2006年05月17日

チベットを越える【其の六】

9cde4cea.jpg【残った三人のラサまでの道のり】

船上ライブまで後4日!!!
明日くらいから台風が来るみたいだけど、台風が過ぎた後って天気いいんですよね。ちょうどよくその時期に当たってくれる事を祈りましょう。
今日ついに、プレスを終え、完成された新譜「ヒマリホテルの花」のCDが、自宅に届くようです!!この日をどれだけ待ったことか。。
今年に入って早々、一月にレコーディングしましたが、それから様々な問題を乗り越え、ついに、やっと物理的に形になりましたよ。色々ありすぎて、手に取った瞬間泣いてしまうかもしれません(笑)
このCDが5月21日に、全国リリースできるわけです。船上ライブで発売できるわけですよ。
協力してくれた皆様、本当にありがとうございました。
全曲リハーサルも終わったし、後は、船に乗るのを待つのみだね!ワクワクだぁ!

チベット編の続きです。思い出して読んでください(笑)

●俺とシー君の2人が無事にラサに着いた3日後、ゴルムドで別れた残りのメンバー3人も、なんとかラサに到着した。バスに乗っていた時間は40時間、俺らよりもさらに長い。再会の握手をした時は、3人とも疲れきっていたけど、とても達成感がある顔をしているように思えた。

3人は興奮しながら、ラサに辿り着いた過程を話してくれた。

僧侶たち旅人という人種は、過酷な道のりを嬉しそうに話す傾向がある。
しかし、普段の日常で、旅そのものに興味がない人にいくら旅の話をしても、冷たくあしらわれるだけで消化不良になってしまうのを経験上知っている。
長旅をしている連中は、日常で、自分から旅の話を切り出したりはしない。
日常を暮らしている人にとっては、旅人が、どこをどんなルートで移動して、どんな景色を見たかなんて、たいして興味も無いのだという事を分かっているし、それに、仕事もしないで毎日好きな事をしているだけの旅人が、日常の日々を仕事をして生き延びている方々に偉そうに話せるはずがない。
自然と、「旅人」を褒めてくれるのは「旅人」しかいないことに気付く。
俺は、そんな旅人の気持ちがよくわかるから、興味津々で旅の話を聞くんだ。
過酷なことを嬉しそうに話す、そんな友達の顔が好きなんだ。
この時の3人も、とてもドラマチックに、ワンさん作戦でのラサ移動を話してくれた。

3人はあの後すぐに、ワンさんが用意したホテルに移動したらしい。そして、作戦決行の日、まだ日が昇る前に、ホテルの玄関からではなく、窓から部屋の外に出て、ホテルの周りを囲っている塀を乗り越えて、一般道に出たというのだ。チェックアウト手続きをしたりしたら、すぐに公安が怪しい動きをしないかチェックが入るという事だった。
ワンさんが指定した場所から、塀を乗り越えると、そこにはワンさんとワンさんの子分が、車に乗って待っていたらしい。そして「急いで車に乗れ!」と言われ、車に乗り込むと同時に、助手席の子分が、車の屋根に「TAXI」と書かれた小さな箱を取り付けたらしい。
これで、ワンさんの車が、一瞬にしてタクシーに変わったのだ。タクシーなら公安に止められることなく、怪しまれずに移動できる。
「おーー、、ワンさんすげーーー」
俺は、思わずつぶやいてしまった。
早くその続きが聞きたかった。

チベット3人を乗せた「ワンさんの偽タクシー」は、最初のチェックポスト(外国人が違法料金で乗っていないか調べる場所)から少し離れた小屋に止まったらしい。そしてそこで「しばらく待て」と、言われたそうだ。

ワンさんの作戦では、チェックポストを超える時点では、ワンさんの子分たちが彼ら3人の席に座っていて、チェックポストを無事に超えた後に、バスを止めて、その席に3人が乗り込み、ワンさんの子分たちと入れ替わる、ということなんだけど、つまりそのバスは公式バスで、最初のチェックポストを越えるのは昼過ぎになるのだ。
その小屋に着いたのは、まだ日の昇る前の朝方、ここでバスが来るまで外に出ないで待てと言われたそうだ。
3人は何もない砂漠の真ん中の小屋で、じっとバスが来るのを待ったらしい。
バスが来るという予定時間まで約7時間、バスに乗り込む前からぐったり疲れてしまったそうだ。人に見つかってはいけないから、トイレ以外は部屋からは出るなと言われて、飯も食べずにじっと耐えていたというのだから、かなりきつかっただろう。

僧侶と俺お昼過ぎに、突然ワンさんが「バスが来たー!!」と叫んで走り出したらしい。3人は飛び起きて、ワンさんの後を追った。ワンさんはチャックポストを左手に見ながら、大きく迂回するように砂漠を全力疾走で走っていったらしい。
3人は、イキナリの事でわけも分からなく、とにかくワンさんの後を追ったという。
Nさんが「まさか標高2800Mの砂漠を、全力疾走するとは思いませんでしたよ」と苦笑いしながら言った。
TAKAも「途中で何度も『もう走れない』って思ったけど、ここで止まっても砂漠の真ん中で一人残されるわけにも行かないし、泣きながら走った…。」と言って、KAZU君は「あの、おっさん、無茶しよるわー、ほんま。」と言って笑わせた。

その後、無事にチェックポストを過ぎたバスと合流して、ワンさんの仲間たちが座っていた席に入れ替わるように入ったという。

祈りしかし、この後もラサに着くまでにチェックポストはいくつもある。その度に3人は、バスの屋根の荷物の中に隠れたり、バスのトランクの中に入るように言われたり、大変だったという。
もう、ここまで来ると完全に笑い話になっていた。超えてきた本人たちも、無事に着いた安堵感で、その過酷な移動を楽しく話してくれた。そして、ついに3人ともラサの地に足をつけたというわけだ。

俺はこんなヘンテコな経験をしてラサに無事に辿り着いた3人が、とてもカッコよく見えた。そして、俺自身が出来たかどうかは分からないけど、公式料金で来たことをチョッピリ悔しく思った。
「人生で、2度と再びこの道を通ることがないだろう」と思いながら通ってきた過酷な道。こんなエピソードを貰えるなんて、素晴らしいじゃん。
誰に話したところでたいした興味をもたれないかもしれない。でも、自分の、この中に、その風景とその時の感覚がいつまでも残るなら、素晴らしいと俺は思った。

俺らは、再び、無事に出会えたことを祝し、飯を食べに行った。

そしてその夜、ある欧米人旅行者から不思議な言葉を聞くことになる。

「バードセレモニー」。

チベットの子供チベットでは、死んだ仏様を、土葬や火葬ではなく、鳥に食べさせて葬る、鳥葬(ちょうそう)という文化がいまだ残っているらしいのだ。
ラサからさらに2時間ほど、クルーザーで登っていった山奥の寺で、その儀式は行われているという。

俺ら5人は、その話題にすぐに反応した。
「鳥葬か。。噂には聞いていたけど、実際にまだあるんだね…。」
「見に行ってみようか?不謹慎かも知れないけど、一般公開もしているみたいだよ」
「5人でランクル借りて行ったら、割り勘にすればそんなに高くないよ。一泊でいいから行って見ようよ。」

好奇心旺盛な5人は、こうして、鳥に食べられて葬られるという儀式を見に行くことを決めた。
そこでさらに摩訶不思議な体験をすることになる。

続く。

rainman_daisuke at 20:27│Comments(6)TrackBack(0)旅で貰ったもの。 

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この記事へのコメント

1. Posted by YUMIKO   2006年05月18日 08:05
其の六、待ってたよーー。朝、出勤前にブログを覗いて、はまってしまった。私は旅をしたことはないが、旅憧れ人で、旅の話を聞くのは大好き。聞きながら旅の光景を思い浮べ、そこに自分の存在をはめ込むと、かなり楽しい。で、このラサまでの道のり、三人はほんとすごい経験したね。無事、ラサに着いてよかったよかった。もうどきどきしたわ。旅の続きも楽しみだけど、今は、目の前ににきてる船上ライブを楽しみに、今日もお仕事頑張ろう!長々と失礼!
2. Posted by キキダス・マーケティング:中山マコト   2006年05月18日 11:27
私もきっと泣いてしまうことでしょう。
3. Posted by mido   2006年05月18日 23:57
鳥葬!?Σ(゚ロ゚;)しかも一般公開まで<("O")> あまり自分の目で見たくはないけれど、早くその続きが知りたい。私、旅人じゃないけど旅の話し聞くの好きだよ。特に大ちゃんは話しも書き綴るのも上手だから、想像が膨らんで聞いててワクワクするよ。続き気長に待ってます( ゚∇^)v
4. Posted by rainman_daisuke   2006年05月19日 17:42
YUMIKOさん。
ありがとう。そう言って貰えると、嬉しいよー。
また、時間が出来たら続き書きます。このあとの鳥葬での話が、俺の旅で、もっとも衝撃的だったんだ!
5. Posted by rainman_daisuke   2006年05月19日 17:43
中山さん。
はい・・・やっと完成しました。。いろいろありがとうでした。
一緒に泣きましょう(笑)
6. Posted by rainman_daisuke   2006年05月19日 17:44
midoちゃん。
ありがとね。鳥葬は、ほんとに刺激的な体験だった、文章でうまく書けるか分からないけど、俺も書き残しておきたいので、頑張って書いてみます。
楽しみにしててね。
あ、あとCD買っておくれ♪

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