韓国造船業界、赤字の原因は無理なプラント受注(朝鮮日報)
 韓国の造船大手3社である現代重工業、大宇造船海洋、サムスン重工業は昨年1−9月に合計で7兆3000億ウォン(約7525億円)もの営業赤字を出した。3社とも第4四半期(10−12月)の黒字転換は難しい状況だ。3社の2014年の営業赤字(2兆6266億ウォン)を含めると2年間で10兆ウォン前後の損失を計上することになる。

 韓国造船業界が沈没直前の状態となったのは、無理なプラント受注による影響が大きい。2009年以降、商船発注が途絶した時期に集中的に受注した海洋プラントの建造が遅れ、「海洋プラントの呪い」という新語まで生まれた。

 大宇造船海洋の鄭聖立(チョン・ソンニプ)社長は「適正な生産能力に比べ150%多く受注したことが足かせになった。適正生産能力は設備の量とエンジニアの数で決まるが、3社いずれも過剰受注で人材の確保ができず、人件費も大きく上昇した」と述べた。

 海洋プラントの多額損失は設計や部品がプラントごとに異なる特殊性にも原因がある。外観は似ているが、同じ設計図で建造された海洋設備は一つもない。設計会社、発注元の求めに基づき、その都度異なる部品を使用するのが一般的だ。

 同じ発注元が同じ鉱区に設置に設置する海洋プラントでも細部の設計、機能、規格が完全に異なる。(中略)

造船業界関係者は「バルブはもちろん、ボルト、ナットまで発注元や設計会社の求めに応じ、他社の製品を使用しなければならないケースが多い。地球上に全く同じ海洋プラントは存在しないといっても間違いない」と述べた。

 こうした状況は海洋プラントの建造過程の特性によるものだ。船を建造する場合、造船会社は同じ種類の船の建造を繰り返し、ノウハウを積むことで収益性を高める。すなわち、基本設計が比較的標準化されており、韓国国内で設計が可能な商船は基本的に設計図が同一で、同じ部品が使われる。このため、同じ設計図による建造を続けるほどコスト削減や建造期間の短縮が可能になる。(中略)

 しかし、一般の船舶とは異なり、海洋プラントはシリーズ効果が望めない。投入される地域は同じでも、油井による生産条件が異なるため、設計も違ってくる。生産用海洋プラントは一般に20年以上同じ油井に投入される。問題は油井が隣接していたとしても油井ごとに原油やガスに埋蔵量、成分が異なり、水深や地盤にも差があるため、それを設計に反映する必要があり。
(引用ここまで)

 超円高時代、日本の造船企業はバルク船を手早く製造するということに、文字通り命をかけていました。
 もうそこにしか活路がなかったので、とにかく素早く正確に同規格の船を作るということに特化していたのですよ。
 逆に韓国の造船企業は為替にあぐらをかいて、「うちらは世界一の造船大国だから」とばかりに、付加価値のあるほうにあるほうにと向かっていったのですね。

 その最たるものが海洋プラントで「複雑なカスタムメイドのオーダーに応えられるのは韓国企業だけ!」「これこそが高付加価値、すべての韓国企業が向かうべき道」って鼻息も荒かったのですよ。
 で、その結果が現代重工業、サムスン重工業、大宇造船の三大企業がすべて揃いも揃って海洋プラント事業に参入して、多大な赤字を計上したと。
 3つも世界クラスの造船企業があるんだったら、ひとつくらいは同じ方向を向かないっていう選択肢があってもよさそうなものですけどね。
 韓国企業は「あそこがやるんだったらうちもやるんだ!」っていう指向性が高いのですよ。日本企業にもそういう傾向はあるのですが、韓国まではひどくはないかなぁ……。

 技術力不足、人手不足に加えて原油価格の下落で計画のペンディングやら中止が相次いでいることも大きな要因でしょうけども。
 まあ、為替による集中を勘違いしちゃったのが失敗でしたね。

 んでもって、韓国政府はたったの2年で、三社合計すると10兆ウォン規模の赤字を叩き出したこの造船業界に公的資金を注入するのだそうですよ。
 その額、1兆4000億ウォンほど……。
 無理なんじゃない?