【萬物相】韓国のアルバイトはつらい(朝鮮日報)
韓国の未払い賃金は日本の10倍、なぜ?「賃金支払いに対する意識が問題」(ハンギョレ)
 蔚山市内のある飲食店の経営者が今年1月、アルバイトの賃金1200万ウォン(約120万円)を横領したとして逮捕された。体調を崩して出勤できなかったアルバイト学生に「営業面で損害が発生した」として日当の数倍の額を賃金から差し引いていたのだ。昨年もソウル市内のあるファストフード店の前で、数十人の若者が抗議行動を行った。その店から解雇された若者は「会社は手当を支払わないようにするためにローテーション表を後から勝手に書き換えた」と主張していた。ソウル市内のイタリア料理店でアルバイトしていたある若者はある日1分遅刻したところ、社長から「1分遅刻したら30分に相当する時給を減らされることを知っているだろう」と言われ、その場で仕事をやめたという。

 韓国におけるワーキングプアの実態を告発した『人間の条件』という本がある。これは著者のハン・スンテ氏が2007年から5年間、かに漁船、コンビニ、ガソリンスタンド、ビニールハウスなどさまざまな仕事を転々としながら体験した内容をつづったノンフィクションだ。この本には次のようなことも書かれている。ハン氏がコンビニでアルバイトするため面接に行ったところ、店長から「時給はいくらだと思うか」と尋ねられたので、ハン氏は「3700ウォン(約370円)くらいと思います」と言った。この額は当時の最低賃金だった。ところがこれを聞いた店長は顔色を変えた。ハン氏は「絶対にそれだけ受け取りたいという意味ではない」と言おうとしたところ、店長から「コンビニではそんなに支払えない」とはっきり言われたので「ではもらえるだけでいいです」と言わざるを得なかったったという。

 外食チェーンを運営するEランドグループは昨年10月から1年間、アルバイトとして雇用している4万4000人に支払う賃金84億ウォン(約8億3000万円)を横領したとして摘発された。このチェーン店は全国360店舗で有給休暇、休業手当、残業代、深夜手当などを計算通り支払わなかったという。またあるアルバイトが年次有給休暇の使用を申し出ると「そんなアルバイトは初めて見た」と堂々と言ってのけたそうだ。

 社会に本格的に出る前から大人たちにだまされ、悔しい思いばかりさせられると、若者たちは世の中に対して最初から反感を持つようになる。雇う側からすれば息子娘、おいやめい、弟妹のような年齢の若者たちだ。たとえアルバイト、あるいはインターンだとしても、時には背中をたたいて激励しながら人間らしいつきあいをすべきだ。そうすれば若者たちもたとえ仕事はきつくとも、将来に夢を抱きながらたくましく成長し生きていくだろう。それが人の世というものではないだろうか。若者たちを激励するどころか、平気で裏切って賃金を泥棒するようなことはしてはならない。
(引用ここまで)
 事実、韓国では賃金未払いが大企業・中小企業の別なく蔓延している。経済規模では日本が韓国の3倍を超えるが、未払い賃金の規模は韓国が日本の10倍近く大きい(2014年基準、韓国1兆3194億ウォン=約1300億円、日本131億3千万円)。 21日ソウル長橋洞(チャンギョドン)のソウル雇用労働庁で、雇用労働部主催で開かれた「賃金未払い改善のための専門家討論会」で参席者は賃金未払い根絶のためには「他のことはさておき賃金だけは必ず支払わなくてはならない」という使用者の意識改革と政府の積極的役割が重要だと強調した。

 梨花女子大法学専門大学院のイ・スンウク教授は「賃金未払い改善のための賃金未払い行政システム改編方向」という提案で「使用者の遵法意識の欠如と経営悪化時の事業継続のためにまず労働者の賃金から未払いにする労働力軽視の風潮など、社会心理的要因が莫大な賃金未払いの理由の一つ」と分析した。 (中略)

 韓国労働社会研究所のキム・ユソン専任研究員は「企業規制緩和という名目で企業に有利に法律を解釈し執行した結果、使用者の間に『ひとまず法を守らないでやってみよう』という慣行が形成された」と指摘した。釜山大法学専門大学院のクォン・ヒョク教授も「賃金は“人間”の労働力に対する代価という点で、単純な個人債権の問題ではなく、社会の安全に関する社会的問題として見なければならない」と明らかにした。
(引用ここまで)

 パク・クネ政権が5年で40%ほど最低賃金を上昇させました
 あ、もうすでに来年の最低賃金は8月の時点で決まっていたので。
 最低賃金が決まったときの記事によると、16.3%が最低賃金を受けることができていない。

 未払い賃金の規模が日本は130億円で、韓国は1300億円だから10倍っていうのも変な話で。
 日本の就業者人口が6426万人、韓国のそれは2621万人。ざっくりと日本の40%しか労働者数がいない中で10倍の未払い賃金がある。
 日本は就業者ひとりあたりの未払い賃金が200円。
 韓国は就業者ひとりあたりの未払い賃金が4960円。24.8倍。ざっくり25倍。

 ……え、これ計算合ってる?
 (検算検算)……合ってるなぁ。
 日本でもブラック企業が話題になっていますが、それどころじゃないってことか。恐ろしい社会だわ。

 3年ほど前に「韓国でアルバイトの最低賃金を遵守している場所は半分以下」という統計が出ていましたっけ。
 そりゃまあ、ヒュンダイ自動車の労働組合が「法律で定年延長(60歳)が決まったから、会社もそのように対応せよ。ただし、賃金は1ウォンとも下げるな!」って叫びますわ。
 退職になってアルバイトの身分になったらこうなるって見本は社会に山盛りであるわけですからね……。

あれ、安くなっている気が……。
“超”格差社会・韓国 (扶桑社新書)
九鬼 太郎
扶桑社
2009/8/28