンバーであるカペラ・グレゴリアーナ ファヴォリートの録音を取り上げていました。聖グレゴリオの家聖歌隊としての録音は、かつてはミュージック・カセットで出ていたものもあったようで(天使ミサ他)、現在流通しているCDは他に、「待降節・主の公現」、「主の受難」、「主の復活」、「グレゴリオ聖歌レクイエム」があります。その他に、AMラジオの「キリスト教超教派放送 FEBC」の中に週一回で、聖グレゴリオの家のコーナーが約20分あり聖歌隊の指導をしている橋本周子氏が担当しています。ラジオは雑音がかなり入る(韓国済州島から放送)のでHPからネット経由ならきれいに聞こえます。

 余談ながらこのFEBCという放送局は、元々はプロテスタントの保守的なアメリカの教派が中心になっていた宣教的な放送局でした。今でもプロテスタント教会の礼拝を録音して放送しているはずです(聴取していないので分からない)。80年代にはグレゴリオ聖歌が流れる等全く想像もできませんでした。

blogram投票ボタン

24 12月

クリスマス・夜半、夜明け、日中のミサ 聖グレゴリオの家

聖グレゴリオの家聖歌隊 水嶋良雄 指揮

グレゴリオ聖歌・クリスマス 主の降誕のミサ

(1988年8月15-16日、1990年8月26日 録音 フォンテック)

ae8f74fe.jpg
 8月に取り上げたカペラ・グレゴリアーナと同じく、東京都東久留米の「聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所」によるグレゴリオ聖歌のCDです。前回のCDは精鋭・少人数で録音していましたが、このCDでは男性16名、女声15名の編成(全員日本人)で演奏しています。「聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所」は、祈り、研究、教育を目的として1979年故ゲレオン・ゴルドマンOFM(フランシスコ会)を中心に設立され、聖歌隊は1981年に発足しています。第二ヴァチカン公会議以後、グレゴリオ聖歌は普段のミサでも耳にする機会は減っています。日本でもかつては聖歌を聴くために作曲家もミサに来たそうですが、現代ではそれも困難なのでこの聖歌隊、研究所は貴重な存在と言えます。

  フォンテックから、聖グレゴリオの家聖歌隊によるグレゴリオ聖歌のCDが出ていて、「主の受難」、「主の復活」、「待降節と主の公現」、「クリスマスのミサ曲」、「レクイエム」と季節毎の聖歌を集めています。

 このCDのクリスマスのミサの聖歌は以下の通りですが、併せて「聖母マリアのミサ曲:キリエ、グロリア、サンクトゥス、アニュスデイ」も収録されています。

8 8月

グレゴリオ聖歌日本代表 カペラ・グレゴリアーナ

61c860e4.jpg
 クラシック音楽をCD、レコード等で楽しんでいる人に共通するレパートリーというのがあるとすれば、ベートーベン、モーツアルト、ハイドン、ショパン、シューベルト、シューマン、ヴェルディ、プッチーニ、バッハとか、音楽室に肖像が掲げられる作曲家の何人かだろうと推測されます。近年はいきなりマーラーからとか、ブルックナーばっかりとかパターンも多様化して、演奏者側もスパー・スターよりもスペシャリスト的なものが増えています。そんな中でグレゴリオ聖歌は一時期癒しブームで脚光を浴びましたが、案外音源自体は新しい物は出ていません。古楽と呼ばれるルネサンス期から初期のバロックくらいの時代のレパートリー中心からもちょっと外れています。単純に芸術表現の作品という範疇からはちょっと境界すれすれの音楽なので、やむを得ないところです。日本の「聖グレゴリオの家」という宗教音楽研究を専門とする所から、90年代以降にグレゴリオ聖歌のCDが何種か継続して出ていて、孤軍奮闘しています。

グレゴリオ聖歌‐‐二つのミサ

ゴデハルト=ヨッピヒ 指揮 カペラ・グレゴリアーナ ファヴォリート

待降節第一主日

入祭唱・「主よ、私の魂はあなたを仰ぎ望みます」

1dd3dbe8.jpg
キリエ・XVII

昇階唱・「あなたに望みをおく者はだれも」

アレルヤ唱・「アレルヤ、主よ、慈しみを私たちに示し」

奉納唱・「主よ、私の魂はあなたを仰ぎ望みます」

サンクトゥス・XVII

アニュス・デイ・XVII

拝領唱・「主は良いものをお与えになり」

年間第九主日

入祭唱・「主よ、私を顧み、憐れんでください」

6ceb5b49.jpg
キリエ・X

グロリア・X

昇階唱・「あなたの重荷を主にゆだねよ」

アレルヤ唱・「アレルヤ、正しく裁く神」

奉納唱・「主よ、御名を知る人はあなたに依り頼む」

サンクトゥス・X

アニュス・デイ・X

拝領唱・「あなたを呼び求めます」

(2009年1月 ドイツ・ザンクト・オッティリエン大修道院 録音 COO-Records)

7b838b97.jpg
 先月までのサッカーワールドカップでは、日本代表は直前までの国際試合の結果とは打って変わって健闘し、ベスト16に進出しました。世界に通用する、世界レベルという言葉はまぶしく、サッカーの世界ではどれくらいそれを実現できたかと思います。今日のカペラ・グレゴリアーナ ファヴォリートは、日本の「聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所(宗教法人)」の聖歌隊である「カペラ・グレゴリアーナ」の中から、プロの演奏家であるメンバー中心に結成されています。聖グレゴリオの家の精鋭というところです。男声だけでなく、女声も加わっているので、修道院の聖歌隊とは異なります。指揮をしているヨッピヒ神父は、アルヒーフレーベルから出ていたグレゴリオ聖歌のLP等でもお馴染みの専門家です。日本のフォンテックから出ている5種類のグレゴリオ聖歌CDの内、「主の主の受難」、「主の復活」、「死者のための典礼」でも指揮、指導を担当しています。そのCDは今回と違い、聖グレゴリオの家聖歌隊全体で演奏しています。今回のCDは、グレゴリオ聖歌界のドイツ代表監督級が日本代表の監督に就任して歌っているといった図です。

44aa30df.jpg
 グレゴリオ聖歌と言えば8世紀末頃生まれたローマ・カトリック教会の聖歌ですが、ずっと隆盛を極めたまま伝承され続けた訳ではなく、長らく衰退していました。また、そもそもどういう風に歌われていたのかも定かではありません。18世紀、19世紀頃は西欧ではほとんどグレゴリオ聖歌の灯が消えたような状態だったと解説には書かれています。そこで、19世紀にフランスのベネディクト会ソレム修道院(復興された)の研究努力により、一定の歌唱法が復元確立されました。もっとも、他にもある程度違う歌唱法があるようです。その修道院の名を冠してソレーム唱法と呼ばれる歌い方がグレゴリオ聖歌の代表のような形になっています。かつてLPレコードの時代に、ソレーム修道院の聖歌隊の演奏でグレゴリオ聖歌大全集という数十枚組のものが出ていたことがありました。(ブリリアントあたりから格安で復刻してくれないかとひそかに期待しています。)

c59a78b3.jpg
 現代日本のカトリック教会では、グレゴリオ聖歌が通常のミサの中で歌われる機会は滅多にありません。クリスマス、復活祭、聖母被昇天等の大祝日に、カテドラル級の大きな教会では「天使ミサ」くらいが歌われる程度ではないかと思われます。天使ミサは、18種類あるグレゴリオ聖歌のミサ固定文(キリエ、グロリア、サンクトゥス、アニュス・デイ)の中では最も新しい曲です。歌われると言っても聖歌隊が歌うのが中心で、昭和40年代以前からの信徒でもない限り、歌詞を覚えていない方が多いでしょう。皆川氏や、クラシック音楽に関する著書がある方は、グレゴリオ聖歌を聴くためにミサに行ったという経験を書かれていましたが、それらは第二ヴァチカン公会議以前のミサの時代の話でしょう。これは日本に限ったことではなく、ヨーロッパ各国でも母国語による典礼が基本とされるので、新しく作曲されているはずです。日本では、大半が高田三郎作曲による「典礼聖歌」が通常使われています。

0c49f8ca.jpg
 最初の話で「世界レベル」について、例えばバッハ・コレギウム・ジャパンによるバッハ教会カンタータ演奏・録音はもう15年以上続いています。また、ジョスカン・デ・プレのミサ曲や、マショーのノートル・ダム・ミサで取り上げたヴォーカル・アンサンブル カペラも地味な分野ながら抜きん出た活動ぶりです。それらと比べて、この聖グレゴリオの家の演奏はどうなのだろうかと思います。グレゴリオ聖歌は、通常は結局非日常的なもので、私筆者は珍しさからかぶれているという面も大きく、決定的に素晴らしいのかまでは分かりません。しかし、このCDでは歌詞・対訳を見ながら聴いているとしみじみと言葉の内容が入って来る演奏で、感動的だと思いました。この点は、例えばタリス・スコラーズ等がポリフォニーのミサ曲の演奏時に先唱的にグレゴリオ聖歌を歌う場合等と比べると、かなり印象が違います。

twitter
最新コメント
最新トラックバック
Amazonライブリンク
プロフィール

raimund

アクセスカウンター

    QRコード
    QRコード
    記事検索
    カテゴリ別アーカイブ
    • ライブドアブログ