raimund

新・今でもしぶとく聴いてます

22 5月

ブルックナー交響曲第3番第1稿 ヤニック・ネゼ=セガン

170522ブルックナー交響曲 第3番 ニ短調 WAB.103 (1873年第1稿・ノヴァーク版) 

ヤニック・ネゼ=セガン 指揮
グラン・モントリオール・メトロポリタン管弦楽団

(2014年6月 モントリオール,メゾン・サンフォニック 録音 Atma Records)

 第2番の初期稿を聴いたからには「四部作説(ブルックナーの交響曲第2~4番の初期稿と第5番)」に従って第3番の初期稿です。過去に何度かそんなことを言いながら、四部作説なんて全然浸透してないのかもとも思っていました。しかし、実演(京響定期)で第5番を聴いた直後に第2番を聴くとその説もやっぱりまんざらでもない気がしました。第5番が大聖堂だとしたら第2番は香部屋か地下の小聖堂くらいの存在に思えます。その線で例えれば第3番は聖堂の前庭くらいかと。それはともかくとして、ヤニック・ネゼ=セガンとカナダのオケとでブルックナーの交響曲シリーズがかなり進行していたのを見逃していました。番号付きに限るとあと第1、5番が残っているだけ(あるいは完結??)のようでした。

 この第3番は第1楽章が異様に長く感じられて流れが悪いのでは?と思いましたが、絶叫調にならず終始澄んでいたのには好感が持てました。長いと思っても他の録音と比べて極端に遅いというトラックタイムでもありません。それに第3、4楽章は逆に速く感じられて、その二つの楽章はちょっと前のめり過ぎるかなという非ブルックナー感を覚えました。第2楽章が一番美しくて、最初ブルックナー作品とは違うラテン系の作品に通じる明晰さも感じられて第3番でこういう感覚は珍しいと思いました。

ヤニック・ネゼ=セガン/2014年
①25分11②17分53③06分27④16分55 計66分26
K.ナガノ・ドイツSO/2003年
①26分33②17分01③06分28④18分37 計68分39
ボッシュ・アーヘンSO/2006年
①24分22②18分26③06分18④18分32 計67分40
ヤング・ハンブルクPO/2006年
①25分26②19分20③06分40④17分09 計68分35
ブロムシュテット・LGO/2010年
①23分06②16分52③06分47④16分21 計63分06

 各楽章の印象をつづれば全体としてまとまりが無いように見えますが、第3番はもともとそんな印象が付きまとうのではないかと思いました。上記の5種はいずれも初期稿のCDで、第3番も今世紀に入っての録音では初期稿を選ぶケースが増えているのが分かります。ヤニック・ネゼ=セガンは第2番では初期稿を使って無いのに第3番では初期稿にしたのは何か理由があるのか、あるいは楽譜を準備できなかったとかそういう事情なのか、どうせなら統一すれば良いのにと思いました。

 1975年生まれのヤニック・ネゼ=セガンは2020年のシーズンからニューヨークのメトロポリタン歌劇場の音楽監督に就く予定なので、特にブルックナーがレパートリーの中心というようなスペシャリストではないようです。まだ40代前半(1960年生まれのズヴェーデンよりひとまわり以上若い)なのにかなり独創的なブルックナーを聴かせていて感心します。そういえば来シーズンからヤープ・ヴァン・ズヴェーデンがニューヨーク・フィルの音楽監督に就任するので、ニューヨークの重要な音楽監督のポストは二人ともブルックナーを一通り演奏、録音した人物ということになるわけです。
21 5月

ブルックナー交響曲第2番初期稿 ボルトン、ザルツブルク

170521aブルックナー 交響曲 第2番 ハ短調 WAB.102(1872年稿・キャラガン校訂版)

アイヴォー・ボルトン 指揮
ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団

(2015年10月2-4日 ザルツブルク,祝祭大劇場 録音 Oehms)

 女優の田中美佐子は最近見かけないと思っていたらもう60歳近く(四捨五入)だと分かり、当たり前だとしても年月が経ったものだと複雑な心境です。田中美佐子が結婚した年がちょうどクルト・アイヒホルンのブルックナーシリーズの最後のCDが出た頃(1994年にアイヒホルンが第6番を録音してから急逝した)だったはずで、当時も結構ブルックナーにはまっていたのが思い出されます。それにしても昨日の京響定期のブルックナー第5番は素晴らしくて、一日経っても余韻が響いています。会場は4月よりも空席があり、年齢層、聖別も普段と同じくらいでしたが、ステージを見るなり「うわ、対向配置」とつぶやく人もいました。

170521 アイヴォー・ボルトンとザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団によるブルックナーのシリズ、この交響曲第2番で交響曲が九曲の録音が完結しました。何年か前には第0番も含むという話でしたが続報が無いのでこれで終わりかもしれません。このシリーズは同曲異稿の選択については特に奇抜なことはしていませんでしたが、第2番はよくぞ初期稿を選んでくれたと思います。それだけでなく、やや遅めのテンポでじっくりと演奏して本当に感銘深い内容です。

交響曲第2番 1872年稿(第1稿)
1楽章:Allegro
2楽章:Scherzo;Schnell
3楽章:Adagio;Feirlich,etwas bewegt
4楽章:Finale;Mehr schne

170521c ブルックナーの交響曲を録音する場合、第3番か4番以降からということが多かったと思いますが、全集録音が増えるにつれて第2番の録音も増えてきました。あのギュンター・ヴァントはケルンの全集企画の際に初めて第2番と第1番を演奏して、その後も公演ではとりあげていないということなので全く残念です。交響曲第2番で20世紀中で演奏頻度が高かったのは第2稿のノヴァーク版かハース版で、いずれも第3楽章にスケルツォ楽章が入り、終楽章と似ていてテンポの面でも変化が付き難く単調になる面があったと思います。近年演奏頻度が挙がっている初期稿の1872年稿はスケルツォ楽章が第2楽章、アダージョ楽章が第3楽章という交響曲第8番と同じ配列でもあり、何と言うか終楽章が映えて立派にきこえます(個人的には第2番どの稿でも素晴らしいと思い、ブルックナー作品の中では絶対に外せないくらいに気に入っています)。

ボルトン・ザルツブルク/2015年
①20分46②11分52③17分09④21分45 計71分32
ヤング・ハンブルクPO/2006年
①20分40②10分47③19分32④20分23 計71分22
ティントナー/1996年
①20分50②10分53③18分00④21分19 計71分02
シャラー・PF/2011年
①20分51②10分58③17分56④20分29 計70分14
アイヒホルン/1991年
①19分40②10分59③15分42④20分55 計67分16
ボッシュ・アーヘンSO/2010年
①17分45②10分00③17分44④20分52 計66分21
ブロムシュテット・LGO/2012年
①18分14②09分58③14分25④18分25 計61分02

170521b この曲の場合も演奏時間に意外に差が出るものがあります。これは省略の有無が影響しているのかもしれませんが、今回のボルトンは編成が少なめ、ヴィブラート抑え目という方針はそのままに、それでもよく鳴っていて、作品の隅々まで照らす美しさだと感心しました。スケルツォ楽章、フィナーレが長目というのもそうした演奏の結果です。同じくらいの合計演奏時間になっているヤングやティントナーよりもアダージョ楽章が短い時間になるというバランスはクレンペラーの交響曲演奏と共通しています。
20 5月

ブルックナー交響曲第5番 ギーレン、SWRSO/1989年

161207bブルックナー 交響曲 第5番 変ロ長調 (1878年ノーヴァク版)

ミヒャエル・ギーレン 指揮
SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg(南西ドイツ放送交響楽団)

(1988年12月8-10,1989年11月9-10日 カールスルーエ,ブラームス・ザール 録音 Hanssler Swr Music)

 国会ではいよいよ共謀罪が可決される見通しになっています。その内に旧内務省も復活しかねない勢いですが、さすがにそれは東京オリンピック・パラリンピックとは関連付けられないだろうと楽観気味です(フランスは今でも内務省があるが)。国民に対してはマイナンバーなんかも含めて監視体制が整備される一方、権力を行使する側(国民の権利を制限する側)の透明度はさほど増していないのではと思います。

161207a 今日は京都市交響楽団の定期公演があり、プログラムがブルックナーの交響曲第5番の一曲だけでした。近年あまりないプログラムでブルックナー党としてはすごく嬉しい公演でした。対向配置、コントラバスが中央最後部に陣取っていました(高関健氏によると後期ロマン派作品を京都コンサートホールでやる場合はこの配置がよく響くと)。清新ですばらしいと思っていると、ふとどこかギーレンのこの録音と似ている気がしました。プログラム冊子には演奏時間が約80分と書いてありましたがそれより短かったかもしれません。第3楽章が快速な印象だったので余計にそう感じられました。

 この録音はかつてインターコードから出ていたもので、それがミヒャエル・ギーレン・エディション第2集として復刻されました。1988、1989年と言えばベートーベンの旧全集の時期と重なり、当時の演奏には「ギーレン=冷血」というイメージがありました。このブルックナー第5番も聴いていて特に第3、4楽章が「速いなあ」と思い、野卑な、壮大・重厚なタイプの対極といったところでした(今日の京響はそこまで突っ走ったものでなくて端正なスタイルだと思いました)。

ギーレン・SWRSO/1989年
①19分00②18分05③12分15④20分40 計70分00
スクロヴァチェフスキ・ザールブリュッケン/1996年
①19分45②16分19③13分10④24分01 計73分15
ティントナー・スコットランド国立O/1996年
①20分17②16分23③14分17④25分55 計76分52
ヴァント・ベルリンPO/1996年 
①21分31②16分26③14分20④24分57 計77分14
ヴァント・ミュンヘンPO/1995年 
①20分49②15分34③13分59④24分12 計74分34
ヴァント・ベルリン・ドイツSO/1991年 
①21分31②15分47③14分12④24分10 計75分40
ヴァント・北ドイツ放送SO/1989年 
①20分27②15分43③13分45④23分39 計73分34
アイヒホルン・リンツB管/1993年
①20分42②17分38③14分41④27分39 計80分00
アイヒホルン・バイエルンRSO/1990年
①21分09②17分34③14分22④26分11 計78分16

 交響曲第5番はいわゆる改訂稿は別にしてほぼ同曲異稿の問題は無く、ハース、ノヴァーク両版の差も他の交響曲程は大きくないようですが、各CDで演奏時間に差が出ています。今回のギーレンは大分短い部類になり、アイヒホルンのリンツ盤とは10分程違います。これだけ差が出れば聴いた印象もやっぱりかなり違います。ただ、第5番の場合はギーレンのようなスタイルになじみやすいと思いました(単なる慣れか?)。

 ところで演奏会場での騒音、プログラム冊子やアナウンスで警告されるものの、時々イラつかされることがあります。今日は演奏開始時に財布にでも付いているのか鈴が鳴って、演奏開始直前の注意が削がれました。このパターンは初めてで、咳やくしゃみより音は小さいはずなのにえらく気になりました。あと、ブラボーの一番槍をつけたいおっさんもたいがいにしてほしいものです(せめて指揮者の手が下がるまで待ってほしい)。
14 5月

シューベルト交響曲第5番 クレンペラー、PO/1963年

170513bシューベルト 交響曲 第5番 変ロ長調

オットー・クレンペラー 指揮
フィルハーモニア管弦楽団

(1963年10,11月 ロンドン,キングスウェイ・ホール 録音 EMI)
 
170514  5月14日はオットー=クレンペラーの誕生日(Otto Klemperer 1885年5月14日 - 1973年7月6日)なのでブログの恒例、セッション録音、ライヴ音源を問わずクレンペラーのCDを取り上げることにして、今年はEMIへのセッション録音、シューベルトの交響曲第5番です。シューベルトの第5番は最初にCD化された際には未完成、ザ・グレートと離れてドヴォルザークの新世界とカップリングされていました。演奏時間がちょうど良いということかもしれませんが、CD一枚の時間が少なくてもせめて未完成とカップリングくらいにしてほしかったところです。

交響曲第5番変ロ長調 D485
第1楽章:Allegro
第2楽章:Andante con moto
第3楽章:Menuetto Allegro molto
第4楽章:Allegro vivace

 レコード録音をしているということはその時期にフィルハーモニア管弦楽団の定期公演でもシューベルトの第5番を演奏しているはずですが、これまでのところEMI盤以外でクレンペラー指揮のこの曲は全く無かったはずです(今後テスタメントあたりから出てくるかもしれない)。1963年という年代からしてクレンペラーのとるテンポがいよいよ不健康に?遅くなってきますが、下記のトラック・タイムを見るとそうでもありません。聴いた印象でも氷上をな滑走するような滑らかさで、未完成の第1楽章なんかとはかなり違います。それでも木管が前面に出たクレンペラー(のEMI録音)らしいバランスの響きであり、特に後半楽章は剛毅さも感じさせます(ハイドンの軍隊ほどはではない)。

クレンペラー・PO/1963年
①5分28②09分43③4分55④6分03 計26分09
メータ・イスラエルPO/1976年
①7分13②09分26③5分15④5分37 計27分31
ヴァント・ケルンRSO/1984年
①6分49②09分54③4分41④5分39 計27分03
シュタイン・バンベルクSO/1986年
①7分11②11分13③5分25④5分59 計28分48

 余談ながらイスラエルPO、ケルンRSOはともにクレンペラーが客演したことがあり、バンベルクSOに客演したことがあるかどうか未確認ながらチェコのドイツ人によるオケが前身なので、プラハのドイツ劇場からキャリアをスタートさせたクレンペラーとちょっと経歴が重なります。それら三種の中ではヴァント、ケルンRSOが一番クレンペラーの第5番に近い気がしました(意外にも)。

 なお、シューベルト(Franz Peter Schubert 1797年1月31日 - 1828年11月19日)の交響曲第5番は1816年10月 に作曲されました。二十歳前に作ったものでその後の初演や演奏記録は定かではありません。その割には交響曲らしく凝縮、統一されたものが感じられて(ブルックナーの初期作品よりはこなれた作品か)魅力的です。
13 5月

モーツァルト交響曲第40番 クレンペラー、NDRSO/1966年

170513aモーツァルト 交響曲 第40番 ト短調 K.550

オットー・クレンペラー  指揮
北ドイツ放送交響楽団

(1966年5月3日 ハンブルク, ライヴ録音 MUSIC&ARTS)

 あっという間に五月も半分が過ぎようとしています。日本国が定める祝日・休日の数はかなり多い方だと知っても必ず休めるわけでなく、バカンスやら何やら諸々を考慮すればことさらここに生まれて良かったとか強調する 気分でもありません。新書本のエマニュエル・トッド氏の著作の中に、他の先進国なら移民労働者が受けるような扱いに甘んじている非正規労働者が沢山いる(国民を移民労働者にしている)という指摘がありました。国外の識者の目にはそう映っているのかと思いつつ、日本でも仏国民戦線のような主張をする政党が躍進するのかと想像しつつ連休頃の大統領選挙の報道を見ていました。そうした事と関係なく、今年もオットー=クレンペラー生誕の5月14日がやってきます。

170513b このCDはクレンペラーが北ドイツ放送交響楽団を指揮した、1955年9月28日、1966年5月3日と二日分の録音をまとめたもので、今回はその内で1966年の方からモーツァルトの交響曲第40番を選びました。当日のプログラムは他にブルックナーの交響曲第7番でした。ちなみに1955年はバッハの管弦楽組曲第3番、モーツァルトの交響曲第29番、ベートーベンの交響曲第7番というクレンペラーらしい組み合わせでした(EMIに録音していない曲をもっとやってくれていればと思うのだが)。 

*クレンペラー指揮のモーツァルト第40番 
1966年・NDRSO
①09分06②09分05③4分19④5分10 計27分45
1970年・ニューPO
①10分09②10分08③4分39④6分04 計31分02
1956年・PO/EMI旧録音
①08分40②08分57③4分13④5分04 計26分54

 交響曲第40番はEMIのセッション録音も含めて何種か録音があり、晩年末期である1970年は特別 としても概ね演奏から受ける印象は共通しています。冒頭から底が分からない深みへ引きずり込まれるような独特な暗いものです。同じト短調の交響曲でも第25番のセッション録音とは大違いです。1966年5月3日のプログラムはブルックナーと組み合わせですが、今回聴いていてモーツァルトとブルックナーはかなり通じるものがあると初めて実感しました。これまでは全然異質な作品群、接点は無いような印象でしたが、第40番の第2楽章、アンダンテを聴いている時に一瞬ブルックナーの交響曲を聴いているような感覚になりました。

 単に気分の話だとしても、クレンペラーがこの曲をこういう風に(テンポとか)演奏するのにより合点がいきました。何十年か前にLPでクレンペラーの第40番を聴いた時は第25番のように演奏するのを予想、期待していました。その後、結局クレンペラー指揮によるモーツァルトの交響曲をかなり聴いて、慣れはしてもどこかで第40番だけを異質な扱いを受けているような印象が残っていました。それが今にして払拭された心地です。ただ、音質は1966年の割に今一つ濁ってこもったような感じですが、ライヴ音源としては普通くらいです。 
9 5月

アーノルド・バックスの交響曲第1番 トムソン、LPO/1986年

170509bアーノルド・バックス 交響曲 第1番 変ホ長調(1922年)

ブライデン・トムソン 指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

(1986年3月3-5日 ロンドン,オールセイント教会 録音 Chandos)

170509a アーノルド・バックス(Sir Arnold Edward Trevor Bax 1883年11月8日 ロンドン - 1953年10月3日 アイルランド,コーク)の作品は1980年代後半に日本でもシャンドス・レーベルのCDが出回り、忘れられた作曲家に脚光があてられたとしてレコ芸でも取り上げられていた記憶があります。これはその頃に注目されたトムソン指揮の交響曲を集めた箱物CD(中古で購入)です。バックスという名前から具体的に旋律の一つでも浮かんで来ませんが、CDをかけてみるとうっすらと聴き覚えはある気がします。バックスはホルストより9歳若くてシマノフスキとほぼ同年代ながら、作品の大半は第二次大戦以前に集中しています。ウィキの解説を見ると氏名の後ろに「K.C.V.O」と付いていてロイヤル・ヴィクトリア勲章(Royal Victorian Order)を得ているようです。

交響曲第1番
第1楽章 Allegro moderato e feroce
第2楽章 Lento solenne
第3楽章 Allegro maestoso - Allegro vivace ma non troppo presto - Tempo di marcia trionfale

 交響曲第1番を作曲した直前頃からそれまでドビュッシーらの影響が強いバックスの作風がより劇的、壮大な作風に変化した時期でした。実際に聴いているとヴォーン・ウィリアムズの「海の交響曲」や「ロンドン交響曲」がちらつき、印象派とは程遠い作風だと思います。それにバックスの先祖はアイルランド出身らしくて、ウィキに解説によれば「ロマン主義・印象主義の中にケルトの要素を取り入れた独自の作風を確立」となっています。交響曲第1番からはとりあえず「ロマン主義」の片りんと英国の先輩作曲家に通じる息吹は感じられます。交響曲は第1番(1922年)から第7番(1939年)まで 、概ね第一次大戦から第二次大戦の間に書かれています。 
 
 トムソンの録音以降、シャンドスからはハンドリーによる交響曲をはじめ管弦楽曲や室内楽等色々な作品を出ていました。印象派、ケルト風という作風は交響詩などの方によく出ているのかもしれません。トムソン指揮の交響曲全集は最初、アルスター管弦楽団と1983年に第4番から録音が始まり、次いで1986年、1987年、1988年にロンドンPOと残りの六曲を連続録音しました。既に三十年程前のことになり、トムソンの録音も入手困難になっていりょうですが、個人的にはヴォーン・ウィリアムズ共々にトムソンの録音は今でも気に入っています。といってもバックス作品はそんなに何度も聴いているわけじゃないのでどこがどう良いのかとかは何とも言いかねます。

 今年は連休前から体調が良くなくて例年以上に快適ではない4、5月を過ごしています(ここ十年で最凶か) 。こういう時に効く?、気分が変わる曲は無いかと思っているととりあえずヴォーン・ウィリアムズ、ルトスワフスキとバックス(らの一部の作品)が合いそうでした。注意深く地元オケの定期のプログラムをチェックしていると東京圏以外でも演奏していることがあるので感心しています(京響4月定期や関西フィルの5月定期等)。
7 5月

ベートーベン交響曲第8番 クレンペラー、ベロミュンスターRO/1960年

170507ベートーヴェン 交響曲 第8番 ヘ長調 作品93

オットー=クレンペラー 指揮
ベロミュンスター放送管弦楽団
(Radio-Orchester Berom
ünster) 

(1960年4月24日 チューリヒ・ラジオ,スタジオ1 録音 Weitblick)

 「オットー=クレンペラー スイス・レコーディングズ」と銘打った(日本語帯付)1枚のCDが今年になって急に出てきました。しかも「ベロミュンスター放送管弦楽団」という見慣れない名前のオーケストラでした。クレンペラーは第二次大戦後、EMIレーベルへレコード録音をするようになってからスイスのチューリヒに定住し、そこで亡くなりました。ドイツに住めないというクレンペラーの考えと夫人の、ドイツ語が通じるところで住みたいという希望を要れてのことだったようです。だからクレンペラーがスイスの放送曲のオケを指揮していても不思議はなくて、むしろ今までほとんど出ていなかったのがおかしいくらいです。このCDは同じ日、1960年4月24日に録音した三曲、クレンペラーの自作「フガート(弦楽オーケストラのための)」、シェーンベルクの室内交響曲第1番、ベートーベンの交響曲第8番と1951年に録音したモーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」の合計4曲が入っています。

 1960年といえば5月下旬から6月にかけて、クレンペラーがフィルハーモニア管弦楽団引き連れてウィーン芸術週間でベートーベンの交響曲を全曲演奏した年であり、このCDの4月24日ならば約1ケ月半前の時期にあたります。だからベートーベンの第8番がどんな感じになっているか気になるところです。ちょうど5月14日のクレンペラー誕生日が近づいてきたのでタイムリーなCDです。

ベロミュンスターRO/1960年4月
①10分09②4分21③5分15④8分19 計28分04
フィルハーモニアO/1960年6月:ウィーン
①09分53②4分17③5分03④8分00 計27分13
フィルハーモニアO/1957年EMI
①09分47②4分28③5分16④8分15 計27分46

  最初聴いた印象はウィーン芸術週間やEMIのレコードとちょっと違う、より即物的な冷たさが目立つ印象でした。特に第1楽章がそんな感じで、1950年頃のクレンペラーの演奏をテンポだけ遅くしたような、他に類似な録音が無いように思えました。ただ、ウィーンでのライヴの第8番を聴き直すと似たような感触でした。トラックタイムは合計でやや長目ながら大きくは違っていません(ウィーンでのライヴ録音は拍手部分をカット)。モノラル録音であり、リマスター処理の加減か弦が金属的な音に聴こえてちょっと物足らないので、余計に上記のような印象を受けたのでしょう。終楽章ではクレンペラーが気合を入れる短いうなり声が入っているのでいつも通りに気合が入った演奏のはずです。

 なお、ベロミュンスター放送管弦楽団は、1997年にバーゼル交響楽団と合併して消滅したバーゼル放送交響楽団の前身であり、1938年に「スイス放送管弦楽団」として発足して1949年にはチューリヒを拠点とした「ベロミュンスター放送管弦楽団」と名称を変更しました。その後1970年にバーゼルへ移転して「バーゼル放送交響楽団」となりました。CDの解説には1947年に創設と書いてありましたが、バーゼルのオーエストラのプロフィールでは上記のような説明が載っていました。
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