【コラム】目の前に近づいた「人口の崖」=韓国(中央日報)
大韓民国は大人が大変だという理由で妊娠と出産を忌避し、子どもが生まれるのも大変だ。どうにか母胎を抜け出し世の中に出てくれば途轍もない保育費と私教育費、高い授業料、殺人的な青年失業など、苦痛と試練の連続だ。大人にとって子どもは憂いと心配事で、負担になりわずらわしい存在だ。

この前ある政治家が少子化対策として「朝鮮族を大挙受け入れなければならない」と話して議論を呼んだ。出生率低下の原因と対策はとても複雑で難解だが、出し抜けに口にしたことが非難を自ら招いたのだ。

大韓民国は世界で最も子育てが大変なところだ。妊娠と出産に対する支援は多少増えたが保育園から大学まで私教育費の負担は大きい。予備校と課外勉強に毎月数十万ウォンから数百万ウォンまで私教育費を注ぎ込む。大学授業料は米国に次いで高い。子ども1人当たり平均教育費は3億ウォンだ。

韓国の出生率は1.19人で経済協力開発機構(OECD)平均の1.74人に大きく及ばない世界最低水準だ。人口は2030年の5216万人をピークに減り続け2091年には3000万人以下に落ちるという。超高齢化社会になり消費も減り、働く人もなく、投資もされない「人口の崖」の無気力な世界が目の前に近づいた。

世宗市(セジョンシ)は「児童親和都市」「子育てしやすい都市」を作る事業を展開している。世宗市新都市は平均年齢が31.4歳で最も若い都市だ。児童人口比率も23.2%で全国最高水準だ。すべての妊婦と新生児にヘルパーを支援し、出産奨励金も1人当たり120万ウォンずつ支給する。国公立保育施設を拡大し児童が安心して遊びながら育つ児童親和都市を推進している。

地方政府の努力だけで出生率を高め、女性・児童親和都市を作るのは限界がある。高い保育費と教育費、女性の仕事と家庭の両立、妊娠出産休暇の強化、児童手当て制度などは中央政府で推進しなければならないことだ。国民的理解と共感を基に制度を整備し天文学的な財源も確保しなければならない。

何より認識と考えが変わらなければならない。子どもを産んで育てることが個人と家族の問題ではなく国家社会の責務であることを認めなければならない。「三放世代」の多様な結婚観と1人暮らし世帯を理解し、女性に全てを押し付ける出産・育児の習慣も変えなければならない。
(引用ここまで)

 人口動態予測というのは「未来予測」の中でもっとも確度の高いもので、ほとんどの場合で当たります。
 ま、それもそのはずでよっぽどなにかドラスティックな社会体制の変化でもないかぎりは、ある一国における人口の移り変わりというものは変化しないのですよね。経済や社会体制の構造によって決定されることなので。
 ドラスティックな変化……たとえば戦争か、移民の受け入れかっていうくらいですかね。

 先進国で人口減から人口増へ転じた「成功例」としてさかんに挙げられているのはフランスですが。
 果たしてフランスの移民政策というのは「成功」なんでしょうかね?


 ま、それはともかく。
 このコラムを書いているのは世宗特別自治市の市長。
 ノ・ムヒョンが行政機能を遷都しようとして失敗したところですね。
 そこの市長が「もう地方自治体の努力だけで出生率増やすの無理だから!」ってことを言っているわけです。
 「国と国民の理解があってこそ人口増への道が開ける」って話……というか、もっと予算よこせってことなのでしょうけども。

 上に書いたように人口動態っていうのは構造から決められてしまうものなので、小手先の政策ではコンマいくつか上昇させるのが限界。まさに日本の状況がそれですね。「上昇してはいるけれど……」ってレベル。
 要するに「ヘル朝鮮」で子供を産み、育てたいのかってことですよ。
 元朝日新聞記者のなんとかさんによると、韓国の子育て環境は最高なんだそうですけどね。
 一般の韓国人はそうは思っていないようですよ、ってことです。

老いていくアジアと一緒に読みたい本。
人口学への招待 少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)