「ねずみ男」にドルは貸さない(日経ビジネスオンライン)
――11月2日の日韓首脳会談では話題にならなかったようですが、通貨スワップを日韓は結び直すことになるのですか?

鈴置:10月26日、経団連との会合で韓国の全国経済人連合会が「スワップ再開」を求めました。韓国紙にも必要性を訴える意見が2015年夏頃から載るようになりました。

 米金利の引き上げとともに資本逃避が起きて、また通貨危機に陥るとの危機感が高まったからです。

 でも、下手に大声で頼むと「やはり韓国は外貨不足なのだな」と市場に見なされ、本当に危機に陥ってしまう可能性があります。

――日本がスワップに応じれば、問題は起きないのでは?

鈴置:日本が応じるかは不透明です。2008年にスワップが決まった後に、日経のインタビューを受けた韓国の企画財務相が「日本は決断が遅い。それでは大国に見なされない」と日本政府を叱りつけました。

 1997年の通貨危機の際は、米銀が逃げ出す中も邦銀が最後までドルをつないだのに、今や韓国紙は「日本のために通貨危機に陥った」と書くようになっています(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。

 財務省や金融界はこうした「非礼」を覚えています。政界にも韓国を助けてやろうとする有力者はほとんどいなくなった。

 李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸や天皇への謝罪要求、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の言いつけ外交に反発する支持者から「日韓議員連盟を脱退しろ」と議員に電話がかかってくる時代です。

 近未来小説『朝鮮半島201Z年』で、韓国に対し日本が「ドルが欲しければ中国から借りたら?」と突き放すくだりを入れました(129ページ)。2010年に出版した本ですが、その頃から日本、ことに金融界の空気は変化していたのです。 (中略)

 1997年の通貨危機の際、韓国はIMF(国債通貨基金)の救済を受け、その直後に日本からドルを借りました(「『人民元圏で生きる決意』を固めた韓国」参照)。当時は中国から外貨を借りるなどとは想像もできなかったのです。

 2008年の危機の際には米、日、中の3カ国にスワップを結んでもらい、実際は米国だけからドルを借りました。

 それが今や全面的な中国頼みになったのです。韓国は貿易、通貨戦線で陣営を替えたうえ「そろそろ安全保障でも」といった状況にあるのです。
(引用ここまで)

 おや、鈴置氏と木村幹教授の対談が最終回。
 昨日、「完結は来週かな」とか書いたのに。今回もなかなか読み応えがありました。
 日米が韓国に対して通貨スワップ協定を断る構造は、そのままTPPへの加盟を断る構造でもあるのですよね。
 安全保障と経済ブロックは両輪であって、どちらも欠かすことはできない。
 「向こう側」の韓国を経済ブロックに加入させる意義というのはどこにもないのです。

 通貨スワップ協定に関しては、楽韓さん的にひとつ望んでいる構図があるのですよね。
 それは「日本は韓国をIMF管理下に追いやった主犯だ」という例の嘘を、韓国政府から公式の場で述べてくれないかということ。
 これまで韓国メディアからはこの嘘が何度か出ています
 これをなんとかして韓国政府から言わせたいんですけどねぇ……。さすがに無理かな。

 麻生財務相あたりがG20の財務大臣会議あたりで煽ればいけると思うのですが。
 韓国から「スワップ延長をしてほしい」って言わせなかったのは麻生大臣の手柄としてピックアップしてもいいことですよね。
 なによりもメンツを重んずる韓国のメンツを思いっきり潰した。
 それも2014年の2月10月の2回にわたって。
 「韓国が望むのであれば延長してやらないこともない」って話をするということは、韓国が日本にへり下り「スワップ協定を結んでください」って土下座させることに等しくなってしまったのですよ。
 2012年にイ・ミョンバクが「天皇謝罪要求」をした報復として、日本側が通貨スワップ協定を700億ドルから130億ドルへ縮小しようとしたときはメンツ的にどうしようもなくなって、途中で「そもそもスワップ拡大は日本側が望んだことだ」とか言い出して、メンツを修復してましたね。
 まあ、直後に一笑に付されて終わったのですが。

 ちょっと記事とはかけ離れた話になってしまいましたが。
 最後のページはいろいろ肝に銘じておいたほうがいい文章です。
木村:(中略) 日本の一部に、韓国の状況を「反日国家が苦境に陥っている」と冷笑する向きがあります。しかし変化する国際情勢の中で、立ち位置が問われているのは日本も同じなのです。

鈴置:同感です。韓国はいざとなれば米韓同盟を打ち切って、中立を宣言すればいい。それは実質的に中国の属国に戻る道ですが、だからと言って米国から軍事攻撃を受けはしません。

 一方、日本は中国に立ち向かうことを決めました。「南シナ海はすべて中国のものだ」などというめちゃくちゃな主張を認めるわけにはいかないからです。

 日本は中国から、軍事を含めますます圧迫を受けることになります。それは今後、ずっと続くのです。韓国よりも日本の方が大変なのです。

木村:米中両国が力任せに自国の国益を実現しようとする中、日本も何が最も重要な国益であり、それを守るためには何をすべきかをきちんと考えておくべきでしょう。

 日清戦争のころの新聞漫画に「朝鮮という魚を釣り上げようとして釣り糸を垂れる日清両国と、その魚を横取りしようと狙っているロシア」という有名なものがあります。

 今の国際情勢も似た状況になっています。うかうかしていると、米中という2人の「釣り師」の間で、韓国も日本も「釣り上げられていく魚」になるかもしれません。
(引用ここまで)

 常に立ち位置の確認は怠れないってことですよ。
 少なくとも安倍政権の間は問題ないと思うのですけどね。