22歳の娘を殺された母、栄養失調で衰弱死(朝鮮日報)
 2002年、韓国・嶺南製粉会長の妻であるユン・ギルジャ氏が人を使い、婿のいとこに当たる女子大生のハ・ジヘさんを殺害させる事件が発生した。裁判官である婿がハさんと不倫関係にあると誤解し、おいとその高校の同級生に1億7500万ウォン(現在のレートで約1600万円)を払って殺害を依頼した。梨花女子大の法学科に在籍していたハさんはその年の3月、ソウル市江南区で拉致され、京畿道河南市にある黔丹山の山中で犯人たちに空気銃で撃たれて死亡した。ハさんが22歳のときだった。

 それから約14年がたった今月20日、ハさんの母親のAさん(64)が自宅で亡くなっているのを息子(39)が発見し、警察に通報した。(中略)

 ユン氏をはじめとする犯人は全員、無期懲役刑が確定した。だがユン氏は07年以降、乳がん、パーキンソン症候群、うつ病、糖尿病など12の病名が書かれた虚偽診断書を医師に書かせ、これを使って刑の執行停止処分を受け、13年まで刑務所の代わりに大学病院の「豪華病室」で生活していた。医師には夫が金銭を渡していた。ユン氏のこうした振る舞いが世間に知られるようになると、検察は13年に同氏を再収監した。
(引用ここまで)

 ああ、だいぶ懐かしい事件ですね。
 楽韓Webを作ろうかどうしようか考えていた2002年の頭くらいに起きた事件です。
 さらっと書かれていますが、本当にひどい事件だったのです。
 ……ちょっとだけ事件のあらましを書いておきましょうかね。

 この会長夫人はハ・ジヘという女子大生を殺害の3年前から執拗に狙い続けて、接見禁止命令まで出されたほどのストーカーぶり。
 娘婿と女子大生が一緒にいる写真を撮ったら3億ウォンの賞金を出すとか、探偵を20人以上投入するとかしまして。
 それでもなんの成果も得られなかったことに対して「大学の図書館に地下室があってそこから出入りしてるんだ!」って言い出して、探偵が「もうこれはあかん」ってなったとか。
 接見禁止命令を出されたあとは女子大生の父親の殺害を狙うとか、もう病気のレベル。

 最終的には当初のターゲットであった女子大生の殺害に成功して、実行犯2人は海外逃亡。
 会長夫人は「中国を経由して北朝鮮に亡命しなさい」とか指示を与えて、かつ整形手術の代金まで提供。
 実行犯がベトナムと香港に出国していたのを、被害者の父親が執念で追いかけて地元の海外同胞の協力の下、情報を地元警察に提供することでようやく逮捕に至ったという経緯を描いたのでした。

 嶺南製粉は財閥と呼べるほどの大企業ではないのですが、それでも韓国国内でそこそこのシェアを持っている企業でした。
 紆余曲折あって、去年だったかに他の企業に吸収されています。法人としては残っていますが。

 で、この主犯である会長夫人ですが、賠償回避を目的としてか会長から離婚された……というように言われていたのですが、実は離婚しておらず。
 記事にあるように夫から医師に「偽の診断書を書いてくれ」との依頼でいろいろな理由で刑執行停止されて、病室で豪華な生活をしていたという事実が明かされました。外出も自由だったとのこと。
 これをスクープしたのがテレビのドキュメンタリーで、夫である会長は放送で暴露されるという話を聞きつけて、SBSのプロデューサーを脅すというような真似までしたのですね。
 ちょうど当時、甲乙問題がピックアップされていて、不買運動が展開されたものでした。

 ナッツリターン事件の時にこの事件をちょっと思い出して、さらに「快適な獄中生活」という部分でも思い出したのですが、言及しませんでした。
 ……今回、かなりさらっと事件の経緯を書いただけでもこのボリュームなのです。
 もうちょっと言及したいところもいろいろとあるのですが。

 ざっくりといって韓国の異常な面を浮き出しにした事件であることは間違いありません。
 会長夫人個人が異常な執拗さを見せているのですが、周囲がそれを許容しているところが恐ろしいのですよね。
 そりゃまあ、パク・クネが「非正常の正常化」って言い出すし、一般国民の8割以上が「金さえあれば犯罪をないことにできる」って思うわな……っていう要因のひとつです。