2007年06月18日

長野の夜

後姿2007年6月16日、18時42分、北長野駅に降りた。
改札を出て5、6歩進むと、一人の男性と目が合った。
その人は俺の名前を言った。
俺は「桜井さんですね」と、その人に言った。
その人は無表情でうなずいた。
「はじめまして大輔です。」
右手を差し出した。その人は俺の右手をしっかりと握った。

「the end」こと桜井智丸さんと出会った瞬間だ。

the endさんの車に乗り、小さな通りの信州蕎麦屋に入った。
おじさんが一人でやっている小さなお店だった。
店の奥は自宅の居間が見えた。
the endさんの行きつけらしい。

蕎麦屋にて「善光寺の近くに行けばたくさん蕎麦屋があるんだけど、あの辺の店は観光客が来るのが当たり前になってるから、味に甘えてしまっているところがあるんだよね」とthe endさんは小さく笑った。

山菜の天ぷらとビンビールが出てきた。
the endさんはグラスに半分だけ、俺のグラスには並々とビールをついてくれた。乾杯をした。

それから俺はたくさんの事を話し、質問した。
旅の話。音楽の話。引き潮の話。俺たちを結び付けてくれたギターパンダのりをさんの話。

言葉を慎重に選んでた記憶はあるけど、何から話したのかあんまり覚えてない。今思えば、最初にバンドを俺が始めてから今日のこの出会いまでの俺の人生を全部話したんじゃないかと思う。とにかく話した。興奮していたし、その興奮を抑えていたような気もする。

the endさんは落ち着いた口調であいづちを打ちながら、ときどき笑って俺の話を聞いてくれた。

蕎麦一通り俺の話が終わると今度は、the endさんがゆっくりと自分の事を話してくれた。
どこの生まれで、いつ長野に来て、何をして、どう思ってきたか。
そしてのりをさんとの出会いと、引き潮の生まれたエピソード。
長野という町の性質。
俺にとってはとても興味深い内容ばかりで、驚いたり、ため息が出たりした。

そして、今回の目的のひとつである、the endさん作「引き潮」という曲を今回のアルバムに収録していいか?という話もした。
the endさんがそのことについて俺に話した言葉に、涙が出そうになった。
ここではあえて書かないけど、the end 桜井智丸という男の生き方を凝縮したような言葉だった。

ビンビールを2本あけたころ、蕎麦を注文した。
「大盛りでいい?」と聞かれ、「俺は普通でいいです」と答えると、「おじさん!普通盛り2つ!」とthe endさんが注文した。
おじさんが「あれ?今日は大盛りじゃないの?」と言った。
そしたら「あ、じゃあ大盛り一つと普通盛り一つ」と訂正した。そして「俺、ここじゃいつも大盛りなんだ」と、照れくさそうに笑った。俺も笑った。
蕎麦はうまかった。親父の蕎麦と同じくらいうまかった。

奈良堂「blog用に写真を撮っていいですか?」と聞くと、「顔は勘弁してよ」と笑って断られた。それでこの写真(2枚目)を撮った。ほんと寡黙で控えめな人だ。
自分の出された蕎麦もついでに記念に撮ろうとしたら、the endさんは「俺の大盛りの分も撮ったほうがいいんじゃないか?と自分の蕎麦を前にだしてくれた。それがこの蕎麦の写真(笑)(3枚目)そんな人なんだ。

蕎麦屋を出て時計を見て、びっくりした。もう9時半を回っていた。
時間を忘れて夢中でしゃべってしまった。

唐突にthe endさんが「温泉行って風呂入らないか?」と言った。
びっくりしたが温泉は大好きなので「おーいいですね」と答えた。それから川を超え、山道を走り、温泉にむかった。

温泉場について、車を降りるとき、タオルある?と聞かれ、「いや、予定してなかったもので」と言ったら、「じゃあ俺のつかって」と、タオルを貸してくれた。

善光寺ところが温泉場の入り口はちょうど閉館時間で閉めるところだった。10時で終わりらしい。the endさんは「どうしてもだめか?」と聞いたんだけど、結局だめだった。ちょっと悲しそうな顔をしてた。

車に乗ったら「ごめんね」と言われた。俺が「いや、ぜんぜんだいじょうぶですよ。俺、長話しすぎましたね」と笑いながら答えた。
そしたらthe endさんは「温泉入りたかったなぁ せっかくいい夜なのに」とつぶやいた。

俺はその言葉が聞こえたとき、なんかふっと力が抜けたような気がした。温泉に入れなかったことなんてどうでもよかった。その言葉が聞けたことがなにより俺の身体をあたためてくれたし、会いに来てほんとによかったと心から思ったんだ。

善光寺2その後長野駅ちかくにある、the endさんが創立者の一人でもあるという「NEON HALL」というライブバーに行った。
そこではまだイベントが行われていて、少し時間をつぶしてからまた戻ろうと言うことになった。
シャッターのほとんどが閉まったショッピングモールを二人であるいた(写真1枚目)。歩きながら「大輔くんにここを見せたら、今の長野が一目でわかると思ったんだ」と言われた。
この辺で一番の繁華街だと言われたそのショッピングモールは、少し寂しそうに写った。自分の田舎の商店街が頭をよぎったりした。

よつば「奈良堂」(写真4枚目)という、おそろしくレトロな喫茶店に入った。ここもthe endさんはよく来るらしい。腰の曲がったちいさなおばあちゃんが珈琲を運んできた。薄暗い店内で、俺らは音楽について熱く話した。二人の距離感が改札で握手したときより、断然近づいているのが実感できた。

しばらくして、NEON HALLに戻った。
店に入ったときは「サム&デイヴ」の「僕のベイビーに何か?」が流れていた。
店内は大好きな雰囲気だった。「京都の拾得に似てますね」というと、the endさんは「あの店をイメージして作ったんだ」と言った。なるほどな、俺が好きなセンスなわけだ。
the endさんはそこにいた一人一人に俺のことを紹介してくれた。
俺はすっかり上機嫌で、そこでもビールを呑んで話した。
「引き潮」を唄っているアーティストを集めて「引き潮祭り」をやろう、なんてthe endさんも笑いながら話していた。

ツバメの巣夜が深まったころ、店を出た。
取ってあったホテルの前まで、俺を車で送ってくれた。
車を降りると、the endさんも降りてくれた。
そして、再会を約束して、力強く握手をしたんだ。

これが今回の、長野での夜だ。
ほんと行ってよかった。
「インターネットは必要だと思わないから持っていない」と言っていたから、ここは見ないとは思うけど(笑)書きます。
桜井さんへ。
「いろいろお世話になりました。楽しかったです。ありがとう。せんきゅーまいふれん」

PS 他の写真は翌日の長野観光。善光寺など。

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rainman_daisuke at 01:57│Comments(7)TrackBack(0)daisukeの今日の出来事 

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この記事へのコメント

1. Posted by kazuki+ing   2007年06月18日 02:56
いい夜でしたね^^

「引き潮祭り」どこで開催でも絶対行くわ(笑
2. Posted by かおっち   2007年06月18日 03:06
なんかよくわからないけどあったかい涙が出た。

出逢いって最高だね。

人間でよかった。
3. Posted by 智星   2007年06月18日 11:54
戦ってればこそ。
だね。
4. Posted by ゆうこ   2007年06月18日 12:47
無駄な背伸びもしない。
無理にかっこつけもしない。
そのまんままっすぐ前を見ること。

いい出会いのお話をありがとう。
いつも元気もらうな。見習わなくちゃ。
下向いていてもしょうがない。前むいていくぞー。
5. Posted by ユミコ   2007年06月18日 20:46
「せっかくのいい夜」‥‥間違いなく届いたみたいね
6. Posted by ピロリキン   2007年06月19日 00:30
素敵な夜ですねぇ
出会いの歌が 出来ちゃいそうな夜ですねぇ


善光寺 真っ暗な穴 もぐりました?

激こわいですよあれ。
7. Posted by だいすけ   2007年07月20日 17:17
みんな、ありがとね★

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