[コラム]朴槿恵外交はどこへ向かおうとしているのか(ハンギョレ)
 9月3日、朴大統領が習近平主席と並んで天安門城楼に上がって戦勝節軍事パレードを査閲する場面は印象的だった。国交正常化してから20年以上になるが、50年代の初めの朝鮮戦争以降、40年以上敵対関係にあった両国の指導者が仲良く歓談する場面は「韓国も今やG2の中国が尊重せざるを得ないほど大きな国になった」ことを証明する写真となった。韓国国民も、朴大統領がバランス外交で国としての格をより上げてくれること願ったはずだ。

 しかし、その達成感と期待は、それから40日後にもろくも崩れ去った。韓米首脳会談のため米国を訪れた朴大統領は10月14日、韓米友好協会での演説で「韓国は米国のアジア太平洋再均衡政策の核心軸」と述べた。米国はそもそも朴大統領の中国戦勝節への出席を内心嫌っていた。だが朴大統領は自身のブランドともなった米中バランス外交を実施するため中国の戦勝節行事に出席した。すると米国で「韓国の中国傾斜論」が出てきた。それを意識しすぎたのか、朴大統領は米国に到着するとすぐに「核心軸」という用語を使いながら「私は、中国の味方ではなく、米国の味方だ」というメッセージを強く伝えた。米国のアジア太平洋再均衡政策はいくら美辞麗句で化粧を施しても、その本質は所詮、中国に対する圧迫政策だ。同盟関係とはいえ、米国の公式要請を受ける前に、朴大統領が自ら進んでそのような政策の核心軸を自任してみせたのは、いくらなんでもやり過ぎだった。 (中略)

 中国は朴大統領の発言をはっきりとメモしておいたはずだ。そしてもう少し見守ってから、決定的な瞬間にそれを問題視して、韓国への圧迫を始める可能性がある。 (中略)

 ここで政府に問わざるを得ない。韓国大統領が「戦略的協力パートナー」である中国の国家行事に出席したことが、米国にとり“大逆罪”になるのか?中国傾斜論が出始めたとして、米国を拝み倒さなければならないほど、韓国はいまだ弱小国なのか?朴大統領はそんな国の大統領なのか?

 11月2日、韓日首脳会談を終えて帰国した安倍首相の言動も、私たちを落胆させる。「ランチなんかで国益を損なうだろうか」、「出来ないことはできないと言った」。安倍首相が朴大統領をどう考え、このような傲慢極まりない発言を口にできたのか?これは、米中間でどたばたした外交を行う韓国を見極め、日本が今後、韓国を見下すことに決めた証拠に他ならない。

 米中間でそれなりのバランス外交を展開してきた朴大統領が今年の秋、両極端に走った。韓国外交が方向を失って右往左往するのを見て、日本が韓国を見下すようなことまで起きた。角度を変えれば、これは韓国型戦闘機(KF-X)事業よりも深刻な問題であるのに、今回のこともうやむやになっている。こうしたことがあってはならない。今後のことを考え、韓国外交の切実な“リバランス”が急がれる。
(引用ここまで)

 最後にある「これまでそれなりのバランス外交を展開してきた」っていう部分でいやいやいやと日本人なら突っこみを入れそうになりますが。
 あくまでも韓国人の感覚ではバランスが取れてきたのですよ。
 韓国人の中ではね。

 そうでないと、「韓国疲れ中国傾倒は日本によるロビー活動だ」というように思え込める理由がありません。
 あくまでも「我々はバランスの取れた等距離外交を繰り広げてきたのに、日本の横槍でアメリカが韓国を見放しはじめた」というのが韓国の感覚だったのですよ。
 ユン外相の韓国モテモテ発言もそれを反映していたものです。
 それを考慮に入れれば、こういった勘違いもいたしかたないかなと。

 実際、韓国は自分たちがうまいことバランス外交をやってきていたつもりなのです。
 それが「おかしいな?」となりはじめたのが今年のシャーマン発言の頃から。
 そして、安倍総理訪米での両院演説を覆すことができなかった頃から「等距離外交が通用していない。これは日本がロビー活動をしているに違いない!」となった感じですかね。
 でも、9月の「天安門スリーショット」で有頂天になって「これこそ韓国があるべき姿」みたいに揺り戻し。
 最終的にはパク・クネ訪米でオバマ大統領から中国に物申せと言われた時になってようやく「うちらは失敗してたんだ!」と気づいたという。

 で、いまになって「等距離外交でもなんでもなくて、右往左往していただけなんじゃ?」ってなったというところですかね。
 第三者の目から見たら、最初からコウモリ外交をやっていてどちらか(主としてアメリカ)の堪忍袋の緒が切れるのは時間の問題だったのですが。
 もう、引けないところまできちゃっているんですから、このまま中国傾倒で推し進めるしかないとは思うのですけども。ここでアメリカ側に戻っちゃったりしたらそれはそれで面白いかな、とかも思います。
 どちらにしても日本はちょっと離れたところからウォッチするくらいしかないですよね(笑)。

外交〈上〉
ヘンリー・A. キッシンジャー
日本経済新聞社
1996-06