2006年04月08日

チベットを越える【其の弐】

ゴルムドの市場【ゴルムドの変装屋】

一個前の記事の続きです。ここに書いた話は2000年当時の事で、今の制度とは多少異なります。あ、あと、長いので暇な時に読んで下さい(笑)

●麗江から列車に乗ってゴルムドを目指した俺ら5人は、成都、蘭州、西寧と中継して、5日目にやっとチベット圏の入り口、ゴルムドに着いた。
ながーーーい移動だった。でも各自列車の中で、ハーモニカを吹いたり、絵を描いたり、窓からの流れる景色を見たりして自由に過したので、楽しかった。

途中寄った街では、成都が印象深い。
大きなマーケットがあって、そこでラサ行きに備えて、セーターや水筒、下着などを買った。かなり寒いらしいので、防寒設備だけは金をかけた。

ゴルムドという街は、とても無機質で、居心地の悪い変な違和感が消えない街だった。
ここで2〜3日滞在し、自分たちの体の高度循環をする。
標高5200Mの山々をこれから越えるにあたり、なるべく高山病にならない様に、比較的標高の高いゴルムドで体を慣らすのだ。

実は俺らにはラサを目指すにあたっての「ある計画」があった。
ゴルムドからラサを目指したことのある旅人なら、ピンと来ると思うけど、俺らは公共のバスでラサを目指すつもりはなかった。
なぜなら、中国人以外の乗客、つまりツーリストは、バスの運賃がべらぼうに高いのだ。払えない額ではなかったけど、同じバスに乗るのに、ツーリストだけ何倍も高いお金を払うことがしゃくだった。
そこで俺らは中国人に変装して、低料金でラサを目指す計画を立てていた。

中国人に変装してラサを目指す方法は、この当時旅人の間では有名だった。
そのため、中国政府の公安(警察)は、ツリーストが怪しい動きをしないか、街では常に目を光らせていた。
もし、上手くバスに乗り込めたとしても、ラサまでの道のりの途中に、いくつものチェックポストがあって、その度に公安がバスの乗客をチェックする。その時点でもしばれた場合は、再びゴルムドに戻されてしまうのだ。
中国側はどうしても高い金を払わせたいらしい。失敗は許されない。

チベットそれに対抗してゴルムドには、「変装屋」と呼ばれる中国人達がいた。
彼等は、依頼を受けた旅行者を中国人に変装させて、チェックポストでばれないように上手くラサまで運んでくれるというプロ集団だった。
彼等に頼めば低料金で、なにからなにまで用意してくれる。
俺たちは「変装屋」と呼ばれる人々がいるという情報を移動中にキャッチしていたのだ。

しかし、誰が変装屋なのかは、わからない。名札をつけてるはずもないし、勿論反政府的な商売なので会社なんか構えてるわけではないのだ。

噂では、外国人を見つけると変装屋の方から声をかけてくるらしい。
俺らにはたったひとつだけ変装屋の情報があった。
TAKAが仕入れてきた情報だ。
変装屋集団はいくつかあって、その中でもっとも優秀な変装屋集団のボスは「ワン」という名前らしい、という情報だ。
そしてTAKAは、そのワンという男性の電話番号らしきものも入手していた。しかし電話は不可能だった。誰も中国語が話せなかったのだ。

「ワンさんなんてたくさんいるやろ、どうやって見つけろちゅーねん」と、KAZU君がぼやいた。
「とにかく手分けして、街を歩いて、声をかけられるのを待ちましょう。そして声をかけられたら名前を聞いて、ワンさんならラッキーという事にしましょう」と、Nさんが言った。

次の日から、俺らの変装屋探しは始まった。一人はホテル周辺で待機。あとは2人ずつ組んで、街をひたすら歩いた。

ポタラ宮殿の上から2日目も、3日目も、俺らはひたすら変装屋に声をかけられるためだけに街を歩いた。たまに街をグルグルしている俺たちを怪しんだ公安に尾行されたりもした。
4日目の朝、皆で再び話し合った。
「もうここまで歩いて見つからないのなら、変装屋なんていないんじゃないか?」と、KAZU君。
「そろそろ俺もチベットに向かいたいよ。この街はなんだか落ち着かなくて嫌だ」と、俺。滞在予定日を既に過ぎていたのだ。
「それでは今日いっぱい歩いて、それで見つからなかったら、明日悔しいですが公共バスのチケットを取りに行きましょう」と、Nさん。
みんな渋々うなづいた。

俺らは、最後の変装屋探しに出た。
しかし、変装屋はその日も見つからなかった。
その夜、俺らは5人で飯を食いに行った。
「何日か探してきましたが、変装屋は見つかりませんでした。残念だけど明日チケットを取りましょう」とNさんが言って、ビールで乾杯をした。

その時、一人の中国人の男が、変な英語で話しかけてきた。
「ユー、ゴー、ラサ?」

俺ら5人は、ハッとしてお互いの目を合わせた。そしてその男性に向かって叫んだ。「WHAT YOUR NAME!!!!?」

男は答えた。
「アイム ワン」

続く

※写真、上「ゴルムドの市場」中、下「ラサの景色」

rainman_daisuke at 19:34│Comments(6)TrackBack(0)旅で貰ったもの。 

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この記事へのコメント

1. Posted by YUMIKO   2006年04月08日 23:38
えぇーーー、まるで映画のワンシーンじゃん。
はい、続きをよろしく!
2. Posted by yo-suke   2006年04月09日 01:18
すげー、つづき読みたいっす。
なんかいい所でCMみたいなかんじです(笑)
3. Posted by 四代目   2006年04月10日 11:13

「CMのあと衝撃の事実が!!」って感じですか。そんでもってCM前のあらすじを1分位かけて流す・・・。そんなのやめてなー。

俺もこの話は詳しく知らないので早く次号が読みたいです。なんかジャンプの発売日待ってる少年ですな、こりゃ。
4. Posted by TAKE-4   2006年04月10日 21:49
5 手に汗握る展開ですね。(*^_^*)
連ドラを見ている雰囲気になってきました。
次回作待っています。
5. Posted by ゆかり   2006年04月11日 21:14
それで、それで!!?
楽しみにまってるから早く書いてね
6. Posted by rainman_daisuke   2006年04月13日 20:33
YUMIKOさん。
yo-suke。
四代目。
TAKE-4さん。
ゆかりさん。


続き書きましたー。
もうちょっと続くので、ゆっくり呼んでくださいねー!

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