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堀内のブログ。

『EVIL IDOL SONG』
大畑創監督。





枕営業をさせられ、裏切られ、夢も希望も失ったアイドルが悪魔の導きの元に歌で人を殺す!


とってもとってもたのしかった。
思ったことを箇条書きで書いていきます。


・冒頭のシーン

からして素晴らしかった。
歩道橋であばれている主人公。かなり振り切れたあばれ方で、見ていて気持ちいい。大暴れというのはああいう様をいうんだと思う。半狂乱の半がとれていた。
『パズル』での夏帆ちゃんの血塗れダンスを思い出したな。

その様を、しずかに見つめている影がある。真っ黒の影。
黒沢清の幽霊の黒さ。またはコナンの犯人並みの全身の黒さ。
そして時おり映像はざらついた粗いものに切り替わる。悪魔の視点だ。映画秘宝のインタビューで監督が、何とかっていうトイカメラみたいなので撮ったっていってた。何だったか忘れた!



・主演の子

藤田恵名がまたいい。
シンガーソングラドルという肩書きで歌とグラビアをやっているとのこと。
……ほとんどこの映画の主人公のままだ!
当て書きにもほどがある!
心配になる!ねえ君つらいことはないかい!
ねえ君、寒い夜の海を泳いでみませんか!(森田童子)


正直ワイドショーでこの子の情報を見たら「なんじゃそら」と思ってただろうけど、もう、ちょっとファンになってしまった。
これはいわゆるアイドルにまったく興味がないのに『愛のむきだし』でAAAの西島くんが、『讐』でアップアップガールズ( 仮 )が気になるのと同じだ!
誰かこの現象に名前をつけてほしい。



・あらゆるところが丁寧。

たとえば人を殺すソングが生まれる瞬間の描写。
メロディが湧いて、ギターでいそいでコードを探って、譜面に起こすところ。
見ていてグッときた。創作の純粋さというか、何も役に立たないことに没頭する様がうつくしい。
「人を幸せにする歌が歌いたい」といっていた主人公が、人を殺す歌、世界を破滅させる歌をうんだ。
それを主人公が歌い続けたのは、そりゃあ裏切られた者と世の中への復讐もあったんだろうけど、
単純に歌がうまれたときの「よっしゃー!」「こらとんでもない名曲でけたで!」が胸の底にあったからなんじゃないかナァと思ったりした。


・事務所の女社長、脇役のよさ。

社長は単純に嫌な奴かと思いきや、あるポイントを経てから、そうじゃないことがわかる。
あの場面の社長の「面白い……!」というセリフは実際この映画でいちばんハッとさせられたものだ。
また、そのあとのキャッキャいって仲良く死体埋めるシーンもいいんだよナア……。

最後は主人公と一蓮托生、地獄の底までとことんまでつきあってくれる(むしろ理解者かつ恋人未満のような間柄っぽったマネージャーが、いちいち正論かざしてうっとうしくなってくる。だからラストシーンがまた燃えるんだが)また、耳がきこえなくなったということで唯一「歌」の効力から逃れられる存在になり、これ以上無いくらいベストな共犯者になる。というのもすごい。練られている。
路上ライブにきている、たった3人ぽっちの熱狂的ファンも良かった。
その3人がまた、終盤で一致団結して主人公のテロに加担するという展開も熱い!
「ライブやろうぜ!」「おれ衣装作るから!」「ネットで配信しようぜ!」チーム感がたまんない。
文化祭のように楽しそうだ。みんな死ぬのに。後先考えないかっこよさ。
アイドルの交際報道とか聞いてキレてるファンなんかまだまだだ。
君にはアイドルとテロする勇気があるか!

キネマ大森にあつまっていたおじさん(自分ふくむ)も、観てる間あの一員になっていたはずだ。
なんも考えてねーよ!
オリンピック見ねーでこんなとこきて、ゴジラでもねえ、前情報ほとんど知らない映画いちかばちかで見てんだ!
で、超面白いんだぜ!どうしたらいいんだよ!この面白さ!
SNS? 書いたって誰も見ねーよ!いや書くけど!
え? 主演の女の子?グラビアもやってる? かわいい?
……そんなの知らねーよ! 映画の中のキャラが好きなの! 現実のその子には興味無いから!
こちとら純然たる映画ファンじゃい!なめんなよ!

……え、イベントあるって? 来週末?
なんだよ、まじかよ!たまたま予定空いてんじゃねーか!
ったく仕方ねーな!
暇だから行ってやるよ!
ただいっとくけど、受験勉強の邪魔はすんなよな!
え? 志望校?
お前と一緒の学校に決まってんだろ!



あーあ、たの(むな)しい!


・女社長のキャラで思い出したけど

物語をつくるときに、
「人には多面性がある」というのと
「人は嘘をつく」ということは、
なかなか意識しないと忘れてしまう。
考えついた話の筋を一生懸命に追って書いてるうちに、その辺をないがしろにしてしまいそうになる。
ただ、この2点が描けるとぐっと話にリアリティが出る。
ふしぎだ。


・それにしても


自分がどうしてこの物語に強く惹かれるのか。
考えてみて、思い当たった。

この映画の主人公は、僕の好きなあるキャラクターに似ている。



「怨念を宿した女」が、自分の能力で「人を殺す何か」を生み出し、「人類滅亡」に突き進む。


そうだ、貞子だ!

ビデオ見る


電話くる



一週間経つ



くる



きっとくる(←イマココ)の人だ!


もはや「歌」か、「ビデオ」かの違いでしかない!
『EVIL IDOL SONG』は、あたらしい時代の『リング』なのだ!



違うか!



違うな!




終わりです。
おやすみなさい。


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「赤塚不二夫記念館」に行った。




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青梅市。
スヌーピーのパチモンに手を上げて道を渡れと指導される街。
町田からは八王子、八王子から拝島、拝島から青梅。
青梅線に久しぶりに乗った。
大学時代にバーベキュウに行った時だから随分前だ。

停る駅に「福生」というのがあって、「ふくき」かなァと思っていたら「ふっさ」だった。
せめて「ふくせ」。百歩譲って「ふくさ」だと思う。
「っ」ではないと思う。

「河辺」という駅もあって、ああ、伊東に行く時にも同じ駅名をみたなァと懐かしんでいたら、「かべ」だった。
「かわべ」じゃないのか。
じゃあ「海辺」は「うべ」か。「岸辺」は「きべ」か?
おい、聞いてんのかよ。
お前に言ってんだよ。お前に。
聞いてんのかよ、田辺。
……えっ、お前、「たべ」だったの?


へえー。



いろいろ惑わされながら青梅に着く。



青梅はなかなか素敵な街だった。
町中看板だらけ。
ぜんぶ猫をモチーフにした映画のパロディ看板。
「猫はつらいよ」「猫と共に去りぬ」はいいとして(というか、そういう小説がすでにあるんだけど)
「ニャーン」の元が「シェーン」だと気づける人はどれだけいるんだろうか。


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お目当ての「赤塚不二夫記念館」に到着。
年表だとか作品はほぼ知っていることが多かったが、前に観たドキュメンタリー映画のおさらいとして楽しめた。









タモリとのツーショット写真は何度見てもぐっとくる。

二階には原画が飾ってあった。
そこの一枚目の作品に、度肝を抜かれた。
……違うな。驚いたわけじゃない。
なんというか、笑ったんだけど、同時にその場で泣き崩れそうになってしまった。


バカボンファミリーを描いたカラーの一枚絵だった。



四分割されていて、パパ、バカボン、ママ、ハジメちゃんの「脳内」が描かれている。
ママの頭の中には料理のことと、ハジメちゃん。
ハジメちゃんの頭の中には、難しい計算式や四文字熟語、そしてママ。
バカボンの頭には、まあいろいろオモチャだお菓子だが詰まってるんだけれども、そのひとつにこれがあった。


「1+1=3」


最高じゃないだろうか。
ばかだ。
でも、
「間違いが脳内にある。」
結構すごいことじゃないか。
めちゃくちゃはっきりとした間違いが。
それでいてあっけらかんとした顔をしているバカボンを見ていると、だんだんこっちが間違ってるんじゃないかと思えてくる。

ただ、もっとすごいのはパパだ。

バカボンのパパの頭はどうなっているのか。
パパの脳内には、



「木枯らしが吹いている」



……これまでいろんな展覧会に行ったが、これほどまで鳥肌がたったのは初めてかもしれない。
あとすげえ笑った。もうバカとか、そういう話じゃないよね? これ。


バカボンのパパがうらやましい。
頭の中に木枯らしを吹かせて生きれたら、どんなにいいか。



どんなにいいか。



……いいか?




そんなことを思ったのでした。



おやすみなさい。





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○映画「おとうと」を観た!


市川崑の特集上映で観た。
姉げん(岸恵子)と弟・碧郎(川口浩)の物語。

やんちゃで向こう見ず弟と、母がわりで気が強い姉。
二人のやりとりが楽しい。
とくに「よう!姉公」なんて呼ばれても一向ひるまず「なんでいバカヤロー」と返す姉がかっこいい。
後半、余命モノのような展開になって個人的にはちょっと疲れてしまったが、ラストシーンを迎えたらそれも「溜め」だったのだと思えた。
感動的な幕切れに思わせておいて、えっ……とならざるをえないラストもかなり見ものだ。


「光と影の仕事」と副題がついている通り、照明が特徴的だ。
部屋が暗い。で、母親(田中絹代)の顔だけがくっきりと明るい場面とか、ちょっと怖い(教会からきた女、岸田今日子の顔は照明関係なく怖い)
パンフレットにもあったが、闇が濃ゆい(思えば『八つ墓村』惨殺のシーンも異常に暗かった)これはDVDで見てもわからないことだろう。劇場で観れて良かった。
つくづく横浜シネマリンには感謝。
名画の素晴らしさを教えてもらった。『天皇と軍隊』『最高殊勲夫人』『豚と軍艦』

若尾文子と船越英二という俳優のことも、名画を見ているうちに知った。
船越英二といえば『黒い十人の女』がドラマ化されるらしい。楽しみ。
でも、船越英二役を船越英一郎でやるというのは、あんまりな気もする。おじさんたちの「企画臭」がする。
要するに、センスのないおじさんたちが寄り集まった挙句、いちばん偉いおじさんの「むはは、それいいねえ。決まり決まり」臭がする。
震えて待ちたい。

じゃなかった、「おとうと」。
岸恵子がうつくしい。ふつくしい。
万引きを疑われて啖呵をきったり、「たいした美人じゃないからろくでもない男に口説かれるのさ」と弟に言われて激昂したり、果ては弟と取っ組み合いの喧嘩(ほんとに尋常でないくらい暴れまわる)をするシーン。それらを見て心奪われない者はいないだろう。要するに不機嫌な様子がかわいい。
河川敷に寝転んで「よう!姉公」と呼んでみたい。それから睨まれたい&叱られたい。殴られたい&蹴られたい。

継母は体が悪くて宗教狂い(狂いってほどじゃなかったか)、父親は文筆家らしいがほぼ高等遊民のごとしで何もしない。
成り行き、姉が弟の母がわりになる。そして、母がわり以上の存在になる。

たしかにここには近親相姦のにおいがある。
特に終盤の寝ながらのせりふと、有名なリボンを手に巻きつけるシーンでそれが示される。


でも、そこがいいんじゃない?(cみうらじゅん)
と思うのだ。
禁忌であるということは、それに否応なく引き寄せられる魅力があるということに他ならない。
『思い出のマーニー』は、あきらかに百合映画で上映されてた時は「百合っぽくていやだ」という感想もあったらしいけど、思うのだ。
「百合だからいいんじゃない?」。
さらにいえば「におわしてるからいいんじゃない?」。
深読みが楽しいのだ。いくら深読みしてもしきれない、掘りきれないほどザクザク掘れるのがいい映画なんじゃないだろうか。ちがうか。







続いて、山田洋次のリメイク「おとうと」をDVDで観た。
リメイクではないのかもしれない。話は全然ちがう。
吉永小百合と笑福亭鶴瓶が姉弟で、その関係性は市川崑「おとうと」と同じだ(というか幸田文原作と同じということか)
ただ、話の重心はそこではなく娘・蒼井優の結婚話に進んで行く。
結婚式で厄介者が潜り込んで大騒ぎ、というのはまさに寅さんだナアと思いつつ。あっちは兄貴だけど。
そして渥美清にも負けないベーヤン( 鶴瓶 )のよっぱらい演技、だめな弟演技のすばらしさ。
口の半開き具合や弛緩した体つき、だらけた喋り(自分の知ってることにばっかり饒舌)が、そのだめさに拍車をかけている。


正直、見始めたときは「山田作品の悪い部分がやや多めにでてるな」と思った。
ほのかに説教くさいというか、ギャグがちょっとすべり気味というか。仕事が忙しく家庭を顧みない夫、というのもいかにも型通りというか。
でも後半から楽しんで観れた。
特にホスピスで登場する小日向文世。
これが山田洋次作品でよく出る「先生」(的な役割をもつ)で、その語りが面白い。
いい人なんだけど、なんかなあ……という感じというか。仕事できるし職場で信頼されてるんだろうけど、なあ……というか。あの瞬間、ケータイで撮るかフツー。
その人物造形のいびつさをふくめて、いかにもいそうな感じ。
小日向文世の笑顔というのはしかし、いつでも「人懐っこい」。
人懐っこいんじゃなくて、あくまで括弧つきで「人懐っこい」。
「いつ恋」でもその感じ、よく出てた!世の中のおよそすべての事象を理解・把握し、高いところからつめたく睥睨してるようなあの目!
小日向!この野郎!はげ!笑顔が気色悪いんだよ!この演技派!
タレ目!うすらにやけ男!親ゆび顔!名俳優!ゆで蛸!
(貶しの中に褒めをさしこんでみました)


そしてラストシーンだ(なんかラストのことばっか言ってる気がする)
映画を観はじめてからずっと、加藤治子のおばあちゃんがいる意味がわからなかった。
「はいはい、わたしは邪魔者なんでしょ」っていうくだりを2回も入れる意味も(「そうよ」って答える吉永小百合はもっと意味不明だった。鬼畜か)
でも、ラストシーン。やっとおばあちゃんのいる意味がわかる。
おばあちゃんがすべてを救うのだ。
すごいぜ、ばあちゃん。
しかし家族というのはつくづく、こういうことが起こり得るのだと思う。
映画「ぼくたちの家族」では、母親に脳腫瘍が見つかり、ぼろぼろになった家族の中で、もっとも役に立たないと思われていたチャラい弟が希望になる。




この映画はまた、妻夫木聡、池松壮亮がすごい。観てほしい。
満島ひかりの元旦那が監督している。

ひかりのことは残念だったけど、めげずに頑張ってください。
ひかりのことは、もうぼくらにまかせてください。


○森達也「オカルト」を読む。







我が家にまた一つ、森達也の本が増えた。
久しぶりに買ったら、登場人物がだいたい知っている人たちだった。
魔法使いアキット、新耳袋の木原さん、清田くん、佐藤健寿(クレイジージャーニーでおなじみ)……。

森さんがyoutubeで見つけた怖い動画というのも、すでに知っていた。
かなり有名なものだ。






いかに自分がオカルト・ホラー好きなのかをつくづく思い知らされた。
じっさい経験するのはいやなんだけど。
他人の怪奇・恐怖体験なら聞きたい!






なぜなら…………





他人だから!




呪われようとどうなろうと、知ったこっちゃないから!






おやすみなさい。

映画『日本で一番悪い奴ら』を観た。




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北海道警察で実際に起きた事件を元にした、犯罪青春ムービー。
最高だった!


もはや堂に入った悪人ヅラのピエール瀧。
開口一番「はぁい、こんちわー」で一気につかむ中村獅童。
純粋無垢な馬鹿がはまるYOUNG DAIS。
軽薄で不気味なみのすけ。
そして何より、振り切れまくっている綾野剛。
ヤクを打つシーンの、あの顔は映画史に残ったと思う。
いままでパンスト顔とか言っててごめん。


通りを歩いていると、道行く人に声をかけられて、主人公がいつの間にかその街の顔役になっていた……という『新宿スワン』とまったく同じシーンがあった。『新宿スワン』は面白い・面白くない以前に、なんだか語ろうとしてるテーマが胸糞悪い映画で、特にそのシーンは「主人公のやってることを強引に正当化する」ゾッとする(悪い意味で)シーンだったけど、この映画ではとってもよかった。
主人公がタバコを吸いながら歩いている。以前は吸えなかったタバコだ。それが、通りを抜けるまでに吸えるようになっている。そして「しゃん」とした顔つきになっている(『世界に一つだけの花」の木村拓也歌うところの「しゃんと!」ぐらい「しゃん」としていた)。いいシーンだと思う。


全編、昭和の映画の匂いがしていた。
むんむんしてた。警察署内はタバコの煙が立ち込め、いかにも汗臭そうだ。
もろもろ隠す気のない濡れ場とか、暴力の容赦無い感じとかもかなり好みだった。
エロが入ると、同時に「死」の匂いがたちのぼる。はかない、よるべない感じ。
タイトルの出方からして昔の映画っぽさを意識してるのだと思う。ちょいダサい。いまどきじゃない。
「ちゃららちゃーららちゃーら」って音楽が流れそうな感じ。
『マルサの女』のテーマが。



見終わった後、爽快だった。
「やろうと思えば、なんでもできる」ような、そんな気分になった。
少なくとも「本当はやれるのに、やれないような気になってただけなんじゃないか」と、自分自身を見つめ直した。


主人公・諸星は、とにかく飛び込む。そこでのし上がろうとする。……まあ結果、破滅するんだけど。それでも「やろうとした」人生がいい。
そんな気がした。
たぶん違うけど、映画のラストは「ハッピーエンド」に思えた。




それから僕は旅に出ることにした。

初めての一人旅だ。
孤独になって自分を見つめ直すために。
僕も諸星のように「やれること」を本気でやるのだと、もう一度決意を固めるために。






一泊二日、静岡へ!








近い…………


近いし短い……



ただの観光……







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っていうか温泉地……