韓国現代自の株価を押し下げた仰天社屋の建設計画…ソウル一等地に相場3倍で落札した破格の投資に市場は冷徹(産経新聞)

韓 国現代自動車グループがソウルの一等地を相場の3倍ともいわれる10兆5500億ウォン(約1兆1千億円)で落札した。グループ企業のオフィスや自動車博 物館も併設した超高層ビルにする考えで、現地メディアも仰天の計画だ。しかし、華々しいニュースに対して市場の反応は冷徹だ。現代自の本業の儲けを上回る 巨額投資への懸念から株価は下落し、投資家の狼狽ぶりが浮き彫りになったのだ。 (中略)

 現代自が巨費を投じてどんなものを作ろうとしているのか。

 複数のメディアが例えるのは、独ボルフスブルクにあるフォルクスワーゲン(VW)の「アウトシュタット」(自動車の町)の韓国版だ。アウトシュタットに はVWの工場のほか、自動車博物館や体験コーナーを備え、海外からの観光スポットになっているだけでなく、VWのモノ作りの精神が宿った聖地のような場所 に位置付けられる。

 現代自が落札した土地の大きさは約8万平方メートル。阪神甲子園球場の総面積(約3万8500平方メートル)の2倍以上にあたる。

 毎日経済新聞によると、そこに本社と系列会社約30社の従業員2万人が入居できる超高層ビル「グローバルビジネスセンター(GBC)」を建設。「すべての会社を統合できるコントロールタワーの役割を担う」(現代自関係者)。 (中略)

 9月18日の韓国証券市場。現代自株は、GBCショックに急落した。

 グループ主要3社の株価が7〜9%も下落し、時価総額で約8兆ウォン分が吹き飛んだ。 「サムスン電子への対抗心があったことを考慮しても、これはやり過ぎだ」

 ロイター通信はファンドマネジャーの声をこう伝えた。現代自の手元資金は手厚いが、ウォン高で収益力に陰りが見え始めていると分析した。

 さらに、破格の値段で土地を取得した背景として、景気対策で導入される予定の大企業に対する内部留保課税をにらんだ対応との見方を示した。

 10月8日の現代自株は17万8千ウォンと落札発表前の株価に比べて4万ウォンも下がってしまった。
(引用ここまで)

 1ヶ月ほど前の記事ですが、うまくまとまっているのでピックアップ。

 現状のヒュンダイ自動車が追いこまれている状況をうまく書いていますね。
 この無謀ともいえる土地取得にヒュンダイ自動車労働組合が噛みつかないわけがなく。
 今のところはまだ「人に投資しろ!」って言っているだけのようですが、ストライキになったらまたこれが材料に使われるでしょうね。

 株価は年初に22万4500ウォンだったものが、この金曜日に16万2000ウォンにまで下がっています。
 年初来30%の下落まではいっていない……ってとこですか。
 8月からこっち、ずっと右肩下がりを続けているのは円安だけが原因ではないのが実際ですかね。

 で、ここに加えてEPAとCARBに対する和解金等々で10億ドル
 まあ、これは1回で10億ドルでないからまだダメージは少ないほうでしょうが。

 なんでこんなリスクを冒して土地を購入し、「ヒュンダイ自動車のモニュメント」みたいなものを作ろうとしているのか。
 記事にある内部留保金を使ってしまおうというのもひとつの考えではあると思いますが、それは一部分に過ぎないんじゃないかなと。
 鄭夢九(チョン・モング)の夢とありますが、それだけでも足りない。

 実際のところ、ヒュンダイ自動車は海外展開の比率が高くて韓国国内にこれほど巨大な施設を作る必要というのはそれほどない。
 去年には海外生産比率が過半数を超えたっていう報道もありましたし。

 では、なぜか。
 これはヒュンダイ自動車の会長であるチョン・モング個人の最後の記念碑なのですよ。
 現在、チョン・モングは76歳。ま、いつどうなってもおかしくない歳です。
 サムスン電子会長のイ・ゴンヒはああなってしまいましたし。あれが去年の5月。

 チョン・モングがイ・ゴンヒの状況を見て「なにかを残したい」と焦っても不思議はありませんね。
 日本海沿岸の地方都市であるウルサンから、最後にソウルに凱旋したいという個人的な欲望がこの無謀な土地取得にあるんじゃないかなと思います。

 韓国で財閥の長といえば王も同じ。もしくはそれ以上の権力者です。なにしろ法が適用できないくらいですから。
 さらにいえば世界で五指に数えられる自動車メーカーにまで育て上げた財閥の長なのですから、もはや王を超えた皇帝といってもいいほどの存在なのです。

 その皇帝が晩年になって、巨大なモニュメントを欲しがっているのですよ。
 いわばピラミッドのようなものです。

 そういう個人の欲望が原因となって、会社が崩壊をはじめるなんてのはよくあるパターンですが。