【コラム】青瓦台の常識とメディアの常識(中央日報)
 中東呼吸器症候群(MERS)事態の飛び火が、こともあろうかメディア界におよんだ。先日、朴槿恵(パク・クネ)大統領がソウル大学病院を訪れた際に病院のあちこちに掲示されていた「救わなければならない」という文面が火種だった。青瓦台(チョンワデ、大統領府)の「演出」を疑ったネットユーザーが作ったパロディがソーシャルネットワークサービス(SNS)に列挙されると、ある日刊紙がこれを記事化した。しばらく後で青瓦台の広報首席がその新聞社の編集局長に電話をかけて「それが記事になると思うのか」と尋ね、編集局長は「その判断は私たちがする」と答えたということだ。それで終われば、エピソードとして埋もれ過ぎ去った可能性が大きい。

 先週末、ソウルの各新聞の1面に載ったMERS関連の政府広告は、唯一その新聞だけが除かれてエピソードはニュースになった。該当新聞社の労組はこれを青瓦台の広報首席の抗議電話と結びつけて、にらまれた報道機関への「広告弾圧」だと声を高めている。政府は予算不足のためとしながらも何故その新聞だけ除外したのかという理由については明快な説明を出せないでいる。政府広告を利用してメディアを飼い慣らそうとする意図ではないのかという指摘が出るほどの状況だ。青瓦台の広報首席は自身とは関係ないことだと主張しているが、もしも特定記事に対する青瓦台の不満が政府の広告配分に影響を及ぼしたのならば、韓国がトルコ水準の国家に転落しているという兆候だ。

 青瓦台の広報首席は「本意が間違って伝えられた」と話す。「記事になると思うのか」と尋ねたのは該当記事が記事としての要件を備えたとみているのかを尋ねたものであり、記事の価値に対する判断を問題にしたのではないという釈明だ。記事の要件でもニュースの価値でも、その判断は報道機関だけにあるものだ。その判断に対する評価は読者や視聴者がすることだ。ジャーナリズムのABCに属する話だ。報道が気に入らないからと報道機関に電話をかけてニュースに対する判断を問題にするのは、正常な民主主義国家では考えにくいことだ。言論の自由の根幹が揺らぎかねないためだ。新聞と放送で30年以上従事していた青瓦台の広報首席がこれを知らなかったはずがない。知っていながらも電話を入れるしかないことが今の青瓦台の雰囲気ならば、それこそ本当に問題だ。

 今回のMERS事態を通じ、水準に及ばない青瓦台の実務陣の真の姿があらわれた。正常な消費活動を促す目的で朴大統領がソウルの東大門(トンデムン)市場を訪れたという事実を報道資料にして回しながら、青瓦台の広報チームは突然現れたアイドルスターに熱狂するかのように店主や通行人が大統領を熱烈に歓呼したように描写した。MERSで国全体が非常事態になった状況であることを考慮すれば、しらふで出すにはきまり悪い報道資料だった。それを見て共感する国民がいたとすれば朴大統領の支持率が史上最低の29%まで下がることもなかっただろう。古参のメディア出身者が広報首席と報道官である青瓦台で、どうしたらそんな資料が出てこられるのか本当に首をかしげるばかりだ。

 政府は世論に押されてMERS拡散の震源地になった病院リストを公開し、サムスンソウル病院に対しても遅れて部分閉鎖の命令を出した。それが何か自慢する業績でもあるかのように青瓦台広報チームは2つとも大統領の直接・間接指示によるものだという文字メッセージを出入り記者に送った。民間人であるサムスンソウル病院長を大統領が叱責する時代錯誤的な場面を露骨に送り出したのも、MERS事態の渦中でも国会法改正案の不当性を記者たちに知らせる電話をこまめに回したのも、今の青瓦台広報チームだ。いくら窮しているからといっても前後は見回して仕事をしなければならない。
(引用ここまで・太字引用者)

 ……未開だ。
 というかですね、北朝鮮のあの報道姿勢というかこけおどし連発の声だけ大将っているじゃないですか。朝鮮中央通信のアナウンサーがよく言っているアレ。
 あれは実は朝鮮半島の風習そのものであって、北朝鮮だからというものでもないのですよね。
 もちろん、多少は誇張された言い回しになってはいますけど。

 太字部分、やっていることの本質は悲しいくらいに似通っています。
 実際に韓国大統領府がどんな資料を配って、それがどんな言葉が並べられているのか分かりませんが。
 でも、太字部分はこうやって言い換えることができるんじゃないでしょうかね。

 「今日、我が大韓民国の慈愛深き大統領様は、韓国の経済状勢をご覧になるため民衆が大いに働く東大門市場を訪れました。東大門市場で働く店主、そして買い物客たちは大統領様の登場に熱狂の声を挙げ、その慈悲深さに頭を垂れました」
 「本日、厳正な心をお持ちになる大統領様はMERSを拡散させた病院の責任者を、伝染病を恐れもせずに叱責しました。無限なほどに慈悲深きこのお心から出た言葉に病院長はおののき、さっそく大統領様のお言葉通りに対策を行うことを約束しました」

 うん、違和感ない。
 朱子学的な上下関係、上からの命令や言葉が下に拡がっていくさまを上から描写するとああなるのですよ。
 北朝鮮のあれは純粋培養されたものであって、韓国のアナウンスはまだ一般的な価値観に汚染されているといってもいいものになっていると思いますが。
 こういうところから北と南の共通因子というか、朝鮮由来の伝統が垣間見えて面白いものですね。