【コラム】今さら月探査機の打ち上げとは(朝鮮日報)

 大統領選挙の投票日を3日後に控えた2012年12月16日、第3回目となった最後のテレビ討論で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領候補(当時)は最高のカードを切った。

 「(韓国製の月探査船の)月への着陸を2025年から20年に前倒しする。20年には月に太極旗がはためくだろう」

 大気のない月で太極旗が「はためく」という言葉に苦笑いしながらも「選挙を前に、できない約束なんてあるわけがない」と思って聞き流した。しかし、政府レベルでは大統領の公約がまるで黄金に匹敵するようだ。航宇研は「2020年の月着陸」に照準を合わせるため、尻に火が付いている。

 よく考えればできないことでもない。米国はすでに1960年代にこれに成功している。ケネディ大統領が「1960年代が終わる前に、宇宙飛行士を月に着陸させ、無事に地球に帰還させる」と演説した通り、1969年にアポロ11号がその任務を果たしたのだ。

 どんなに米国がすごいとはいえ、今のわれわれの技術力と経済的な状況が「45年前の米国」に追い付けないはずはない。万が一それには及ばなかったとしても、月に探査機を着陸させるだけの方法はあるだろう。(中略)

 これまで航宇研は、米国航空宇宙局(NASA)と接触してきた。現在NASAの関心は月から火星へと移行しつつある。月探査は「何を今さら」と思われる領域なのだ。閉鎖を考えていた月探査部署に韓国という顧客が現れたのだから、NASAとしては棚からぼた餅も同然だ。

 だからといって、NASAがおまけをくれたり、技術移転や協力に乗り出したりするわけではない。宇宙技術とは、そう簡単なものではないのだ。NASAが探査機を製作して、われわれには多少の仕事が与えられるだけだ。探査機の製作にコストがどのくらい掛かるのかも今は分からない。

 ただ確かなことは、3年後に現政権の任期が終わる前に、われわれが「国政課題」として月探査機を初めて打ち上げるということだ。NASAが製作した探査機に太極旗のマークが付けられることだろう。発射体(ロケット)も韓国製ではなく、他の国のものになる。これはすでに国家間の契約が済んでいる。

 目標年度の2020年には、計1兆5000億ウォン(約1590億円)が投入された「韓国製ロケット」が登場するだろう。開発日程を数年前倒ししてこれを改良し、NASAの二つの探査機を打ち上げるのがわれわれの「月探査計画」だ。(中略)

殺伐とした国民の常識も「1960年代に到着した月に今さら行ってみたところで一体何になるというのか」「羅老(ナロ)号の打ち上げの時のように花火のようなショーでも見せようというのか」「膨大な資金が投入されただけで、本当にわれわれの経済の助けとなるのか」といった側に傾いているに違いない。

 航宇研では、野党議員の元を訪れて「月探査予算を政権レベルで見るのではなく、科学技術予算として考えてほしい」と説得するようだ。しかし、航宇研のメンバーでさえ「2020年には月に探査機を着陸させなければならない理由」について確信を持っているわけではない。
(引用ここまで)

 延々とこんがらがっていたのですが、ようやく判明しました。
 2017年には「韓国独自技術」で製造された月探査船をアメリカだかヨーロッパだかは分かりませんが、他国のロケットでまず打ち上げる。
 で、2020年にはKSLV-2でも打ち上げるという二弾体制だったのですね。

 これまで月探査船の打ち上げが報道によって2017年だったり、2020年だったりしていたもので「???」となっていたのですが、ようやくすっきり。
 それとは別にKSLV-2の試験打ち上げも2017年にやるということなのですね。

 で、いままで月探査船はさんざん「韓国の独自技術で」って話だったのですが、NASAに製造を依頼して韓国でちょろっとなんか適当に装備品をつけて「NASAに技術協力してもらった、『韓国独自技術』の月探査船」とする予定なのだそうですよ。
 なんだ、KSLV-1とかKTX山川とかT-50とかと一緒じゃないですか(笑)。ついでにいえばKSLV-2もそうですけどね。

 で、韓国国内でも「いったいなんのために月探査船なの?」という話は出ているようです。
 中国は分かるのですよ。あれは確実に将来の資源探査目的です。H3もあるでしょうが、「実際に行ってみないと分からない」ことはいくらでもありますから。

 で、韓国なのですが。
 NASA製の探査機を、他国のロケットで打ち上げてパク・クネ政権最後の打ち上げ花火にしようってことなのでしょう。
 国威発揚というか。
 仁川のアジア大会とか大邱の世界陸上の招致をやった市長と同じですよね(笑)。自分がいたというパク・クネ大統領就任記念探査船です。
 ……公約なんだからしかたないですよね(笑)。

 たとえグランドデザインゼロでなにをしたいのか、それをやったあとにどの方向性を持って宇宙開発するのかそういうことがまったくなくても。
 KSLV-1の二の舞じゃねーかってすでに言われていても。
 だってパク・クネの公約で守れそうなのってこれくらいしかないんですから。

まんがサイエンス 5 内宇宙から外宇宙まで
あさり よしとお
学研教育出版
2012-09-05