朴大統領好みの展示に反対した中央博物館の館長更迭(ハンギョレ)
 昨年末、2016年の展示日程を組む作業に追われていたキム・ヨンナ国立中央博物館長は、大統領府教育文化首席室に呼びつけられた。

 急いで大統領府を訪ねた彼女に、キム・サンリュル教育文化首席が話した案件は、フランスの装飾美術の歴史を紹介する企画展を博物館で開催しようという提案だった。 (中略)

 この展示について大統領が強い関心を持っていることを、キム館長に何度も強調したと証言した(一方、教育文化主席室は展示が立ち消えになった後、大統領が関心を持つようになったと主張した)。

 ある関係者の証言は注目に値する。「昨年教育文化首席室が今年の韓仏修交の記念イベントを報告する際に、朴槿恵(パククネ)大統領がフランス装飾美術の展示を直接見に行きたいと特別な関心を示したという。(中略)

 しかし、キム館長が予想に反して反対したため、展示の準備に支障が出るようになった」

 展示を通じて、フランスの装飾名品の歴史を示すという企画意図そのものには、特に問題がなかった。しかし、キム館長は断固とした反対の意思を明らかにした。展示の後半にカルティエやルイヴィトン、エルメスなどの有名ブランド企業が世界市場で現在売っている高価なアクセサリーやジュエリーなどのブランド品が、特別に用意されたショールームに展示されるという部分が納得できなかったからだ。韓国を代表する公共の展示機関で商業性の高いブランド品を展示するのは、それらの製品を広報に繋がりかねないとして、懸念を示したのだ。

 2008年にも、国立現代美術館の徳寿宮館が開いたフランスのカルティエの名品コレクション展が、世論の激しい批判にさらされたり、世界有数の博物館や美術館も、ファッションブランド品の展示で非難される事例が少なくないため、キム館長の反対は常識的にも説得力があった。フランスでは、大規模な公共美術館がファッションブランド品の展示を開くことに寛容だが、韓国は商業展示に敏感で、社会的な雰囲気の違いもあった。

 文化体育観光部と博物館の関係者は、キム館長が国立中央博物館では(それらのブランド品を)展示できないとして、再三反対の意向を示したことで、大統領府からかなりの圧迫を受けてきたと証言した。大統領府に何度も呼び出され、展示するかどうかをめぐり教育文化首席室と神経戦を重ねなければならなかった。「なぜ展示できないのか。大統領が出席する展示を、絶対に立ち消えにさせるわけにはいかない」と強い圧力を加えたという。直属の上司である文化体育館観光部のパク・ミングォン第1次官にまで、朴大統領の意向を掲げて展示の開催を催促され、キム館長は他の業務ができないほど深刻なストレスに悩まされたと博物館の関係者らは証言した。キム館長もハンギョレとの電話取材に対し「昨年末から(大統領府に)怒られ続けた。大統領が関心を持った展示だから、必ずやらなければならないということが、全く理解できなかった」と打ち明けた。

 キム館長の反対により、フランスの企業が2月中旬に支援の意思を撤回し、結局展示が実現できなかったことを受け、直ちにキム館長とパク・ミングォン第1次官を更迭する人事が行われた。文化体育観光部の関係者らは、大統領が重視する展示を実現できなかったことに対する“不敬罪”が決定的な役割を果たしたと証言した。
(引用ここまで)

 パク・クネが「開催されたら見に行きたい」と言っていたフランス関連の展覧会をキャンセルした国立中央博物館の館長が更迭される、と。
 韓国における大統領の権限の強さを考えたら当然の措置ですかね。
 一介の博物館の館長が大統領の意向を踏みにじったわけですから。
 え、独裁に見える?
 文化的に権力の集中を是認する背景があるので、民主主義のはずがなぜか独裁に見えるのです。
 民主主義国家としてありえないとか言われてもなんの意味もありません。
 そもそもまともな民主主義国家だったら、国外の報道を理由に特派員を名誉毀損で訴えるなんてことが成立しませんよ。それが成立するのだから、こういうことだってそりゃ起きます。

 韓国の大統領の権限というのは日本で想像するよりもはるかに大きく、そして強いのですよ。
 大統領の威光が傷つけられるような事態があれば、大統領周囲の人間が叱責されて更迭される。もしくはされるかもしれない。
 なので、あらかじめその責任を他になすりつけておく必要があるわけですね。
 大統領本人にこの博物館館長を更迭したいという意図があるのかないのかは関係ないのです。

 異常なくらいに集中した権力があり、それを自由に行使できる。
 普通の国であれば独裁者として恐れられるレベルで。
 だからこそ「実は私こそが大統領の地下資金の管理者である」という詐欺が横行するのです。

なんか幻冬舎新書が安い……
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