日韓和解は幻想だ 「強すぎる日本」を構築せよ 武貞秀士(産経新聞)
 21世紀にはいって中国が軍事、政治、経済のすべての分野で急速に台頭したとき、日本が没落しつつあると判断した韓国は、日本との友好関係を続けるのがよいのかと自問しはじめた。金大中政権時代の「日本も韓国にとっては大事だ」という戦略に迷いが生じたのは、李明博政権時代だった。李明博大統領は京都での日韓首脳会談で、外交当局が準備した外交案件を封印して大統領自ら日韓歴史問題を取り上げ、翌年8月、竹島上陸をした。

 日本人には「韓国は感情にまかせて外交をする」などという誤解があるようだが、そんなことはない。韓国は戦略をたてて、交渉戦術を練って、巧妙に計算をして外交をすることができる。官僚が準備した議題を封印して、首脳外交を遂行することができる大統領中心の政策決定システムが備わっている。ただ、そのために、韓国の対日政策には、バイアスに基づいた誤認、誤算、誤判が目立つことになってしまった。「日本没落」と判断した大統領が竹島上陸という禁じ手を使ったとき、2012年8月、韓国人の目には合理的に見えたのである。将来、韓国の対日政策を韓国人がふりかえって、「あのとき、こうすれば良かったのに」と議論する可能性も少ない。「日本をはじめとする周辺諸国の自己中心の大国の狭間で翻弄された韓国」と説明してしまうだろう。

 いまの韓国の気持ちは、「日本の力は低下してゆく。貿易、投資などの分野で中国が日本の役割を果たしてくれる。韓国の努力を軽く見ている米国との同盟関係では、韓国の自主性を高めてゆく。ロシア、中国と協力すれば北朝鮮を説得できる。北朝鮮との交流と対話は独自に進める」というものだ。このとき韓国にとって重要であるのは中国だ。それに日本を叩けばたたくほど、中国は胸襟を開いてくれるように、韓国の目には見えている。そして、中韓戦略的パートナーシップ時代を強化している。 (中略)

 繰り返すが韓国は目標をたてて、国家戦略を持ち、感情を抑えて交渉戦術を練り、国家予算を投入できる国だ。世界文化遺産登録事案では、日本に「強制労働」を認定させようとした。国家戦略を持ち、国家予算を投じて慰安婦像、慰霊碑を米国や他の国に設置するロビー活動をしている。

 驚くほどの巧妙な韓国のユネスコの世界遺産登録に関する会議戦術、対馬の仏像の返却拒否の背景にある韓国の戦略戦術を読み取ろう。売り言葉に買い言葉といって国交断絶で応えたら、日本が国際社会で発言する機会を減らすことになる。
(引用ここまで)

 相手を低く見すぎるのも危険ですが、その実力以上に評価してしまうのも同様に危険なのです。
 大統領制度は即断即決がしやすいというのは確かですが、だからといってそれが「目標をたてて戦略を持ち、感情を抑えて交渉戦術を練り、国家予算を投入できる国」かどうかは別。
 戦略を立てても、それが正しい方向性なのかどうかも別。

 韓国の場合は「韓国のあるべき姿」が強すぎて、根本の戦略を誤っているのですよ。
 韓国の戦略が的確であったのなら、アメリカで中国傾倒が語られることもなかったし、韓国疲れが語られることもなかった。
 シャーマン発言も、パク・クネ訪米時のオバマからの苦言もありえない話ですよね。

 たとえば世界文化遺産の騒動ですが、いまにして思えばこういう考えがあったのだと思うのですよ。

・日本と登録合意に見せかけて油断させておく。
  ↓
・登録に際する会議で合意を反故にして恫喝。
  ↓
・日本に強制連行を公的な場で認めさせる。
  ↓
・韓国国内の「強制徴用者」裁判を有利に進める。
  ↓
・場合によっては日韓基本条約の破棄も有利に進めることができる。

 まあ、最後のはオプションの上のオプションみたいな感じでしょうけども。狙いはこうだったと思われます。
 でも、こんなビリヤードのキヤノンショットで何個も的球に的確に当てなくちゃいけない方法がうまくいくわけないのですよ。
 いくつかの方向から包囲網のように展開していくのであればともかく。
 実際、日本側は「徴用はあった」で留まってしまって、もうそこから先へは進むつもりなし。

 逆にこの毒の外交をこんなところでさらしてしまったために、日本政府は韓国政府を毫ほどにも信用しなくなってしまった。
 結果としてなにも得れていないのですよ。むしろ、カードの切り時を間違っての損失しかない。

 そりゃまあ、韓国人がなにも考えずに外交しているとは思いません。
 イ・ミョンバクは勝ち目があると考えて日韓関係を破壊したのでしょう。
 パク・クネもそれを引き継いで、勝ち目があると思って日韓関係という土壌に塩を撒き続けたのでしょう。
 その結果が現状ですからね。
 韓国というものの実態を雄弁に物語っていると思いますよ。